育休を終え、会社に復帰する頃になって、急に不安になることはありませんか?家にいたからこそできた、家事、育児。働き始めたらいったいどうやって両立していけばいいの?特に、一番心配なことは「食事」ではないでしょうか?
掃除や洗濯は週末にまとめてできる…しかし、食事だけは毎日のことです。どんなに疲れていても、帰宅後子どもに食事を与えないわけにはいかないのです。また、育休中は、子どもの離乳食を手作りしたり、産後の体調のことを考えて健康的で丁寧な食事を作ったり、子どもが生まれる前に比べて格段に食事にかける時間が増えた人も多いはず。そのため、今更この品質を落としたくない…と悩むこともあると思います。
さて今回は、そんな悩ましい食事の支度について、筆者が現在住むアメリカから、海外の働くママたちの工夫をお伝えします。日本よりも共働き比率の高いアメリカで暮らすママたちの工夫をヒントに、育休中のうちに復帰後の食事について考えてみませんか?
フランス人ママのPizza day
アメリカのスーパーマーケットには、とにかくたくさんの冷凍食品が売られています。日本のように、お弁当の中に入れる小さなおかずではなく、あくまで温めたらすぐ食事として食べられるものがメイン。そして、その中でもピザの品揃えには目を見張るものがあります。
あるフランス人ママ。現在、小中学生3人の子どもたちと、出張で不在がちなご主人と暮らしています。
彼女に話を聞いたところ、「毎週金曜日はPizza dayと決めている」とのこと。金曜日は、子どもたちを迎えに行った後すぐにピザを焼き始めるそうです。オーブンに入れて30分。焼きたての熱々のピザを食べながら、3人の子どもたちに代わる代わる学校のことを聞いたり、時には一緒にトランプをしたり、とにかくゆっくり金曜日の夜を過ごすのが彼女のスタイルです。
「この時間があるから、気持ちが楽。何より、この時間を子どもたちも楽しみにしている」と言います。
アメリカ人ママのCouch potato day
英語にはCouch potatoという言葉があります。カウチ、つまりソファーでゴロゴロしながらテレビを見ている人、ソファーでポテトチップスを食べながらのんびりしている人という意味です。
あるアメリカ人ママ。現在2人の子どもとご主人、そして、犬、猫と暮らしています。毎日仕事で忙しく、週末も子どものスポーツのために朝から活動しているアクティブなママです。
彼女の工夫は「どうしても疲れた時のCouch potato day」。普段は家族そろって食卓に着き、食事中はテレビも消しているのですが、その日だけは、家族全員リビングルームのソファーに座り、買ってきたホットドックなど簡単なものを食べながら一緒にテレビを見るそうです。野球の試合や映画、アニメなど、家族一緒に2時間程度ゆっくりする見るようです。
彼女に話を聞くと、「もう疲れた!今日の『優しいママ時間』は終了!という時があるでしょ?そういう時はCouch potato dayよ。1回の食事よりも子どもたちとゆっくり過ごす時間の方が大切。」と笑います。子どもたちと一緒に毛布にくるまってテレビを見て、ご主人と話をして、そして隣に子どもたちがいる暖かさを感じながら、時にはそのままウトウトしてしまうこともあるそうです。
ポジティブな理由で「食事を作らない」
外国人ママの工夫を聞いて思ったのは、ネガティブさが一切ないということ。食事を自分で作らないからこそ得られる子どもたちとの時間。彼女たちはそこにスポットライトを当てていました。食事を作らないことに後ろめたさを感じるのではなく、むしろ「食事の支度をしないおかげで、子どもたちと楽しい時間が持てる」というポジティブさを感じます。
日本では、夕食にピザやホットドッグというのは馴染みがないと思いますが、例えば、おにぎりで十分同じことができるのではないでしょうか?子どもがまだ離乳食期であれば、その日だけ市販の離乳食だけで済ませることも良いでしょう。
食事の準備に時間をかけず、子どもと楽しくおしゃべりをする。そして後片付けの心配をせずにゆっくりお風呂に入り、寝る前にたっぷり本を読む。そして、そのまま子どもと寝てしまってもいい。疲れた体に鞭打って食事の支度をして、カリカリしながら後片付けをして、子どもに笑顔で話す時間もないまま寝かしつけるよりも、もしかしたら子ども自身も幸せかもしれません。
また、赤ちゃんが生まれたことでちょっと拗ねている上の子がいるご家庭では、テレビを見ながらソファーで食べるのも時には良いでしょう。
上の子に、「本当はダメなんだけど、今日は『特別に』テレビ見ながらおにぎり食べよう」と言うだけで、子どもは目を輝かせるものです。いつもならダメと言われることを「特別に」しているというワクワク感。これは私たちが子どもの頃、夏祭りの夜に感じたワクワク感に似ている気がします。日が暮れた後も友達と遊んだ、屋台で買った食べ物を食べた、そうしたちょっとした非日常感は大人になっても覚えているものです。
最後に~育休中に話し合ってみよう!~
日本人は、真面目だといわれることがあります。特に食事に関する考え方は顕著です。メディアを見ていても「時短」「15分で完成!」「作り置き」…どんなキーワードで飾ってあったとしても、結局「食事を作る」ということ自体から逃れる選択肢がないように思います。
そもそも日本人は、料理を含めた家事全体にかける時間も、世界の中でも群を抜いて長いことが調査でわかっています。「母親は家事の手を抜いてはいけない」という日本独特のプレッシャーは、母親自身を苦しめています。
<参考:家事に時間をかけすぎる日本人――ラクすることはいけないの?>
確かに、手作りの家庭の味はとても大切なものです。ただ、そのために親がすり減って疲弊して家庭が重苦しい場所になっては意味がありません。だから、月に数回食事を作らず、その分、何か子どもと楽しいこと特別なことをしよう。そういうちょっとしたマインドチェンジが必要なのです。
ただ、最後に一つ。これは、「食事を作らないことで逆にどんなメリットがあるのか」ということがパートナーとしっかり意識統一できていてこそ、実践できることです。子どもにとって楽しくて、親も心穏やかに過ごせる日を意識的に作っていくためのポジティブな工夫。ぜひ、育休が明ける前にパートナーと話し合ってみましょう!
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