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理解あるパートナー?「転職?君の好きにしていいよ」と言われた時の動き方


マイ・カウンセラーに相談にいらっしゃる方の中には、転職を検討している方がたくさんいらっしゃいます。

その方が既婚者で、特にお子さんがいらっしゃる、もしくは子どもを持つことを検討している場合、こんなやり取りがかなりの頻度で発生します。

キャリアカウンセラー:「パートナーは転職についてどのようにおっしゃっていますか?」
相談者:「夫は、『君の好きにしていいよ』と言ってくれています。」

「『君の好きにしていいよ』と言ってくれています」…この言葉を聞くたびに「優しくて理解あるパートナーですね」と思う…ことができないのがキャリアカウンセラーなのです。

そこで今回のコラムでは、なぜキャリアカウンセラーが「優しい夫の一言」に安心できないのか、また、転職を検討し始めた時に、パートナーから「君の好きにしていいよ」と言われた時にどう行動していくべきかをお伝えしていきたいと思います。

1.はじめに~カウンセラーが懸念していること

転職は生活に大きな変化を与えます。ほとんどの場合、転職によって世帯収入、生活リズム、家事育児分担など様々な点が変わります。しかし残念なことに、妻の転職に伴う「変化」について夫側が具体的に思い描けていないケースがとても多いのです。

具体的に思い描けていない状態で、優しさから「君の好きにしていいよ」と言ってしまう夫。その「君の好きにしていいよ」が、

「君の好きにしていいよ、君の収入が下がってもその分を僕が稼げるから」
「君の好きにしていいよ、君の収入がなくても生活は困らないから」
「君の好きにしていいよ、家事育児ができなくなった分は、僕が担うから」

であれば、本当の意味で「好きにしていい」のです。

しかし相談にいらっしゃった方のパートナーの例を見ていると、

・世帯収入が減ることが、日々の生活、住宅の購入、自分の仕事などにどう影響するか考えずに転職に賛成していた
・そもそも自分の家事育児の負担を増えるかもしれないという発想がない状態で転職に賛成していた
・『(自分に迷惑が掛からないなら)好きにしていいよ』という条件付きの賛成であって、自分の家事育児の負担が増えるなら転職してほしくないと思っている
・家事育児の負担が増えても頑張る意欲はあるものの、実際にそのスキルが十分ではなく、実質任せられない状態

という方が多数いらっしゃいます。

そのような状態で転職したとしても、最悪の場合、生活スタイルの変化、家事育児の負担が増えた分を一人で担い続けることになりかねません。転職がより良い人生のきっかけになるように、以下の2点についてぜひパートナーと検討しましょう。

2.パートナーと検討すべきこと

◆世帯収入に関する検討
最初に、転職によってどのように世帯収入が変化するか確認しましょう。

一般的に、転職によって給与がアップするよりも、変化なし、または収入ダウンとなるケースが多いです。「好きにしていいよ」とパートナーが言ったとしても、年間数十~百万円の世帯収入の減少をカバーするほど、パートナーの年収がすぐにUPするかというと、こちらも難しいケースが多いです。

また、たとえ給与が上がったとしても、転職に伴って出費が増えるケースがあります。(例えば、子どものお迎え時間が遅くなったことによる延長保育費の発生、仕事で着る服の変化による被服費の増加、勤務場所の変化によるランチ代などの交際費の増加など)

そのため、必ず以下の内容をパートナーと確認しましょう。

①現在の世帯収入と転職後の想定世帯収入
②現在の家計の内訳(何にいくら使っているか)と転職後の家計の内訳
③高額な買い物(住宅など)の予定
④パートナーの転勤、転職の予定

お金の問題というのは、一生の問題です。
いくらやりたい仕事があったとしても、経済的に困窮し家族全員の生活の質を大幅に落とさなければいけないような仕事であれば、選ぶべきではないかもしれません。

パートナーと「収入」を軸に相談することで、「収入が落ちたとしても得たいことは何か」「収入が減ることを上回るメリットがあるか」を考えることができ、はっきりと目的意識を持って転職活動に臨むことができます。

◆家事・育児の負担割合の変更に関する検討
転職の際にもう1つ検討しなければいけないことは、家事・育児の負担割合です。

「家事・育児の分担割合が変わる可能性がある」という点について転職前に伝え、パートナーに理解してもらわないと、例えば労働時間が増えたのに家事育児の負担はそれまでと同様、という事にもなりかねませんし、パートナーに遠慮して「労働時間」「勤務地」などの条件ばかりを考慮し、自分のやりがいを二の次にした職業選択をしてしまうかもしれません。

家事・育児に関して、夫婦で確認していただきたいのは次の2点です。

①夫婦共に最低限自分のことが自分でできるか
②現在の家事育児負担の「見える化」
(誰が、いつ、何を、どのくらいの頻度で行っているか)

特に、①については、転職前に必ずパートナーと確認しましょう。マイ・カウンセラーに相談にいらっしゃる方の中には、「夫は子どもよりも手がかかる」とおっしゃっている方もいます。
大人2人がそれぞれのことを自分で完結できる状態であれば、転職しても、仕事に集中する余裕が生まれ、早く新しい仕事に慣れることができます。

また、②については、「そもそも何をしなければならないのか」ということを明らかにすることで、家事育児負担の再分配をスムーズに行うことができます。また、夫婦間だけで解決しようとせずに、どの家事育児に対して他者の手を借りるか(家事代行サービス、子どもの送迎サービスなどの利用)など、転職後の生活を「戦略的に」考えることが必要なのです。

3.さいごに

「転職するなら、今よりも幸せになってほしい」「転職によって、自分らしく働けるようになってほしい」と私たちキャリアカウンセラーは心から思っています。働く人本人にとって、また、その家族全体にとって転職が良いきっかけになるように、家族の対話を陰ながらサポートすることも私たちの大事な使命だと感じているのです。
転職の際に不安になったら、ぜひ私たちエスキャリアのマイ・カウンセラーにご相談ください。

 


この記事を書いた人

山口 奈生 さん
大学卒業後、大手損害保険会社の総合職として勤務。夫の海外留学に帯同するために、子ども二人とともに渡米。帰国後、キャリアカウンセラーの資格を取得し、第三子を出産。人材サービス会社で勤務ののち、キャリアカウンセラーとして独立。現在、再度家族で渡米し、アメリカ⇔日本のリモート勤務中の、一男二女の母。
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