多様な働き方の実現のために~変形労働時間制とフレックスタイム制~


今年2017年3月から、運送会社大手の佐川急便が「週休3日制」を導入しはじめたことで話題になっています。これは、1日8時間の労働時間を10時間にする代わりに、週の休みを1日増やすというものです。これとともに、副業や家業、自分のやりたいこととの両立がより柔軟に可能になったそうです。また、この勤務形態に魅力を感じ、志望する方も増え、人材不足の解消にもつなげたいという期待もあるようです。

1日10時間労働は、法定労働時間8時間を超えていますが、「変形労働時間制」という制度を採用しているため、法律違反ではないことになります。

今日は、この「変形労働時間制」、「フレックスタイム制」について触れてみたいと思います。これらは、多様な働き方が広まっていく昨今、求人票でもよく見かける労働時間制度です。転職をする側としての、最低限の知識として参考になれば幸いです。

4つの「変形労働時間制」があります

労働基準法では、4つの変形労働時間制が認められています。

①1ヶ月単位の変形労働時間制
②フレックスタイム制
③1年単位の変形労働時間制
④1週間単位の非定型的労働時間制

1日8時間という法定労働時間がありますが、これを1日単位ではなく、月単位・年単位・週単位で計算してく制度のことをいいます。繁忙期と、閑散期があきらかにある企業では、とても有効な制度といえます。今日は、上記の中でも多く取り入れられている「1ヶ月単位の変形労働時間制」と「フレックスタイム制」についてお話しいたします。

「1ヶ月単位の変形労働時間制」とは?

1ヶ月28日の月=160.0時間/月、30日の月=171.4時間/月、31日の月=177.1時間/月※のように、月ごとの法定労働時間の総枠の中で、就業時間を定めていきます。この範囲内であれば、1日7時間労働の日があっても、10時間労働の日があっても良いことになります。この場合、1日10時間と決められた日に10時間働いた場合、1日8時間という法定労働時間を超えていますが、残業代も発生しないことになります。

このように、忙しい週は48時間働くことが必要だけど、そうでない週は35時間程度で足りるような、閑散期・繁忙期が明確にあるという職種や業種では取り入れる企業も多くなります。現場にあった適切な変形労働時間制を取り入れることで、企業側からすると残業代を抑えることにもつながるとも言えます。

こちらは、就業規則でしっかりと変形期間中の始業時間、終業時刻、変形期間の開始日などを明らかにしておく必要がありますが、三六協定のように労働基準監督署に事前に提出する必要はありません。

もちろん、就業規則で決められた時間を超えて働いた場合は、残業代が別途発生します。

フレックスタイム制とは?

こちらは、始業時間と就業時間を、労働者に任せましょう、という制度です。ただ、何時に来ても何時に帰っても良いというわけではなく、就業規則で始業と終業の時間をフレキシブルタイムとして幅を持たせて設定したり、コアタイムを設けたりと、各社決まりを設けています。

先に説明した「1ヶ月単位の変形労働時間制」と同じで、月単位で集計して給料に換算する労働時間制度になりますので、月単位の法定の時間数(例:30日の月は171.4時間)内で勤務することになります。もちろん、これを超えれば、残業代が別途発生することになります。

始業と終業が労働者に委ねられているので、子育てや介護等で、時間に制約がある方にとっては、非常に働きやすい制度ではないでしょうか。また、そうでない方にとっても、プライベートな時間との両立が容易になり、より充実した健康な生活を保つことにもつながるでしょう。

ちなみに、コアタイムやフレキシブルタイムを定めるかどうかは、必要とはされてはないのですが、実際は就業規則で定めている企業が多いようです。

誤った制度の利用をしていないか注意!

例えば、1ヶ月変形労働時間制において、1日10時間働く週が制定されている場合、その10時間働くことがいつの間にか通常となってしまい、1日7時間勤務と定められた週でも10時間働かなくては帰れない雰囲気になっている、というケースもあるようです。こうなると、この制度の意味がなくなってしまい、労働者は逆に疲弊してしまうことになりますね。

今日ご紹介した制度は、両方とも実働時間をきちんと把握する必要があり、決められた時間を超えれば残業代も発生するものです。何時間も働くことができるもの、残業代を払わなくて良い仕組み、などと誤った解釈がなされることのないようにしたいものです。

今後の時代の変化とともに、労働者と使用者側が対等の立場で考え、適切な制度を必要な方が利用し、よりよい生産性の向上と企業の繁栄、そして労働者の幸せへとつながるようになればと思います。現在、法律で定められている労働時間制度も、より時代の変化にあった仕組みとして発展していくとよいですね。

※「法定労働時間の総枠」の出し方:
1日40時間×(暦月÷7日)で計算(40時間の部分は、商業、映画・演劇業、接客娯楽業で、従業員数が10人未満の事業所の場合44時間で計算)

例)1ヶ月30日の月=40×30÷7=171.4時間