育休中に培ったスキルは、仕事にも生かせる!


育休=ブランクじゃない!

育児休業中の子どもとじっくり過ごせる時間は、ママにとってかけがえのないもの。「少し重くなったなぁ」「ハイハイできるようになった!」など、わが子の日々の成長を感じられるのは、何にも代えがたい喜びですよね。
でも、ふと「最近、夫以外の大人と話してないなぁ」と思う人もいるのではないでしょうか。筆者はそうでした。

子どもが生まれた報告がてら、一緒に働いていたメンバーとランチをした時のことです。赤ちゃん相手の独り言ではなく、大人と会話のキャッチボールができることが、とても楽しく感じました。一方で、久しぶりにビジネスの話を聞き、“費用対効果”だの、“生産性”だの、“KPI”だのといった単語がはるか遠くに感じられ、順序立てて説明する力の衰えを痛感したのです。「仕事から離れて半年足らずで、こんなに衰えるなんて。1年後にはどうなってしまうのだろう」と、不安を覚えたのも事実でした。

「育休はブランク」と感じるお気持ち、とてもよくわかります。ですが視点を変えれば、ママであることを通じて獲得した力もあります。それらは、ビジネスシーンに戻った時にもすぐに使えるスキルなんですよ。いくつか例を挙げてみましょう。

①テキパキ力

掃除、洗濯、買い出し、料理、洗い物、布団干し、おむつ替え、授乳やミルク作り、離乳食作り、赤ちゃんの着替えに寝かしつけ…ママが日々やることは山積みです。ルーティーンのように見えて、天気や家族の体調や帰宅時間などの可変要素に左右されることも多く、献立考案のように変化が必要なタスクもあります。

ママたちは、優先順位を付け、どういう順番で進めれば一番効率が良いか?を考えながら、マルチタスクをこなしています。赤ちゃんが泣くなどの突発的な事態にも対応しながら、これだけのタスクをやりおおせるには、高度なテクニックが必要です。それが、“テキパキ力”なのです。

ビジネスシーンにおいても、常にタスクは溢れていて、優先順位をつけながら進めなくてはいけませんよね。お客様からの問い合わせや急な会議依頼など、突発的なタスクもしょっちゅう発生します。「ワーキングママたちの働き方は生産性が高い」と言われるゆえんは、育休中に鍛えられたテキパキ力にあるのかもしれません。

②おもてなし力

まだ話せない赤ちゃんの唯一の自己主張は、泣くこと。最初は何で泣いているかわからなくても、だんだん「この泣き方は、おっぱいだな」「この泣き方は、甘えているだけだな」とわかるようになりますよね。そして、対応が早く、適切になっていきます。
目の前で起きている事象から相手の要望を類推し、気遣い、しかるべき対処をする。そのためには、相手を思いやる心が不可欠です。「今、この子に何をしてあげたらいいのだろう?」と観察し、思いつく可能性を列挙し、行動に移していくことで鍛えられるのが、“おもてなし力”です。

ビジネスシーンで例を挙げると、接客業でお客様がたくさんの荷物を抱えていたら、「一つにおまとめしましょうか?」と提案したり、プロジェクトの進捗状況が悪い時、「このタスクに時間がかかっているようなので、分担しましょう」と先回りをして手を差し伸べたりすること、と言えるでしょう。
もともと、女性は男性に比べて周囲への気配りを得意とする人が多いですが、ママとしての経験を通じて、さらに磨きをかけることもできるのです。

③コミュニケーション力

ママになると、保育園・幼稚園や学校の先生、ママ友、地域の人たちなど、新たなコミュニティができます。これまであまり接する機会のなかった世代とコミュニケーションを取ることも増えますし、年齢や職業や価値観などがバラバラでも、「同じ園の同じクラス」という属性で括られます。そうした違いを超えて、役員や係を一緒に務める必要も出てきます。

異なる立場・背景を察し、スムーズに物事を進められるよう、気を遣いながらコミュニケーションを取ることで、”コミュニケーション力”が磨かれていきます。

ママたちのすごいところは、あっという間に共通点を見出して、仲良くなる力が強いところです。
筆者は、キャリアカウンセラーという立場で、研修講師を務めることがあります。受講生に男性が多い場合、研修開始前はたいていシーンとしていて緊張感が高く、場を和らげるのに時間を要します。女性が多くても、学生など若い人が多い場合は、やはり少し時間がかかるものです。ですが、ママを対象にした研修は、開始前からコミュニケーションが活発で、研修が始まる頃にはすでに仲良くなっている、なんていうことが珍しくないのです。

一緒にいる人たちの背景や価値観が異なるという状況は、ビジネスシーンでもよく起こります。最近では、上司が年下だったり、部下が年上だったりする状況も、よくあることです。契約社員や派遣社員など、雇用形態の異なる人たちが混在している職場も多くあります。こうした立場の違いを踏まえた円滑なコミュニケーションができるのは、ママになってコミュニケーション力が鍛えられたことによるものが大きいと思うのです。

自分の育休を振り返ってみよう

もし、育休の最中や職場復帰を前にして「私は、再び仕事の場で通用するだろうか」と不安になることがあれば、自分がやってきたことをノートに書き出してみてください。“いつ、誰と、どんなことをしてきたか”という観点で書くとわかりやすいですよ。

例えば、「夏の午前中、0歳の娘を連れ、2歳の息子を公園で遊ばせる」という場面だとしたら、

・0歳児が汗をかいていないか、暑くはないかなど、様子を気遣う
・2歳児が満足できるような遊びをアレンジしたり、一緒に遊んだりする
・公園で初めて会ったママたちと会話をする
・おもちゃの取り合いを始めた2歳児の仲裁をする
・適宜水分補給をさせる
・日焼けや虫刺されに配慮する
・この後の昼食や夕食のメニューを考える
・遊びに夢中な2歳児を、適切なタイミングでトイレに連れていく
・0歳児の授乳のために、渋る2歳児を説得して帰宅する

といった対処をしているわけです。
マルチタスクをこなす中で、知らない人とコミュニケーションを取っている。十分に鍛えられていると思いませんか?

育休中は、確かにビジネスシーンから離れます。ですが、ビジネスシーンでなければ成長できない、というわけでもないのです。初めての経験だらけの中で奮闘したり、広がったコミュニティに飛び込んで行ったり、複雑化するタスクを効率よくこなしたり、という経験は、とても貴重なものであり、あなたの糧になっているはずですよ。

■参考資料:「ありのママ採用」のススメbyリクルートジョブズ

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この記事を書いた人

天田有美 さん
大手人材会社において、法人営業、人事教育、プロモーションを経験。現在はフリーランスとして、キャリアカウンセラー、ライター、チアダンスインストラクターとして活動中。2歳の娘を抱えるワーキングママ。