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転職する?しない?私は他社で通用する?~自分の能力に自信がない方へ~


エスキャリアのキャリアカウンセリングサービス〈マイ・カウンセラー〉には、 転職 を考えている方からの相談がたくさん寄せられています。

今回は、マイ・カウンセラーに相談にいらっしゃった方の事例をもとに、転職を決意する前に考えておきたいことについて解説していきたいと思います。

カウンセリング事例:Aさん33歳(未婚)
新卒で入社した会社で営業事務をしています。
営業事務と言いつつも、それ以外の仕事も数多く担当させられて「なんでも屋さん」状態で働いています。古い体質の会社なので、営業事務の女性が出世した前例もなく、年収も上がることが見込めないので、転職したいと思っています。ただ、結婚を考えている相手がいて、今の会社だと産休育休は取りやすいし、慣れた環境で働き続けるのも悪くないと思います。また、正直言って「何をしても、普通」という感じで、何か特別できることもなく、この歳で転職する勇気がないというのもあります。

一見、Aさんは、転職するか/転職しないか、の二択で迷って動けないでいるように見えますが、実は根底にある問題は「自分の能力に自信がないこと」なのです。なぜなら、自分の実力に自信があったら、年収を上げるために転職活動を進めることができますし、転職しないにしても、上司に自分のキャリアプランを伝えて、営業事務の女性として初めての出世を勝ち取ることもできるかもしれないからです。

キャリアカウンセラーとしての経験からお伝えすると、女性の大半が自分の力を「正しく」認識しないまま、なんとなく自分の感覚に従って自分を低く見積もっています。
それは、謙虚さという美徳で済むものではなく、「自分自身に対する見誤り」でもあるのです。そこで今回は、なるべく正確に自分の力を認識する方法をご紹介したいと思います。

1.自分の力を「正しく」認識するためのワーク

①新入社員の頃の自分を思い出して、現在の自分と比べて紙に書きだす

新入社員の頃と比べて今の自分は何ができるのか、どんなに細かいことでもいいので、50個書くつもりで紙にどんどん書き出してみましょう。

かかってきた電話に出るだけで汗をかいた、メールを一つ送るだけで数十分かかった…などと細かく思い出してみると、今の自分が過去の自分と比べて驚くほど多くのことを身につけていることに気づくはずです。

②身につけたことをグルーピングしてみる

書き出した「身につけたこと」を二つのグループに分けてみましょう。

1つ目は、テクニカルスキルのグループ。テクニカルスキルとは、特定の業界や職種で必要とされる能力のことです。Aさんの事例でいうと、新卒から営業事務として一つの会社で働いてきたため、その会社ならではの営業事務のやり方や、その業界特有の知識・業務がこれにあたります。また、簿記の資格もテクニカルスキルにあたります。

2つ目は、ポータブルスキルのグループ。ポータブルスキルとは、特定の業種・職種・時代背景にとらわれない能力のことです。Aさんの事例でいうと、お客さまへの商品説明、取引先との交渉、また、後輩の育成や課内の予算管理などがこれにあたります。その他にも、社内で業務分担をスムーズに決めたこと、社内外の人たちに円滑な業務連絡を行うことなども、ポータブルスキルを発揮していると言えます。

通常、これら①、②のワークを行ってみると、「私、こんなにいろんなことができるんだ!」と自分で驚く方が大半です。一つ一つ思い出して、言葉にして、まとめる。この作業によって自分の記憶の中に埋もれている自分の力を「正しく」認識し、その先の道を決めることができます。

2.自分の力を「他人に伝える」ためのワーク

上記1-①、②は、主に自分が自分の力を認識するためのワークですが、実は自分が認識しただけでは不十分なことがほとんどです。というのも、「自分以外の誰かに自分の能力を伝える」ということができないと、他人から適切な評価が得られない可能性が高くなるからです。

それを避けるために、1-②でグループに分けたものに、一つひとつタイトルを付けてみましょう。テクニカルスキルであれば、電話応対、見積書発行、予算管理…などであれば、「ビジネススキル全般」または「営業事務」などのようなまとめ方になりますが、特にポータブルスキルについては「〇〇力」「〇〇能力」というまとめ方をしてみましょう。

Aさんの事例でいうと、

・コミュニケーション力…お客さまへの商品説明、取引先との納品日交渉
・マネジメント力…新入社員教育、部内の業務分担

などのように、タイトルを付けます。つまり、タイトルが持っている能力をずばり説明し、1-①で書きだした一つひとつの事例がその能力を説明するときのエピソードとなるのです。

女性の傾向として、「自分の能力を他人に説明する」ということにためらいを感じたり、上手く言葉にできないことから他人に理解されづらく、結果的に過小評価されてしまうケースが多いように感じます。

自分の力を正しく認識し、それを他人に伝え理解してもらうことは、自分自身を適切な環境に置くための必要なプロセスであることをしっかり認識しましょう。

3.さいごに~自分の能力に自信がない方へ~

カウンセリングの結果、Aさんは、一旦転職活動を見送ることにしました。それは、Aさんが今まで自分の能力を上司に言葉できちんと伝えていなかったことを自覚したからです。また、自分の能力を認識したからこそ、次にどのようなことにチャレンジしたら良いかも見えてきたようでした。

「きちんとやっていれば、上司は評価してくれると思っていました」「営業事務が昇進した前例がないことで、自分にも無理だろうと最初からあきらめていました」とAさんはおっしゃっていました。

実際、私たちキャリアカウンセラーが、Aさんのように転職を考えて相談にいらっしゃる方にそのままストレートに転職を進めることは、ほぼありません。なぜなら、実は「転職」がその方の根本的な問題解決にならないケースが多いからです。

私たちは、相談にいらっしゃった方と一緒にその方の能力を洗い出して言語化し、今後のキャリアプランを一緒に考えていきます。悩んでいる方はぜひ一度<マイ・カウンセラー>へ相談にお越しください。


この記事を書いた人

山口 奈生 さん
大学卒業後、大手損害保険会社の総合職として勤務。夫の海外留学に帯同するために、子ども二人とともに渡米。帰国後、キャリアカウンセラーの資格を取得し、第三子を出産。人材サービス会社で勤務ののち、キャリアカウンセラーとして独立。現在、再度家族で渡米し、アメリカ⇔日本のリモート勤務中の、一男二女の母。
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