転職のご相談をお受けする中で、よくお伺いするお悩みの一つに「転職回数が多いので、なかなか書類選考が通らない」というものがあります。転職回数が多い事実は変えられませんが、転職回数の多さも、職務経歴書の書き方、アピールの仕方を変えることで、プラスにすることが可能な場合もあります。
今回は、主に、転職回数が多い方のための、職務経歴書の書き方(アピールの仕方)についてお話いたします。
20代なら2回以上、30代なら3回以上で「転職回数が多い」
人事担当者にお伺いすると、一般的に、20代なら2回以上、30代なら3回以上で「転職回数が多い」という印象をもたれる場合が多いようです。もし仮に、同じ職種の選考上に、転職回数の少ない候補者の方がいらっしゃったとしたら、そちらの方が優先されることもあります。
では、企業側が「転職回数が多い人はちょっとお断り・・・」と考える、その理由は何なのでしょうか。
なぜ、転職回数多い=不利になるのか?
実際、ほんの一部ではありますが、転職回数が多い方はなぜ敬遠されがちなのか、人事の担当者から伺ったお話をもとにその理由をご紹介します。
①「定着性」が疑われる
「ジョブホッパー」という言葉があるように、短期間でいろいろな会社を転々としている方は、「採用してもまたすぐに辞められるのではないか」と考えられてしまいます。中途入社の方であっても、しばらくは現場研修や、所属部署での最低限の指導を受けることになるでしょう。既存社員がその労力をかけるからには、長く在籍してほしいと思うのは、企業側の考えなのです。場合によっては、ある程度の費用をかけて、新人に対して研修を受けさせることもあり、そのような場合はなおさらです。
②「ストレス耐性」に心配がある
また、転職に慣れているということは、何か不都合なことや壁があった際に、その場で取り組んで改善しようとせずに、逃げること=「転職」で解決しようとしてきたのかもしれない、と思われてしまうこともあります。仕事では様々なストレスがつきものですが、それに真っ向から取り組まずに、転職を選んでこられたのではないかと、懸念されることも多くあります。
事実はそうではなくとも、そのように懸念されるのは心外ですが、ここに書類選考の難しさがあります。
③「キャリアの一貫性」が気がかり
転職回数が多い中でも、一つの職種に一貫している場合はまだ救いがあります。一方で、転職回数も多い中で、職種も転々としている場合は、かなり書類選考が難しくなります。「自分でも本当は何がしたいのかわかっていないのではないか」と思われたり、同業であっても、転職回数が多いことで「ひとつの仕事で一人前になっていない」という印象を持たれてしまったりします。将来、どれだけ腰を据えて頑張ってくれるのかがうかがえず、どうしても前向きに選考していただけないということになります。
これらは(これがすべての理由ではありませんが)、転職回数の多い方の書類選考で、よく指摘を受ける部分になります。逆に考えると、書類選考の段階で、このような懸念を抱かれないようにすれば、書類選考を突破する確率が高くなる、ということになりますね。
転職回数もこれで挽回!
では具体的に、職務経歴書の書き方どう工夫をすれば良いのでしょうか。その一例をご紹介します。
①経験の棚卸を丁寧に行う
転職回数は必ず正直に伝えなければいけませんが、その中で転職回数の多さをプラスの印象に変え、相手を安心させることが書類選考通過のカギとなります。その書類作成のために、ご自身の経験をまずは「棚卸」していくことが必要になります。経歴の棚卸とは、今までの経験をじっくり振り返り、メインとなる経験だけではなく、忘れていたような細かい経験、エピソード(成功例・失敗例等)、評価された点、実績等を一つずつ時系列に丁寧にノートに書きだしていく作業です。
棚卸をすることによって、次の仕事に、いままでのどんな経験を生かして即戦力となるか、具体的に示すことができるようになるのです。
②応募企業ごとに職務経歴書を見直す
転職回数が多い方こそ、職務経歴書は応募する企業ごとに見直す、または書き直す必要があると思っておいた方がいいと思います。中途採用では「即戦力になるかどうか」を問われますので、今までの経験を、次の仕事でも十分に生かすことができ、すぐに結果が出せるくらいの人物である、ということを職務経歴書で表す必要があるのです。ですが、応募する企業、1社1社、それぞれ職務内容や期待値は異なるでしょう。
面倒がらずに、応募企業の求人票に記載のある職務内容を細かく確認しながら、1社1社、丁寧に職務経歴書を適切なものに書き変えることをおすすめします。
ここで、棚卸をしたノートがとても役に立っていきます。応募企業の職務内容にすぐに直結する経験や実績を、一番ボリュームを大きく詳しく職務経歴書に記載すると良いでしょう。
③転職理由も明記する
職務経歴書には、転職理由を書いていない方が8割以上といえるでしょう。人材紹介会社経由で応募する場合は、キャリアアドバイザーが求職者の転職理由を企業側に伝えなくてはならない場合もあるくらい、企業側は転職理由を知りたがっています。
特に、自己都合での転職ではない場合(倒産、部署解散、契約満了等)は、職務経歴書に簡潔に記載しておくことをおすすめします。本人の人間性には問題がない点を伝え、最初にお伝えしたような、事実とは違う点を懸念され、不利になることを避けるためです。
ご自身の都合であっても、転職理由に正当な一貫性があれば、不利にならない場合もあります。ただ、正直に記載したとしても、一貫性がない場合や応募企業の適性に合わないと判断される場合もあります。記載内容についてご不安な場合は、まず、人材紹介会社のキャリアアドバイザーに相談してみることをおすすめします。
④自己PRを侮らない
転職回数が多い場合のみではありませんが、特に注意したいのが、自己PR。自分に確固たるキャリアビジョンがあり、それが今回の転職活動にもつながっていることをアピールすることは、人一倍大事なポイントとなります。
-同じ職種を続けている場合
職務上のスキルの高さやプロフェッショナルであることを強調しましょう。
(1)職種において大事になるスキルの高さ、仕事をする上で常に気を付けているポリシーを書く
(2)数字を交えて説得力を出す(実績は第三者でも良い・悪いが判断できるよう数字で示す)
(3)どんな職場でもすぐに馴染、長く腰を据えて仕事をしていく意思があることを伝える
-さまざまな職種を経験している場合
多角的な視点やスキルをアピールしつつ、一つのポリシーをもって転職してきた点を簡潔に明記し、それを強調しましょう。決してだらだらと回りくどくならいように表現することが重要です。
(1)どんな軸で転職してきたか、一言・短文で伝わるようにズバリ書く
(2)応募する仕事内容と関係の深いものについてのみ語る(そうでない仕事は書かない)
(3)今までの経験があったからこそ、次の仕事にどう役立つのかを書く
転職回数が多いと、あまり書きたくない会社を省いたり、在籍期間が端に短かった会社を記載しなかったりしたくなるかもしれません。そういったごまかしは経歴詐称になってしまいますので、職務経歴書・履歴書は正しい情報を潔く書きつつ、上記のようなことに注意して、アピールの仕方、見え方を工夫することが大切になります。
まとめ
転職回数が多いと転職が難航してしまう場合も多々ありますが、そのような方とお会いしてお話をお伺いするとまだまだ努力の余地があるという場合も多く見受けられます。
今回お伝えした内容をすべて一人でチャレンジするのが難しいという方は、是非第三者のアドバイザー、人材紹介会社やキャリアカウンセラーを頼ってみるのも一つの方法ではないでしょうか。また、今後、転職を重ねたくない、いまから対処しておきたいという方も、是非一度、利用してみてください。
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