パラレルキャリアとは?


昨今、「パラレルキャリア」という言葉をあちこちで耳にするようになりました。パラレルキャリアとは、単なる「本業とともに副業をもつこと」「いくつか仕事をすること」というよりも、もう少し大きな概念があるようです.

今日は、この「パラレルキャリア」とは何かについてお話しいたします。

「パラレルキャリア」=副業とは違う、より大きな概念

「パラレルキャリア」という言葉は、1999年に世界同時発売された、『明日を支配するもの』(ピーター・F・ドラッカー氏著)で、これからの生き方の一つとして出てくる言葉です。現代人が働く期間は約50年、企業の繁栄はおおよそ30年。個人の寿命が企業の寿命より長くなった今、人は組織のみに頼らず、それとは別に第2のキャリアを並行して始め、新しい世界を切り開いていくべきだと記されています。

現在は、会社務めを本業とし、それ以外に空いた時間で、個人活動を行うことを指す場合が多いようですが、ただの副業とは違う大きなポイントがあります。それは、個人活動が何らかの形で本業と結びつき、お互いによい影響を与え合い、自己成長とより高い社会貢献につながるものである、という点です。

また、副業と異なる点は、報酬に必ずしも重きを置いていないという点です。自分のスキルアップや社会貢献、使命を感じられるような活動を行うことも、パラレルキャリアに含まれます。

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「パラレルキャリア」=その背景と醍醐味

『明日を支配するもの』にも記載がありますが、現代は、急激な社会情勢の変化に伴い、私たちも何らかの形で変わらざるを得なくなっています。特に日本ですと、少子超高齢化時代の突入、終身雇用制も形骸化していることなどはみなさん感じている点だと思います。

個人の寿命が企業の寿命より伸びたこのような時代において、ずっと一生涯、一つの仕事だけに従事するということは、ほぼありえない状況になってきました。また、身体が元気でいる限り、年齢にかかわらず何らかの形で活動や労働に従事することはあたりまえの時代になっていくでしょう。

また「報酬を得るために仕事をする」という考え方も、組織に依存し、ずっと同じ組織で働くことに固執してしまうことにもつながります。これは、将来の不安にもつながり、これからの社会では大変リスクが高いことになります。

第二のキャリアで得られたあらたなスキルや人脈を本業に生かすことで、今まで以上の可能性や面白みを感じることとなり、本業での貢献度も高まるでしょう。また、社会活動に時間を費やすことができれば、社会に貢献している充実感を得ることができ、何物にも代えられない心の幸福にもつながると言えます。これがパラレルキャリアの醍醐味ではないでしょうか。

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さまざまなパラレルキャリアの例~小さなことから少しずつ~

パラレルキャリアの例には、本業のスキルを生かした有償のものと、趣味の延長としての個人活動、その他ボランティア活動等、無償のものがあります。

◎有償のパラレルキャリアの例:

日中はWEBデザイナー(会社員)という本業を持ちながら、夜はクラウドソーシングで依頼を受け、様々な業界や用途のHP制作を行っている方がおられます。会社員として自社のWEBデザイナーを担当し、自社のサイトのみに携わっていると、視野が狭くなりがちで、クリエイティブな制作がない時期もあるため、もどかしい思いをされる方もおられます。

そんな時、他の企業のHPや、ECサイト、ポータルサイトなど、普段関わっていないような用途のHP制作に積極的に携わることによって、常に最先端のスキルをブラッシュアップし、クリエイティビティを刺激することができます。また、自分のWEBデザイナーとしてのスキルを社外で試し、評価を受けることになりますので、常に向上心を持ち、自然とスキルアップを心がけるようになります。その経験と努力、スキルアップは、今後の本業にも役立つこととなるでしょう。

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◎無償のパラレルキャリアの例:

最近では、ボランティア活動をしたい方向けに、活動の参加を募る専門のサイトも数多くあります。例えば、今まで眠っていた楽器演奏のスキルを生かして、演奏のボランティアをはじめたり、地域の高齢者向けにパソコン教室などを開催してみたりと、小さなことから始めることができるのが魅力です。

他にも、昔から存在する、地域で活躍する消防団も良い例です。本業は八百屋、魚屋、教師、会社員という顔を持ちながらも、出動命令が来たときのみ、消防団員として活動するというものです。消防団は火の消火作業だけではなく、一人暮らし高齢者宅への防火訪問、応急手当の普及指導などにおいて活躍しています。現在は女性の方も大変増えているそうです。

地域の活動によってえられた多くの人脈は、いつの間にか本業でのお客様アップや売り上げアップにもつながるということもあるでしょう。それ以上に、消防団の活動で、帰属意識を高めながら、多くの方とかかわり、地域に貢献していくことは、大きな生きがいとなり、かけがえのない幸福感へとつながります。

どんなに大きく時代が変化したとしても、仕事を通してこのような幸福感をもち、生きていけることは、大変価値のある人生なのではないでしょうか。

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心豊かに過ごしていくための「パラレルキャリア」

先にご紹介した消防団の例は、1999年にピーター・F・ドラッカーがパラレルキャリアという生き方を提唱するよりもずっと前から行われているものです。1999年以前は、パラレルキャリアという名前こそはありませんでしたが、消防団以外にも、このような生き方を選択し、心豊かに生きている方は、実は昔からいらっしゃったように思います。

現代ではありがたいことに、インターネットやクラウドソーシングの普及で、情報の収集や様々な活動への参加も簡単に行えるようになり、その選択肢も多くなってきました。パラレルキャリアの形成は、決して特別なスキルを持った方だけのものではなく、これから報酬の有無や高低にかかわらず、心豊かに過ごしていきたいと思う方全員が実現できる生き方なのかもしれません。