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出産・育児で退職した場合にもらえるお金「失業手当」


お子様が産まれると、お勤めになられていた方は、育休手当をもらいながら子育てのために休業される方も多いかと思います。ただ、様々なご事情で、妊娠・出産、育児を機に、会社を辞めざるをえなくなる場合もあります。

もちろんこの場合は、育休手当をもらって休業、とはいかなくなりますが、もし、お仕事したいという意に反して退職を余儀なくされた場合は、とても残念ですし、収入が無くなりますので経済的に不安になってしまいますね。

今日は、妊娠・出産・育児で退職した場合にもらえるお金について、お話します。

出産・育児で退職した場合に「もらえる」お金とは?

通常、企業で働いていて会社を辞めた場合、すぐに転職が決まっている方は別ですが、引き続き働く意思があり、働きに出る身体的能力も問題ないという方は(所定の基準に当てはまれば)「基本手当」いわゆる、失業手当がもらえます(このコラムではわかりやすく、失業手当と呼ぶことにします)。

同様に、妊娠・出産・育児に伴う理由で退職された場合でも、ご自身でのお手続きは必要になりますが、この失業手当をもらうことができるのです。

もらえる金額は?

この失業手当の金額は、下記の通り、雇用保険に入っていた期間がどれくらいかによって異なります。もちろん、長く雇用保険に入っていた方のほうが、もらえる金額の限度は大きくなります。

◎10年未満の場合=「90日分」を限度として支給
◎10年~20年未満の場合=「120日分」を限度として支給
◎20年以上の場合=「150日分」を限度として支給

では、1日分にあたる失業手当の金額はいくらになるかと言うと、在職時にもらっていた【1日あたりのお給料のおおよそ50%】となります(※)。

また、その1日あたりのお給料は、退職する前6か月間に支払われたお給料の合計を、180日(1ヶ月30日として計算)で割って計算します。この場合、年2回のボーナス等は含めず計算します。

※正確には80%~50%の給付率の範囲で定められています。お給料が安かった方ほど高い%となります。詳細はハローワークまでお尋ねください。

ーー【1日分の失業手当(例)】ーーーーーーーーーーーー
退職前6か月、各月25万円のお給料をもらっていた方の場合

[25万×6ヶ月]÷180日=8,333円(1日あたりのお給料)
8,333円×50%=4,166円(1日分の失業手当)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ただし、この1日あたりのお給料、1日分の失業手当にも、上限がありますのでご注意ください。
(30歳~45歳の方の場合:1日あたりのお給料=14,910円/1日分の失業手当=7,455円 ※H29.8.1~H30.7.31の場合)

また、退職の直前、育児を理由に時短で勤務してい方は、直近の6か月間のお給料というと、フルタイムで働いていたときよりも低くなっていることがあると思いますので、直近の6か月のお給料で計算されるのはとても不利ですね。その場合は、所定の手続きを取れば、フルタイムで働いていた時の、高いほうのお給料で、1日あたりのお給料・失業手当を計算してくれるという配慮もあります。

在職中は、なかなか雇用保険について意識することはないかと思いますが、この雇用保険は、退職した後に失業手当等の恩恵を受けることとなる大事な保険なのです。

もらえる期間は?

失業手当が受けとれる期間は、一般的には離職から「1年以内(特定の方を除く)」ですが、「退職して、30日以上、妊娠・出産・育児等で引き続きお仕事に就くことができなかった」場合は、申請することによって、最長「4年」まで受給期間を延長できるという制度があります。

基本的に、失業手当は、あくまで「働く意思があり、身体的にも問題なく働けること」が条件で、失業手当をもらうには、当然、求職活動を積極的にしていることが条件となり、それを証明することも必要になってきます。4週間に1度はハローワークに出向いて失業の認定も受けなくてはなりません。

ただ、妊娠で体調が思わしくなかったり、育児で求職活動もできない期間が発生してしまうのは、理由が理由だけに、どうしても避けられません。そうなると、この失業手当を受給できる期間が1年間というのは、とても短いので、最長4年まで延長できるという制度ができました。

ですので、育児が一段落し、保育園が決まったら、すぐに働ける状態になるということですので、そうなれば、失業手当をもらいながら、求職活動をすることができるということになります。

延長の申請方法は?

先ほど申し上げましたが「退職して、30日以上引き続きお仕事に就くことができなかった」方が、該当要件に合えば延長申請できるものですので、申請は、この30日が経過してから行うことになります。これは、所属していた会社が申請をするのではなく、ご自身でハローワークに出向き、申請を行うことになります。

妊娠・出産・育児で体が自由にならず、申請にすぐに行けるとも限りません。そんなことも考慮して、その申請期間は、離職してから4年以内に行なえば良いことになっています。

ただ、延長の申請をしなければ、受給期間は原則の1年のままです。自動的に延長されるわけではありませんので、お気を付けください。

この申請では、「受給期間延長申請書」に、「医師の診断書等、延長の理由を証明できる書類」「受給資格者証(又は離職票)」を添えて、お住まいの管轄のハローワークへ申請することになります。これは、代理人が行なうこと、郵送で行うことも可能だそうです。

お子様が3歳未満まで、ご本人のご出産のみ対象です

いかがでしたでしょうか。

育児や出産で仕方なく退職となった場合でも、失業手当をもらうという方法がありますので、これからやむを得ずのご退職をお考えの方は是非参考にしてください。育児休業手当ほど手厚い金額ではないかもしれませんが、少しでも求職活動期間の経済的な助けになればうれしいですね。

また、この失業手当をもらえる期間を、最長4年延長することができるのは、育児が理由の場合、お子様が3歳未満の場合、ご出産が理由の場合はご本人のご出産のみが対象になります。ご注意ください。

詳細はお住まいの地域のハローワークまで

本日お話しした内容はあくまで概要になり、細かい条件等には触れていません。失業手当をもらうための基本的な手続きについてのご説明も省いています。失業手当の受給についての詳細、ご自身が該当するかどうか等は、ご退職前にお勤め先の労務管理担当の方にご相談するか、お住まいの地域管轄ハローワークにお尋ねいただくことをおすすめします。

「全国ハローワーク所在案内」厚生労働省HP

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この記事を書いた人

田中敬子 さん
転職支援「esAgent」コンサルタント
大学卒業後、法人・個人向け営業を経験した後、大手人材紹介会社にてキャリアアドバイザーとして入社。現在は株式会社エスキャリアの転職支援「esAgent」のキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーとして従事。現在、小学生の子どもをもつ一児の母。
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