「怒り」というのは、誰しもが持っている感情ですね。その感情によって、自分自身が惑わされ集中力がなくなったり、周りの方を傷つけてしまったり、人間関係が不安定になったり。子育てがうまくいかないと感じることもあるでしょう。
「怒り」に対する対処法は世の中にたくさんあります。2016年5月28日(土)には、エスキャリアでも「アンガーマネジメントを体験してみよう」という講座を開催しますが、今日は、お金も物も不要、日常の生活でできる「マインドフルネス」という実践方法をいくつかご紹介したいと思います。
欧米では、ママやパパ、大人はもちろん、子供も実践しているというマインドフルネス。米国Google社やアドビ社、インテル社など欧米の大手企業が社員研修として取り入れていることでも有名なのです。
「マインドフルネス(mindfulness)」とは?
マインドフルネスとは、さまざまな思考や先入観を手放し、今この瞬間をしっかり意識すること、またはその状態のことを言います。反対語は「forgetfulness=ぼんやりとした散漫な心、気づきのない意識状態」。(「ブッダの幸せの瞑想(ティク・ナット・ハン師著)」より)。マインフドフルネスな状態を手に入れるための実践方法として、様々な種類の瞑想があります。
過去や未来、怒りや悲しみなどの感情や思考にとらわれず<今ここに集中する>ことで、その時の充実感や幸福感をしっかりと味わうことができるようになるそうです。仕事においては、余計なものにとらわれず集中することで、パフォーマンスが上がることも期待されます。その幸福感に満ちた瞬間の積み重ねが、そのまま人生になっていくのですね。
その実践方法は?
大事なポイントは<今ここに集中する>。簡単なように聞こえますが、これが実際できている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。シンプルで当たり前のようなことですが、それこそが意外と難しいのです。
私たち現代人は、大変多忙を極めます。過去にとらわれたり、これからの出来事や未来に気が取られたり、心は今この瞬間にはなく、別なところにあることが多いのではないでしょうか。
「今ここに集中する」ことができれば、今まで気付かなかった大切なことに気づくこともできるようになるので、幸福感や充足感をしっかりと得ることができます。また、続けることによって、心が鍛えられ、様々な負の感情や、過去・未来にとらわれることがなくなってくる、というものです。その「心」の訓練が、マインドフルネスの実践になります。
マインドフルネスな状態を保ち、怒りをうまく対処していくには、少々毎日の実践練習が必要になります。今回はほんの一部をご紹介します。
① 単純に「息を吸う、吐く」をたどってみる
もし、職場や家庭生活の中で「怒り」の感情が起こってきたら、怒りの対象となる人に対して、何か言葉を発する前に行ってほしいのがこれです。簡単ですが、やってみると大きな効果を感じていただけるはずです。
○ 立ったままでも座ったままでも、電車の中でも構いません。心の中で「今、息を吸っている」「息が出ていっている・・」と言いながら、普通のペースで呼吸を行ってみてください。
○ 次第に呼吸がゆっくりと落ち着いてくるでしょう。呼吸が深まるにつれて、心は身体に戻り、一つになった感じが味わえます。
心と身体が一つになれば、過去にとらわれたり、未来に焦りを感じたりせずに、今この瞬間に立ち戻ることができます。ご自身の呼吸が浅く、速い、またはちゃんと呼吸をしていないという点に気づくこともあります。
未来に先走り、感謝の心を忘れ大事なことではない部分にとらわれているか、そしてそれが、ご自身の心と身体に不快な状態を作り上げているということに気づくのではないでしょうか。
② 歩く瞑想
瞑想というと、座禅を組んで目をつぶり、じっとしていることを想像しますが、瞑想には実は多くの方法があります。その一つに「歩く」瞑想があります。
もし、怒りを感じたら、まずは屋外、オフィスの廊下などに出てみてください。そしてゆっくりと、ご自身の「歩行」を呼吸とともに意識していきます。
○ まずは吸う息で2歩、吐く息で3歩、ゆっくりと歩いてみましょう。そうすると、自然に呼吸がゆっくりとリラックスしていきます。その歩数と呼吸に100%意識している間は、その瞬間に意識していますので、怒っていた自分を忘れていることになります。
○ 5分程度続けるだけでも、5分前よりは心が落ち着き、穏やかになっていることに気づくでしょう。怒りの気持ちは収まり、正しい判断、そして怒りの対象となった方への、適切な声掛けもできるようになっているのではないでしょうか。
ベトナムの親は、子供たちに「怒ったり、悲しんだり、いらいらしてもいいけど、5分だけだよ」と言うそうです。
私たちには、怒ったり悲しんだり、様々なマイナスの感情はどうしても湧き起ってきます。それでこそ人間らしく、その感情が出てきた自分を責める必要はありません。でも、できれば、せめて5分くらいには留め、上手に対処していきたいですね。
ご自身に合った方法で。人生・仕事ももっと楽になるかもしれません
怒りに対処する方法として、日常でできる「マインドフルネス」の実践はおすすめです。ご興味のある方は、「ブッダの幸せの瞑想(ティク・ナット・ハン師/出版:株式会社サンガ)など、マインドフルネス関連著書を是非手に取ってみてください。この本の著者ティク・ナット・ハン師は、米国Google社でも、研修講師として登壇している方でもあります。
様々な方法を知り、ご自身にあった対処法がみつかるといいですね。人生も仕事も、もっと楽になれるかもしれません。
■2016年5月28日(土)13:00~15:00:「アンガーマネジメントを体験してみよう」