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終業後の「副業」は「残業」になる?


昨年、ロート製薬株式会社が副業OKとする試み「社外チャレンジワーク制度」を発表し、とても話題になりました。すでに副業をスタートさせている社員の方々がおられるようですね。今後の会社全体の変化、それが社会に与える影響など、今後の動きが楽しみです。

エスキャリアの人材紹介においても、「副業OKの会社を紹介してほしい」という、数年前まではあまり聞かれなかった要望も、職種に関わらずよくお伺いするようになりました。今後は、副業可の企業が選ばれる企業になるということでしょうか。また、パラレルキャリアを狙って副業を視野に入れる方もいらっしゃれば、正社員の収入だけでは十分ではなく、終業後に副業を行わざるを得ない方もおられますので、副業の目的も様々です。

そこで、今日は、あまり知られていない「副業と残業代」の関係についてお話ししたいと思います。実は、1日8時間働いた後に、そのまま他の企業で副業をするとなると「残業代」が発生することになるというのです。

副業は、法律では禁止されていない

そもそも、副業は労働基準法上、禁止されているわけではありません。ただ、「全力をわが社に注いでいただくのが当然」という考えが会社勤めの掟のようなものとなっていて、副業禁止を就業規則に明記している企業が多いのです。

もちろん、副業を認めることが義務化されているわけでもありませんので、まだまだ副業を禁止している企業も多いのが現状です。ただ、今後、働き方改革の後押しもあり、徐々に解禁せざるをえない世の中になってくる可能性もあります。学生の就職活動で会社を決定する決め手の中に、「副業可能であるかどうか」がポイントになる時代も、そう遠くないかもしれませんね。

1日8時間労働/週40時間が法定の勤務時間

労働基準法では、原則、労働時間は「1日8時間/週40時間まで」と決められています。オーバーした時間外労働分は25%増し、夜10時~朝5時までの深夜は50%増し、休日だと35%増しで支払わなくてはなりません。

もし、1日8時間就業した後に、他社で副業を1時間でも行うとなると、法定労働時間を超えて働くこととなりますので、実は1時間分の賃金は割増した額でもらうのが正しいとなります。また、その残業代は、副業先の企業が払わなくてはならないのです。

この法内労働時間は「一つの会社において」という規定はなく、「労働者一人」の一日・週の労働時間となりますので、1日8時間就業した後に違う会社の仕事を副業として行った場合は、副業先の企業が割り増し賃金を払うこととなるわけです。これを支払わなければ、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金(労基法119条)となりますので、副業として働く労働者を雇用する場合は要注意です。

ただし、この労働基準法は、「労働者」(=事業(いわゆる会社)との間に使用従属関係があり、労務の提供に対して賃金が支払われている者)に対しての法律ですので、個人事業主が業務委託で仕事をする場合などは当てはまりません。

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現実的に、副業先で残業代をいただくのは難しいですが・・

しかし、この法律上の云々を知っていたとしても、現状、副業先で残業代の追加をお願いするのは非常に厳しいのが現実ではないでしょうか。ただ、最低限の現在の決まりとして、是非頭には入れておいていただきたいものです。

労働基準法が制定された戦前昭和の時代、その頃と現在では大きく時代は変わりましたので、法律の条文はなかなか時代にそぐわない部分も多いようです。現在、政府も副業や兼業を後押ししており、今後の働き方は、労働基準法に記載のある決まりの中では収まりきれなくなっていくことが予想されます。

会社が10名以上、常時労働者を雇うこととなった場合、就業規則を作成することが義務付けられていますが、その際、厚生労働省のモデル就業規則が参考にされる場合が多くあるそうです。そのモデル就業規則に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という、副業を原則禁止するような文言が含まれているので、このモデル就業規則の見直しも進んでいるそうです。

これから副業をする方が増えてくるにつれ、様々な賃金、休暇等の問題も明るみに出てくるかもしれません。その時代の流れに応じて、今後も継続した法律の改正が進められることを期待しますが、働く側も雇う側も、その副業というメリットを存分に生かしながら、より幸せに働き、よりよい社会を作っていくためであることを、忘れないようにしたいものです。


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