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家族の幸せのために自分の幸せを犠牲にしていませんか?


共働き世帯数が、男性雇用者と専業主婦という世帯数を上回ってから約20年が経過しています。産休育休を取得することも一般化し、出産後も働き続ける女性が増えています。
(参考:男女共同参画白書(概要版) 平成29年版)

しかし、男女共同参画白書のデータによると、たとえ共働きであっても家庭の家事育児や介護についてはほとんどが女性が担っているという現実があります。
(参考:男女共同参画白書<6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連行動者率>)

実際に、エスキャリアのキャリアカウンセリングサービス(マイ・カウンセラー)にも、仕事と家事育児に奮闘している方からの悩みがたくさん寄せられています。大事なもののために一生懸命になっている姿はとても素敵なのですが、一方で家族の負担を一身に背負っている様子をお聞きし、キャリアカウンセラーとしては心配になってしまうことも多々あります。

そこで今回のコラムでは、実際に相談にいらっしゃった方の事例をもとに、私たち女性が家族のために自分たちの幸せを犠牲にしない方法について考えていきたいと思います。

◆事例 Aさん、30代女性(既婚、3歳年上のパートナー、子ども2人の4人家族)

第二子の育休からの復帰を数か月後に控えています。夫は残業が多く、子どもが寝た後にしか帰って来られません。今までは時短勤務をで何とかやってきましたが、子どもが一人だった時でさえパンクしそうになっていたのに、今後は子ども二人を抱えてやっていけるか不安です。近くに助けてくれる人もいないので、退職して近場でパートやアルバイトをしようかとも考えています。

■Aさんが抱える問題点

①パートナーのキャリアを一番に考えるがあまり、Aさんが自分のキャリア構築を後回しにしている

Aさんの中には、パートナーの方が年収が高いため、「稼ぎが少ないほうが家事育児をしなければいけないのではないか」「パートナーの家事育児分担を増やすことで、彼の出世に差し障りがあるのではないか」という思いがあるようでした。また、Aさん自身が、パートナーの仕事内容と自分の仕事内容を比べて、「私は平社員だけど、パートナーは課長だから」とおっしゃっていたのも気になりました。

しかし、そもそもAさんご夫妻の場合、パートナーの方が3歳年上ですし、産休育休で休んでいないパートナーが、Aさんよりも年収や役職の上で上になるのは考えうることです。さらに言うと、Aさんが家事育児を担ってきたからこそ、パートナーは仕事に打ち込めて出世できたのかもしれません。

Aさんは、子どもを産み育てて家庭を運営してきたののにも関わらず、それを考慮に入れず、会社という人生の一部分の評価だけを見て自分自身を卑下しています。

年収や役職が下ということと、人としての価値はイコールではありません。自分の人生なのですから、パートナーが「仕事上の夢」を持つのと同様に、Aさん自身も「仕事上の夢」を持っていいのです。自分の人生なのに、自分がやりたい仕事を諦めて生活費のためだけに働くというのは悲しいことです。

■Aさんのパートナーが抱える問題点

①子供が生まれた後もパートナーが今までと変わらない働き方をしている
Aさんのパートナーは、結婚前から現在も帰宅が深夜になることが当たり前という生活をしています。平日の帰りが遅いため、週末は遅くまで寝ていることが多く、結果的に家事育児はほぼAさんがやることになっているようでした。

この点については、パートナー自身が「本当にその時間まで仕事をしなければいけないのか」「仕事のやり方に問題はないか」、そしてそもそも「その働き方をこれからも続けたいか」という点で抜本的に考える必要があるのでは?と、カウンセラーは指摘しました。

子どもが生まれて家族が増えるということは、その分の家事や育児にかかる時間が当然増加するということです。どうにかしてその時間を捻出するには、結局は睡眠時間か仕事時間のどちらかを削ることが必要になってきます。

Aさんのパートナーは、長時間労働について「新入社員の頃から、それが当たり前だと思っていた」ようで、特段早く帰るための工夫をしていないようです。家事育児への参加以前に、長時間労働が健康に与える悪影響を考えてもパートナーの働き方を変えることは必要だ、とAさんはおっしゃっていました。

■Aさんご夫妻が今後一緒に考えること

Aさんは、第二子の育休明けに時短で復帰するかそれとも退職して近所でパートやアルバイトをするかで迷ってカウンセリングにいらっしゃいました。しかし、AさんもAさんのパートナーも家計のことをあまり考えずにいたようです。

家計の収入を維持するためには、Aさんがパートナーを支えることで、相手に出世してもらい給与を伸ばすという方法もあります。しかし、パートナーがどんなに頑張っても、一人の労働者の年間の昇給幅には限度があります。Aさんが正社員で働いている仕事を辞めてパート勤務になると、共働きの頃と比べたら年間数十万~数百万円単位で家計の収入が下がる可能性があります。

働き方に迷った時は、家族としてどういう暮らしがしたいのか、今後どういうことに大きなお金を使う可能性があるのかなどをシミュレーションして、家庭に必要なお金を把握してみましょう。大事なことは、「根拠をもとに判断すること」なのです。

※参考:ゆうちょ銀行 ライフプランシミュレーション
    リクルート iction! みらい家計シミュレーション

さいごに~家族の幸せのために自分の幸せを犠牲にしていませんか?

カウンセリングの結果、Aさんは、ひとまず時短勤務で職場に復帰すると決定しました。そして、それに伴い、パートナーと家事育児の分担について話し合うとおっしゃっていました。

キャリアカウンセラーとして多くの女性の相談に乗っていると、「私のキャリアなんて大したもんじゃないので辞めたって良いのですが」「子どもや家族に負担をかけてまでする価値のある仕事でもないですし」などと、まるで「いつでも私は自分のキャリアを投げ出すことができますよ」とでもいうような心づもりをしている方に多く出会います。そこに私は、女性たちの葛藤の跡と家族に対する強い責任感を感じるのです。

しかし、そもそも「子どものことが大事。パートナーのことが大事。『仕事なんか』その二つに比べたら、大事じゃない。だから、そんな大事じゃない仕事なら家族の負担にならないように諦めるべき。」と自分のキャリアを犠牲にする必要はあるのでしょうか?

私たち女性は「子どもと同じくらい大事なもの」でないと手に入れてはいけないのでしょうか?そんなはずはありません。

あきらめる前に「家族のことが一番大事だけど、仕事で感じる充実感や成長している感じ、人との関りも好き。両方手に入れることはできないかな?」と考えて、もっと「両方手に入れるために」知恵を絞ってもいいのではないか、と心から思います。

家族のために自分を犠牲にしすぎないように、自分の人生を生きていくように、ぜひ私たちキャリアカウンセラーにご相談ください。本当に「その人らしい」人生を歩めるよう、精一杯サポートさせていただきます。


この記事を書いた人

山口 奈生 さん
大学卒業後、大手損害保険会社の総合職として勤務。夫の海外留学に帯同するために、子ども二人とともに渡米。帰国後、キャリアカウンセラーの資格を取得し、第三子を出産。人材サービス会社で勤務ののち、キャリアカウンセラーとして独立。現在、再度家族で渡米し、アメリカ⇔日本のリモート勤務中の、一男二女の母。
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