先日のコラム「フリーランスという働き方」では、フリーランスとはどのような働き方なのかについてお話しいたしました。今回は、これからフリーランスとして始動したいとお考えの方に、フリーランスで働く上での4つの心得をご紹介したいと思います。
※フリーランスについての説明はこちらをご覧ください:「フリーランスという働き方」
◎心得1:「思い切って自分に投資も~セルフブランディング確立のために ~」
どんな職種においても、今よりもスキルを上げたい、とは誰もが目指していることですが、フリーランスの場合はなおさらです。より上のスキルを習得すれば、質の高い仕事、クライアントからの信頼度の向上、報酬アップにもつながり、ご紹介で仕事が増えることもあるでしょう。それが、ご自身の価値の向上へとつながっていきます。
ご自身のセルフブランディングを後押しをしてくれるものの1つに、資格取得があります。資格取得には金銭面だけではなく、多大な時間の投資も必要になりますので、覚悟も必要です。フリーランスとして成長し続けるためには、目の前のお仕事に真摯に取り組むことと同時に、資格取得だけではなく、継続的なスキルアップやブラッシュアップの機会を設け、自己研鑽の時間も確保していきたいものです。
会社の看板というものを背負わない代わりに、フリーランスでは「自分はこれができます!」というものを、しっかりと示していく必要があります。資格や肩書だけではなく、高い知識やスキルの習得、実務経験を日々積みあげながら、セルフブランディングを確立していきたいですね。
◎心得2:「クライアントと築く信頼関係は基本中の基本」
フリーランスになると、会社の看板を背負っているわけでもなく、自分の名前がその看板になります。そのため、あなたのお人柄やスキル、信頼性が重要になってくることは言うまでもありません。
どんどん仕事が舞い込んでくる方の共通点として、クライアントとの信頼関係・人間関係が良好であるという点が挙げられると思います。信頼関係を築くには、やはり技術が高いかどうか、いい仕事をしてくれるかどうかは大事な点になります。それ以外にも、約束が守れるか、自分本位ではなく相手の立場に立って物事を考え仕事をすることができるか、など社会人としての最低限の基本もさらに重要になってきます。
また、様々なお仕事を受けるようになると、いろいろな方とのお付き合いも必須となってきます。自分のやり方だけを突き通したり、クライアントの言うことだけを聞いていては、なかなかスムーズに仕事は進みません。相手によって話し方や対応の仕方を変えて、うまく対処していくことが必要になるでしょう。
最初は苦労することもありますが、そのような人間関係を築くことができれば、素直に「また一緒に仕事をしたい!」「お願いしたい!」と思うのが人間です。次第に紹介でもお仕事をいただくようになり、経験やスキルも高まり、人脈も増え、将来にもつながることになります。
◎心得3:「仕事の提案・見積もりは先を見越して」
クライアントは、いかに妥当なコストで高いクオリティの仕事を短期間でしてもらえるかということを考えて業務委託を検討しているといっていいでしょう。
- 説得力かつ無理のない仕事の提案・見積もりを
お仕事の提案時には、ご自身のスキルをアピールできるもの(実績やポートフォリオ等)を提出するのと同時に、相手の要望をしっかり把握し、いかに応えられるか、現実味のある提案(報酬金額、クオリティ、納期)をするよう心がけたいものです。自分本位ではなく、当然、相手が求めるものに応えるよう努力をすることが大切です。
また、はじめから安価で依頼を受けたり、無理な納期でできると約束してしまったりすると、後々ご自身が苦労することになり、約束が守れずに信頼を落とすことにもつながりますので、要注意です。
- ‘来るもの拒まず’はほどほどに
フリーランスを始めたばかりの方は、仕事欲しさのあまり、「来るもの拒まず」で無理な引き受け方をしてしまうものです。軌道になるまでは、多少そのような心意気は必要かもしれませんが、クライアントの要望に有無を言わず応えるだけでなく、少しずつご自身の要望もうまく取り入れてもらえる状態を目指していけるといいですね。
◎心得4:「契約内容は細かく確認」
契約書には少々難しい言葉づかいや聞きなれない言葉が出てくるものです。それを十分に理解しないまま、契約してしまうことはご自身にとって不利になることもありますので、しっかりと正しく理解した上で、仕事をスタートさせることをおすすめいたします。
- 『委任』か『請負』かの確認
フリーランスは、クライアントと「業務委託」契約を結んで仕事をすることになりますが、その‘委託’にも、「委任」と「請負」と2つの種類があり、ここを最初に確認しておくことが大切です。
●「委任」
業務の納品物や成果ではなく、その業務自体が対価となり、委託された仕事を行えば、成果に関わらず契約は果たしたことになります。例えば、弁護士さんなどは、お1人お1人にベストは尽くしますが、必ず勝つという成果を上げなければならない、というわけではありません。
●「請負」
こちらは委任よりも多少責任が重くなります。仕事を完成して成果を収める義務を負いますので、成果物を提出するまでは報酬は得られないことになります。また一旦仕事が完成したとしても、それに瑕疵(欠陥)があれば、その修正や修補などを行う責任を負います。例えば、システムを開発する請負仕事の場合、クライアントの要求どおりのものを納入しなければ、契約を満たしたということにはなりません。請負途中での契約解除もできないことになっています。
曖昧な部分はそのままにせず、仕事をスタートする前にしっかりと確認しておくことをおすすめいたします。
その他にも、細かいことにはなりますが、契約期間の認識に相違がないか、交通費の負担はどちらが行うかな、双方の認識を合わせておくことも大切です。
いかがでしたでしょうか。
フリーランスは大変だ!と思われたかと思いますが、確かに、最初から何もかも楽ではありません。ですが、慣れれば、時間に縛られずに自由な働き方が実現し、理想の人生に近づくことも可能です。また、ご自身の頑張り次第で報酬もアップするという魅力的な働き方でもあります。
もちろん、今回ここでお話しした4つの心得以外にも、様々な心得はあると思います。慣れないうちは、他のフリーランスで活躍している方のお話しを聞いたり、ネットで調べたりして、常に情報収集を心がけてくださいね。