共働きは今や当たり前の時代となっています。そんな中、夫の転勤が決まった場合、あなたならどういう決断をされますか?現職の仕事を辞めついていくか、夫に単身赴任をしてもらうか、悩まれる方も多いようです。
少し前の統計になりますが、平成16年厚生労働省が発表した「就労条件総合調査結果」によると、配偶者がいながら単身赴任をしている従業員がいると答えた企業(1,000人以上規模)は81.0%。全国に約317,000人、現在も上昇傾向にあるようです。
今回は、夫の転勤が決まった場合、正社員で働く妻はどうしたらよいかについて、キャリアカウンセリングの視点でお話ししたいと思います。みなさんのご家庭やお仕事のご事情は様々ですので、あくまでも、決定を下す際の一つの参考にしていただければ幸いです。
転勤が多い時期、少ない時期はあるの? 勤続年数は関係ある?
一般的に、一年の中で転勤が最も多い時期は7月と言われています。10月からの後期に向けて動き出す時期だからだそうです。また、同様の理由で10月も転勤が多いとも言われています。お盆明が明けて落ち着いた頃、9月、10月に辞令が出るケースもあるようです。
一方、一年の中で転勤辞令が少ないのは4月と言われています。4月は新卒の採用に手いっぱいな企業が多いからのようです。逆に、公務員の転勤時期は4月が多いようです。
ちなみに、勤続年数4年目頃の方は、転勤の辞令が出る確率が高いと言われています。最初にどこに配属になるか、部署はどこか、企業の特質などによって様々ではあります。
単身赴任を選択する場合 ~妻が現在のお仕事にとどまる選択~
単身赴任を選択されるご家庭の場合、「お子様の学校を変えたくないから」という理由もあるようですが、他にも「妻が正社員の仕事を辞めたくないから」という理由も多いようです。
確かに、一旦仕事を辞めてしまうと、新天地で同じようなお仕事を探すのは簡単ではありません。また、今のお仕事にやりがいを感じ、今後もキャリアアップを狙っている場合、なおさら簡単に辞めることができず、苦渋の決断を迫られます。
また、旦那様の単身赴任で二重生活となり、経済的に負担がかかる場合もあるかもしれません。お子様がいらっしゃるご家庭は、妻の負担も増えることになります。
その場合は、ご家族に助けを求めたり、金銭的な面で、単身赴任手当等があるかを夫の会社に確認してみたりする方法もあります。
また、ご家庭にもよりますが、離れているからこそ、お互いをより大事に思う気持ち、お互いの存在の大切さに気付くこともあると聞きます。月に何回かは会う、またはSkypeやFacetimeなどで顔を見ながら話をするなど、定期的に連絡を取り、心のつながりを保つ工夫も楽しんでできるといいですね。
一緒についていく場合 ~現在のお仕事を思い切って辞める場合~
新しい夫の赴任先に、妻の会社の支社があれば、異動が可能かどうか打診するという方法もありますが、支社等がない場合は、結局辞めざるを得なくなります。
もちろん、今までのご経験を生かして、新天地であらたにお仕事を探すこともできると思います。ただ、赴任先によってはご希望の職種や給与に沿うお仕事がなかなか見つからない、夫の赴任期限もあり、正社員で務めることが難しいという場合も。そのような場合、正社員ではなく、パートや派遣での仕事に就く方も多くおられるのが現状です。
キャリアカウンセラーとして、相談女性と面談をさせていただいている際にも、このようなケースはよくお見受けします。また、転勤先からお戻りになった際に、正社員で再び仕事を探したいが、なかなか見つからない、という悩みを抱えてお越しになる方も同様に多くお見受けいたします。
必ずしもそうではありませんが、現在の日本では、企業は正社員でお仕事を継続されていた方を評価する傾向にあります。パートや派遣での就業経験が続いてしまうと、夫の転勤という理由があったとはいえ、転職活動が少々困難だと感じる場合もあるようです。
夫の転勤が決まったら検討したいこと
夫の転勤が決まり、妻が正社員である現職を辞めてついていくことになった場合、転勤から戻ったときのご自身を想像してみましょう。もし、転勤前と同じように正社員として仕事をしたいとお考えであれば、是非、下記の事項を一度検討してみてください。
【赴任先でも今までと同じ職種の仕事を選ぶ】
今までのお仕事の内容とは、なるべくかけ離れないような職種を選ぶことをおすすめします。ご自身のご経験が活かせ、即戦力になることはもちろん、転勤から戻った際も、転職が有利になる可能性が高いです。地方での就職・転職を支援している人材紹介会社もありますので、転勤までにお時間があるようでしたら、ご相談にいかれてもよいでしょう。
【赴任先で、今までできなかった勉強に取り組む】
もし、パートや派遣での就業等で時間に余裕がある場合、スキルアップのための勉強を集中して行うのはどうでしょうか。例えば、現在、経理職の方であれば、一つ上の簿記、人事担当の方であれば、社労士資格の勉強などおすすめです。
【新たな資格取得、スキル取得をめざす】
何歳からでも勉強は遅くありません。例えば、介護職は、全国どこに行っても求人はあります。介護福祉士は国家資格でもありますし、正社員としてしっかりとキャリアを積んでいくことは多くの地域で可能でしょう。
【フリーランスという働き方も視野に入れてみる】
クラウドツールが普及している現在は、パソコンとネット環境があれば、ご自宅でできるお仕事も実はたくさんあります。例えば、Excelのスキルが非常に高い方、WEBサイト制作ができる方、文章を書くことが得意な方々の中には、業務委託という形態で、在宅でお仕事されている方も多くおられます。お子様がいらっしゃっても、転勤が多くても、在宅でできるお仕事はとてもありがたいものです。
また、「仕事の内容によっては在宅ワークができる働き方を取り入れていく」という企業も増加傾向にあります。今後、場所や育児に左右されず、柔軟な働き方がしたい方は、視野にいれておくのも良いかと思います。
ご自身のキャリアに迷ったら
夫の転勤が浮上したら、ご家庭でしっかりとお話し合いを持つことは必要でしょう。一方で、キャリアカウンセリングを専門で行うカウンセラーに一度相談してみる方法もあります。将来の理想像ややりたいお仕事、今までのご経験から考えられる今後の可能性の広がりなど、第三者の目線でアドバイスをもらうことができます。ベストな決断をする際のよい材料になるのではないでしょうか。
まずは、転勤から戻った後のご自身のお仕事、働き方、理想像を描いてみてください。皆様にとって、ベストな決断ができるといいですね。
■パートナーの転勤、海外駐在に伴うご相談も多く寄せられています:女性のキャリア相談「マイ・カウンセラー」