女性のキャリアは「転機」がつきものです。結婚、出産、夫の転勤…。女性の社会進出が進んでも、そういった「転機」でキャリアが左右されるのは、いまだ女性であることがほとんどです。
「もし夫が転勤になったら…」「もし子どもが保育園に入れなかったら…」と漠然と「いつか転職することになるかもしれない」という思いを抱えながら働いていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
今回は、「転機」をきっかけに転職しなければいけなくなった時に、すぐに動けるように、ゆる~く始められる転職準備についてご紹介します。
STEP1 転職サイトを見てみよう
転職サイトの閲覧は、一番簡単に始められる転職準備です。会員登録することなく求人情報を見られる場合も多いので、時間のある時に見てみましょう。
見ていただきたいのは3点です。
1. 自分がどのような企業・仕事に転職できそうかを知る
自分の経験やスキルと比較し、どのような求人情報があるか見てみましょう。また、新卒採用の時に第一志望にしていた業界や、働く中で見えてきた自分の志望なども含めて広く見ていくと、ワクワクした気持ちで転職について考えることができます。
2. 多様な働き方について知る
特に新卒採用以降、転職経験のない方にオススメです。近年は正社員であっても完全フレックス制、在宅勤務可能、週3~4日勤務など様々な働き方があります。自分が今後どのような条件を必要とするようになるのか、将来の可能性を考えながら見ていきましょう。
3. 転職に関する基礎知識を得る
転職者の声の紹介、転職をする際のタイムスケジュール、企業との雇用契約に関わる知識等、様々な情報が掲載されています。いざ転職となると慌ただしくなるので、時間のある時に知識を付けておくと良いでしょう。
STEP2 自分のウリをはっきりさせる~職務経歴書を書こう~
転職の際に必ず必要になるのが「職務経歴書」という、仕事の実務経験、能力、スキルなどの情報を伝える書類です。Web検索で「職務経歴書_書き方」と検索すると、多くのひな形が出てきますので見てみましょう。
転職が差し迫っていない段階で職務経歴書を書くことをお勧めする理由は、大きく分けて2つあります。
1. 自分の核になる力(=自分のウリ)を発見する
職務経歴を書く際は、「営業事務ができる」「システム関連のプロジェクトマネージャー」「広報経験10年」というような大枠で書いてもあまり意味がありません。
大事なことは、自分が取り組んできた仕事を通じて「何を考え、どのように行動していたのか」「どのような成果に貢献したのか」「自分が何を得たのか、どのように成長したのか」を書き出し、自分の頭の中で整理することなのです。
2. 他人からの評価を意識して自分の強みを整理する
自分の頭の中が整理されたら、他人に伝えるということを意識して書いてみると良いでしょう。他人からの評価を意識すると、自分が持つ「他社でも活かせる経験・スキル」を見つけることができます。
ここまでできたら、転職エージェントに登録に行くのも良いでしょう。登録に行くと、今までの経験・スキルをもとに、WEBサイトには載せていない非公開情報を含めて、求人情報を紹介してもらえます。客観的に見て自分にどんな選択肢があり得るのか、また最近の転職市場の状況などを、専門のアドバイザーから直接聞くこともできます。
ほとんどの転職エージェントが無料でサービスを提供しているので、情報収集のために行ってみるのも良いでしょう。
STEP3 自分を成長させるチャンスを自ら用意しよう
「いつか転職するかもしれない」という方にとって一番大切なことは、現職で働き続けながら、転職の必要に迫られた時に転職先を「選べる自分」となっていくことです。
そのためには、自分自身の経験・スキルを客観的に見つめ、「あと自分に何があったら、満足のいく転職ができそうか」という視点で見ていくこと、そして、自分の成長のためのチャンスを自ら用意することが大切です。
以前カウンセリングにいらしたAさんの事例をご紹介します。
彼女は理系の技術職として10年以上勤務していたため、資格、経験・スキルは十分にありました。しかし、技術者としての経験しかないことで、転職をするとしても同業他社の同じ仕事に転職するしかないのではないか、という不安を感じていました。
しかしAさんは、カウンセリングの中で自分の経験・スキルを振り返り、これ以上「一人の技術者としてプロジェクトの一端を担う」という経験を重ねることよりも、「マネージャーとしてプロジェクトを運営する」ことの方が、転職先を「選べる自分」になるために必要であると考えました。
そこでAさんは、上司に、「3~5人の後輩をまとめて小規模プロジェクトを運営したい」という希望を伝えることから始めることにしました。幸いすぐにこの希望は通り、この調子で経験を重ねていけば、数年後Aさんには技術者としての経験・スキルだけではなく、マネージャーとしての能力・経験が身に付くことになります。それはつまり、転職の際に「技術者」「マネージャー」の二つの選択肢を持つことを意味します。
このように、現在持っている経験・スキルを客観的にとらえて、何をプラスしたら転職に役立つかという視点を持つと、現職に留まっている期間も充実したものにできます。
さいごに
「いつか転職しなければいけないかも」という気持ちを持ちながら働くことは、時に辛いものです。そういう不安を抱えていても、目の前には仕事があり、自分が努力して積み重ねてきたキャリアを手放したくないという思いもあるでしょう。そして、妻として母として家族全体を幸せにすることへの責任感もあるかもしれません。
ただし、悲観的になることはない、と筆者は考えます。
人生の転機に転職するということは、自分の歩んできたキャリアの中で見えてきた自分の価値観、適性に沿って、もう一度自分にとってのベストな選択肢を選び直せるということ。それは、もしかしたらとても幸運なことかもしれないからです。
いつか転職するかもしれない、という人生を前向きにとらえ、ゆる~く転職準備を進めながら、賢くしなやかに働いていきましょう!