エスキャリアの有料キャリアカウンセリングサービス「マイ・カウンセラー」にて、キャリアに悩む女性の面談を担当されている浦田宏美さんにインタビューを行いました。
フリーのキャリアカウンセラーとして活躍され、自治体や企業での相談実績が豊富な浦田さん。包み込むような笑顔がとても素敵な女性です。今回は、ご自身のキャリア支援にかける想いや、マイ・カウンセラーで担当いただいたお客様について、お話しいただきました。
■名前:
浦田宏美さん
Career Pal代表/JCDA認定CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)・FP技能士2級(ファイナンシャルプランナー)
■経歴:
学校卒業後、大手住宅機器メーカーに入社し、営業事務・ショールームアドバイザー業務を経験。その後専業主婦時代を経て、ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラーの資格を取得。行政機関における就職・転職希望者への相談業務、再就職支援セミナー講師経験後、現在はフリーランスのキャリアカウンセラーとして、人材紹介会社での相談業務、アンガーマネジメントセミナー講師など幅広く活動中。
■大きなライフイベントを機にキャリアカウンセラーを志す
-最初からキャリアカウンセラーとして活動されていたのですか?
いいえ、全然。私は地方の出身なのですが、古い性役割意識(女性は良い相手を見つけて結婚するのが幸せ)が根強くある土地で、最初に働いた地元の会社もその価値観でした。世間の「あるべき」と自分の「こうしたい」が合わず、すごく葛藤があったんですが、皆がそう言うならその方が幸せなんだろうか・・・と思って結婚。でもうまくいきませんでした。
専業主婦期間を経て、苦労して離婚し、再就職してがむしゃらに子育てをしてきました。当時は、自分の問題が家庭・仕事・経済と色々とからみ合っていて、本当に切羽詰まっており、苦しかったです。必死すぎて記憶が抜け落ちているくらいです(苦笑)。
思えば、高校生の進学のタイミング、20代で転職を本気で考えた時も、プロとして真剣に話を聴いてくれる方はいませんでした。こういった人生の分岐点で安心して話せる人、女性の生き方についてプロとして一緒に真剣に考えてくれて、でも身内のように感情的にならず、長期的な視点で考えてくれる人・・・そんな相談相手がいたらいいのに、と思っていました。
-そこでキャリアカウンセラーの道に?
はい。その後、ある方との出会いがありまして、キャリアカウンセラーという職業を知りました。これだ!と思いましたね。当時ファイナンシャル・プランナーの勉強もしていましたので、「ロマン(=理想、夢や希望)」と「そろばん(=数字・お金)」の両輪が人生には必要だと感じ、両方の資格を取得して、以降活動をしてきました。今年でキャリアカウンセラー歴は12年になります。
■キャリアカウンセラーとして様々な現場で活躍
-これまではどんなお仕事をされていたのですか?
独立してから、行政機関、人材紹介会社などを中心にカウンセラー・講師として活動してきました。昨夏に、すでにエスキャリアで活動されていたカウンセラー仲間に、エスキャリアさんをご紹介いただきました。以来、クライアント企業における転職活動中の求職者へのアドバイス業務を担当しています。地方在住の方へは電話での面談も行っています。また最近では、ジョブ・カード制度を利用した企業内での人材育成にも関わっています。
-マイ・カウンセラーには、サービス開始から参画いただいていますね。
私にとっての本当のキャリア支援とは、人生をどういきるか、今の役割をどう活かすか、そこを考えていくことなんですよね。就職や転職はゴールではなく、仕事とのマッチングも通過点にすぎない。本当の意味でのキャリアカウンセリングがやりたい、と常々思っていました。
ただそれは、ビジネスありきでは難しいですし、無料の公的支援の中でもなかなか難しいというのが実感で。できればきちんとお金をいただいて、一人ひとりのキャリアをじっくりじっくり考えて、というのをやりたかったのです。
そこに、それまで半年程お仕事をご一緒していたエスキャリアさんから、「女性対象の有料のキャリアカウンセリングサービスを始めます」とご連絡をいただき、是非に!とジョインさせていただきました。
-女性のためのキャリアカウンセリングということで、何か心がけていらっしゃることはありますか?
はい。私がキャリアカウンセラーになるための勉強を始めた時、ドナルド・E・スーパーの【ライフ・キャリア・レインボー】に出会いまして、そこで深く深く共感したんですね。
引用元:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0803/27/news149_2.html
―1950年代にキャリア理論の大家ドナルド・E・スーパーが発表。キャリア=職業とは考えず、キャリアを人生のある年齢や場面のさまざまな役割(ライフロール)の組み合わせと定義。人生全般にわたり、社会や家庭でさまざまな役割の経験を積み重ねて、初めて自身のキャリアが形成されると考える。
この理論を、昔苦しんでいた時代に知っていれば・・・!と本当に思ったんです。職業人生だけではないキャリアがある、ってことをもう少し前に知っていれば、自分自身で、専業主婦時代を「ブランクだ」と思うことが、とても勿体なかったなと。
なので、今キャリアに行き詰まっている女性には、まずこの理論をお伝えしています。家庭で、職場で、様々な役割を持っている女性だからこそ、悩むこともある。でもそれもすべてキャリアなのですよ、と知っていただくだけで、フッと楽になれると思うんです。ないものねだりじゃなくて、持っているものをどれほど大切にできるか。キャリア教育ってそうあるべきだと思っています。
■マイ・カウンセラーでのカウンセリングを担当して
-無料のキャリア相談が数ある中で、有料サービスであるマイ・カウンセラーの特長は何だとお考えですか?
私は過去に行政機関の窓口で、無料の就職相談業務を数多く担当してきました。その経験と比較すると、まずは1回の相談の重みが全く違うと感じています。
無料というのは、受ける側にとってはハードルは低いのですが、実は「ただより高いものはない」だったりもします。行政機関だと(無料なので)中には何度も何度も相談に来られる方もいます。そのため、相談員に対する依存が生じやすく、なかなか先に進まないということもあります。
その点、有料のカウンセリングサービスは、当然ですが相談者・カウンセラー双方が費用対効果をしっかり意識し、1回1回にとても集中します。これはお互いにとって非常に良いと感じています。私も最初にサロンのカウンセリングを担当した時、大変緊張し責任重大だと感じました。
-決して安くはないと思うのですが?
実は私、体を痛めていまして(苦笑)、整体やストレッチに通っているのですが、1回に6,000~8,000円くらいかかるんですよね。確かに安くはないですが、とても効果を感じているので、継続的に通っています。健康に生きるための必要経費ですよね。心の中やキャリアも同じです。人生は何が起きるかわからない、思った通りにならないことが殆どです。だからこそ自分を定期的にメンテナンスして、良い状態に整えていくことは、健康に投資することと同じだと思います。
国も今、キャリアカウンセリングを用いた採用・人材育成を強く推進していますが、やはり企業でのカウンセリングは、目線が「その会社で活躍するかどうか」になります。その点、個人からフィーをいただき実施するカウンセリングは、完全に個人に寄り添った支援ができますので、全くスタンスが違いますね。
-これまで浦田さんが担当された方について、可能な範囲でお聞かせ下さい。
これまでカウンセリングさせていただいた方、「育休経験者」が多かったんです。皆さん産前はしっかりと働いてこられた方で、妊娠~育休までは比較的それまでの勢いでいける。だけど、職場に復帰してみると、自分自身も変わっているし、環境も変わっている。そこで、あれれ、このままでいいのだろうか?という壁に直面し、相談に来られる方が多いです。
共通しているのは、皆さん職業的・経済的に自立されていることと、ご自身のキャリアに「本当の危機感」を持っているという点ですね。人って、「自分で何とかなる」と思っているうちは、専門家まで相談に行かないんですよ。自分では、直面している問題をもう本当になんともできない。そこで「他人に頼ってもいいかな」と思える力、自分の弱さを認められる力をお持ちの方が、相談に来られ、笑顔で帰っていってくださっています。
皆さん大変優秀で、誠実で向上心があって、自分の人生に真摯に向き合っていらっしゃる、素敵な女性ばかりです。本当に、そんな女性のお役に立てるなんて、とてもやりがいがあり、いつも気が引き締まる思いで臨んでいます。
■キャリアカウンセラーとして、女性として
-浦田さんは、キャリアカウンセラーとしてどうありたいと思っていらっしゃいますか?
私は、黒子的な存在でありたいといつも思っています。カウンセリングを受けた後で、私のことは忘れていただいていいんです。でも何かの拍子に振り返ると、「あの時こんなこと言われたな、あれを機に自信が持てたな」という存在でありたい。
たまたま接点があった人にしか言えないことってありますよね。私にも、何人かいます。またいつかどこかでその方々にお会いした時に、「頑張ってるね!」と言われたいなと。自分もそんな存在になれたら幸せだと思っています。
-最後に、ご覧の方に向けてメッセージをお願いいたします。
車に乗っていて、ガソリンが満タンでも動けない時は、スターターを回す人が必要です。自転車の練習している子どもは、後ろで大人が手を押さえたり伴走したり、でもいつか手を離しますよね。キャリアカウンセラーとはそんな役割だと思っています。
女性は日常の中で色々な役割を持ち、精一杯頑張っています。心と体は一心同体です。これまで頑張ってきたご褒美に、美味しいもの食べるのと同じように、自分を元気にさせるためのカウンセリングも、ぜひ受けていただきたいと思いますね。
■マイ・カウンセラー(有料キャリアカウンセリング):詳細
■取材日:2016年6月7日