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育休中にやっておきたい心と体のケア ~心編~


妊娠、出産という大仕事を終えた女性の体は、ご自身が考えている以上にダメージを受けているものです。育休中はどうしても、お子さんのお世話を優先してしまいがちですが、ご自身の心と体にも、もっと目を向けてみませんか?
職場復帰後は、慌ただしい生活が待っています。育休中の今のうちに心と体のケアをしておくことは、職場復帰後のご自身のためにもなりますよ。

今回は「育休中にやっておきたい心と体のケア」の心編ということで、育休中の心をケアする方法についてお伝えしていきます。

育休中にストレスが溜まりやすいのは、なぜ?

育休中は、特にストレスが溜まりやすいことを、ご存じですか?

ストレス(正しくは「ストレス反応」)とは「外部刺激」に対して起こる「体の反応」のことです。お子さんと24時間一緒にいる育休中は、実は、この「外部刺激」に常にさらされているような状態になっています。

お子さんの成長をずっと傍で見守ることのできる育休中は、この上ない幸せな時間であることでしょう。でも、ストレス反応は自分にとって嬉しいことや、好ましい状態であっても起こります。子育てはとても幸せですが、実はすごく緊張した状態が続き、睡眠も少ない「高ストレス状態」なのです。

産まれたばかりのお子さんは、当然何をするにも親の手助けが必要です。授乳、おむつ替え、着替え、沐浴、寝かしつけ・・・もちろんママご自身の時間は少なく、なんとかお子さんが寝てご自身の時間を作れたとしても、すぐにまたお子さんが泣き出すなんてことも多々あります。夜間も授乳のために何度も起こされ、まとまった眠りを確保できません。

また、お子さんはママの思い通りに動いてはくれません。電車の中で泣いたり、出かける直前にウンチを漏らしたり…。大人だけの世界ではあり得ないような出来事を、次から次へと引き起こします。

例えばママが「この時間までに、この家事を終わらせよう」と思っていても、こんな状態ですから、なかなか予定通りには進みません。むしろ、理想と現実の差に焦ることになってしまいます。こうした出来事はすべて、外部刺激そのものですよね。

また、周りの親子や育児書などから得られる情報も、外部刺激です。お子さんの発達のペースは人それぞれですが、子育て広場などに行けば、どうしても他の親子の様子が気になってしまうものです。

今は育児に関する研究も進み、さまざまな情報があふれています。でも、その通りにやろうと思っても、なかなかマニュアル通りにはいかないのが育児です。自分のやり方を信じて、突き進むことができたら楽なのかも知れませんが、より多くの情報を得ながら、お子さんにとって適切な選択をしていきたいと思うのが親心。だからこそ、情報と現実のギャップに振り回されることも多く、ストレスを感じてしまうのです。

このように、24時間365日体制で育児をしている育休中は、物理的にも精神的にも常に高い外部刺激にさらされている状態。ママの心は休む暇がないのです。

ストレスのメカニズムは?

では、どうしたらストレス解消できるのでしょうか、といったお話に入る前に、ストレスのメカニズムについて知っておきましょう。
人間の体は外部刺激を感じると、主に2つのストレス反応を示します。

■ストレスホルモンが分泌される

人間の体では、外部刺激によってコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれており、血糖や血圧を上げる作用があります。
人間の体は、血糖を上げることで体の中の栄養分を増やし、血圧を上げることで血液が体内をめぐりやすいようにしています。その作用によって、脳に十分な栄養分が行き届き、頭が冴え、外部刺激と闘うための戦闘態勢が整うのです。

■「交感神経」の働きが優位になる

人間の体には「自律神経」という組織があります。自律神経は、呼吸や消化、血液の循環など、人間が無意識に行う体の働きをコントロールする働きを担っています。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、「交感神経」は活動しているときや、緊張しているとき、ストレスを感じたときに優位になる神経です。一方で「副交感神経」は眠っているときや、食事をしているとき、体がリラックスしているときに優位になります。
交感神経の働きが優位になると、瞳孔が開いたり、脈拍が上がったり、呼吸が早くなったりと、体が活動モードになります。そうすることで、外部刺激に対処する準備が整うのです。

こうしたストレス反応は、適度である分には問題ありません。むしろ体が活動モードになることで、難題にも対処していくことができるようになります。

問題なのは、過度な反応が長く引き起こされているときです。

コルチゾールの分泌が過剰になると、高血糖や高血圧が引き起こされ、糖尿病や心筋梗塞になるリスクが高まります。これらは命に関わる病気です。

また、交感神経が優位な状態が続くと、体が活動モードのまま休むことができません。通常であれば、夜は副交感神経が優位になり、日中の活動で疲れた体を回復させます。でも、ストレスによって交感神経が優位な状態が続くと、体に疲労が溜まったままになってしまうのです。疲労が溜まると、腰痛、倦怠感、頭痛、肩凝り、めまい、不眠、うつ症状など、さまざまな不調が引き起こされます。

このように、過度なストレス反応は、体に深刻な問題を引き起こしてしまう可能性があります。ストレスは上手に解消していかないと、後々大変なことがわかりますね。

 

ストレス解消のために、育休中にできることは?

こうしたストレスのメカニズムを踏まえると、ストレス解消をするということは、外部刺激によって引き起こされたストレス反応を鎮める作業ということになります。

だからといって「ホルモンの分泌を抑えよう!」と思ったところで、それは不可能ですよね。でも、自律神経の働きならどうでしょうか?

赤ちゃんのお世話をする育休中は、24時間365日態勢でママは活動することになり、常に交感神経が働いているような状態です。そこをなんとか副交感神経の働きを優位にすることができれば、自律神経のバランスが正常な状態に戻りそうですね。

副交感神経は、睡眠中やリラックスをしているときに働きます。そのため、意識的に睡眠を取ったり、リラックスの時間を作ったりすることで、副交感神経を優位にすることができるのです。

具体的には下記のような方法はいかがでしょうか?

■好きなものを食べる

授乳中はお酒を飲むわけにはいきませんから、おいしい飲み物と共に、自分が好きなものを食べてみるのがおすすめです。ママたちに話を聞いてみても、好きなものを食べてストレス解消をしているという声はよく聞きますよ。

■好きなことをする

好きなことは人それぞれですが、買い物や、録画したテレビ番組を見るといったものが人気です。買い物は、忙しい育児の合間に家でできるネットショッピングを利用している場合が多いようですね。録画したテレビ番組は、お子さんに中断されてしまう可能性もありますが、夜であれば、多少はまとまった時間が作れるかもしれません。

■一人の時間を作る

数時間だけでも、パートナーやご家族にお子さんを預けて、一人で出かけてみてください。問題は授乳ですが、そこはパートナーにミルクの作り方を覚えてもらいましょう。哺乳瓶が苦手なお子さんもいらっしゃるでしょうが、授乳の間隔を見計らって、美容院に出かける程度のおでかけにとどめておくのもいいですね。たとえ数時間であったとしても、自分のペースで過ごす時間を持てると、だいぶ違うはずです。

■おしゃべりをする

家にお子さんと二人だけでいると、どうしても息苦しくなってしまいます。そうならないためにも、子育て広場などに出かけ、スタッフの方々に育児相談をしたり、同じくらいのお子さんを持つママと話すといいでしょう。それだけで、だいぶリラックスできます。たとえ直接会って話せなくても、電話やSNSを通して身近な人に話を聞いてもらうという方もいらっしゃいます。我慢せずに自分の感情を吐き出すことが、ストレス解消につながります。

■おでかけをする

週末にご家族で遠出したり、旅行に行かれたりすることで、気分転換になるという声も多く聞かれます。たとえ遠出が難しかったとしても、日頃から気持ちのいい場所を散歩するだけでもリラックスできますよね。お子さんも外の空気を吸った方が、ご機嫌でいてくれるかもしれません。

■少しでも睡眠を確保する

小さいお子さんがいると、まとまった睡眠時間を確保するのは難しいですよね。それにも関わらず、お子さんが眠っている間に少しでも家事を進めようと、無理をなさることもあるかと思います。でも、家事を完璧にこなすことよりも、ご自身の睡眠を確保してリラックスする方が実は大切。お子さんが眠っている間に、できる限りご自身も眠るようにして、少しでも体の疲れを回復させましょう。

 

子育てをするにも、仕事をするにも、心と体が資本です。些細なことかもしれませんが、意識的にリラックスの時間を設けるだけでも、だいぶ違ってきます。ママの心が元気でいることが、ご自身の幸せにも、家族の幸せにもつながります。あまり無理なさらずに、自分のこともいたわってあげてくださいね。

 

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この記事を書いた人

戸谷美帆 さん
大手人材会社での求人広告の営業や事務、インターネット事業会社を経て、現在はエスキャリアにてキャリアカウンセリング事業のプロジェクト進行やライティングなどを担当。子どもたちのキャリア支援を行うことが今後の目標。一姫(4歳)二太郎(2歳)の母。
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