最近、男性の育児休業取得に関する話題をよく耳にするようになりました。2016年の男性の育休取得率は3.16%と過去最高。厚生労働省は2020年度までに13%にする目標をもち、新たな施策の検討を続けています。
今回は、この育児休業中に、男女問わず受給できる「育児休業給付金」いわゆる育休手当についてお話しいたします。
育児休業給付金はいつからもらえる?その期間は?
原則、産後休業8週間(56日)が終了した翌日~お子様が1歳に達する日の前日までが、法定上の育児休業期間となり、この休業期間中は、育児休業給付金を受け取れることになります。
保育園(無認可除く)に入園できない等の理由で、さらに休業が必要な場合は、会社に申し出ることによって、お子様が1歳6か月に達する日の前日まで休業を取得することができます。
引き続き、保育園に入園できない等の場合は、2歳に達する日の前日まで、事業主に申し出ることによって休業を延長することができます(これは、2017年10月から法改正により適用となりました)。もちろん、延長した分も含め、休んでいる間は、育児休業給付金を受け取ることができます。
ちなみに、育児休業の延長は、保育園(無認可除く)に入れなかったときだけではなく、配偶者が死亡、負傷・疾病等、離婚等で、育児ができなくなった場合も延長の対象となります。
また、昨今、育休を取得する男性も増えつつありますが、もちろん男性も育児休業給付の対象となり、配偶者の出産日当日から支給対象となります。
誰がもらえる?もらえない?
育児休業給付金を受け取れるのは、原則、男女ともに、「育児休業を開始する日前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あること」が必要となります。
また、正社員だけが対象だと思われる場合も多いのですが、受給資格は雇用形態の名称で決まるのではありません。パートであっても、1日の労働時間が通常より短い方であっても、期間の定めのない契約で働いている場合は、育児休業給付金の対象となります。
契約社員など、期間を定めて雇用されている方も、さらに次の条件のいずれにも該当すれば育児休業をすることができます。
① 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
② お子様が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
※これはあくまで最低のラインで、企業によってはそれ以上の好条件、範囲を広くしているところもあるので、お勤め先にご確認ください。
そもそも、育児休業給付金は、会社から払われるのではなく、職場で加入している雇用保険から支払われますので、雇用保険に加入していないと育児休業給付金を受け取れないことになります。そのため、専業主婦(主夫)や自営業者は対象外です。また、育休は「子どもを育てるために、会社を休んでもよい制度」なので、退職した方や退職予定の方も対象外になります。
ちなみに、育児休業中に退職をした場合は、それ以降の給付金を受け取ることはできなくなりますが、受け取った育児休業給付金を返還する必要はありません。
実際に、毎月いくらもらえる?
では、育児休業給付金は、実際のところ、毎月いくらもらえるのでしょうか。
イメージとしては、月給のおおよそ67%(又は50%)になります。この「月給」とは育休前の6ヶ月の給料をもとに考えていきます。
詳しくご説明すると、まず「休業開始時賃金日額」という、育休前のお給料を日割りにするといくらになるかを計算します。それに30日を掛けて「賃金月額」という1ヶ月あたりの金額を算出します。これが、育児休業給付金の計算の元となる「月給」になります。
育児休業開始後、最初の180日間はその月給の<67%>支給され、その後181日目からは<50%>支給されます。育児休業の途中で、受け取る金額は変わるということですね。
具体的に一つ例をご紹介します。
<例>
育児休業開始前の6か月(180日)のお給料の合計=202万の場合
・202万円÷180日=11,222円(=「休業開始時賃金日額」)
・11,222円×30日=336,660円(=「賃金月額」)
・336,660円×67%=225,562円/月(=最初の180日)
・336,660円×50%=168,330円/月(=181日目以降)
※育児休業給付金を計算する場合、1ヶ月=30日として計算します。
※育児休業中に収入があると、育児休業給付金は減額されること・支払われないことがあります。
支払い日はいつ?
1回目が実際に支払われるのは、おおよそ、支給決定日から1週間以内くらいになります。また、支払いは申請時に指定した口座に振込まれます。
また、2回目以降は、2カ月に1回申請を繰り返し、2ヶ月分をまとめて受け取ることになります。詳しい日にちは、「育児休業給付金支給決定通知書」というものが届きますので、そちらで確認が可能になります。
2回目以降の申請も、引き続きお勤め先を経由して行うことになりますが、いつ給付金が振り込まれるかは、お勤め先のご担当者が申請をいつ行ったかによって異なります。申請期間は2カ月間ありますので、企業のご担当者の方の申請が遅くなると、それだけご本人への給付金支給も遅くなることになります。
いつ振り込まれるかわかならいのは、少々不安という方もいらっしゃるかもしれません。少しでも早く給付金を受け取りたい方は、お勤め先のご担当者の方に、早く申請していただけるよう、お願いしたほうがよろしいかもしれませんね。
育児休業給付金の申請方法は?
育児休業給付金の申請手続は、通常、お勤め先を経由して行うこととなっていますが、やむをえない事情があれば、本人が申請手続きを行うことも可能です。その場合は、お勤め先を管轄するハローワークへの申請が必要になります(お近くのハローワークの、どこでもできるわけではありません)。
申請期限を過ぎてしまうと、支払われないこともありますので、ご自身で申請される場合は、十分に注意したいですね。
また、育児休暇を1年取得予定だとしても、最初の1回申請を行えば1年間それで継続的に支払われるのではありません。育児休業給付金は、原則2カ月に1回ごとの申請が必要になります。
また、2017年より、ご本人が希望すれば、1ヶ月ごとの申請も可能になりましたので、経済的に不安がある方は、是非お勤め先やハローワークにお尋ねいただき、そのご利用をご検討してみてもいいかもしれません。
いかがでしたでしょうか。育児休業給付金を受け取りながら、1人でも多くの方が育児休業中も安心して子育てに集中し、職場復帰へとつながれば幸いです。
育児休業や給付金について、より詳しいことに関しては、ご勤務先の担当者にお尋ねいただくか、ハローワークのHPをご覧いただくことをおすすめいたします。
■参照:ハローワークHP「育児休業給付の内容及び支給申請について」
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