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自分らしいキャリアに踏み出した
女性100人の軌跡
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「仕事」と「家庭」両方を楽しみながら、世の中に貢献できることをし続ける。

大学を卒業後、大手物流会社情報システム部で長年キャリアを積み、現在は育児と地域のボランティア活動に励んでいる大原さん。この春踏み出す新たな一歩とは。お話を伺いました。

前向きにチャレンジすることの大切さ

二人姉妹の姉として生まれました。賑やかな性格で人前に立つことが好きで、幼稚園では演劇会で主役に立候補するほどでした。

そんな目立つことが好きな私の夢はアナウンサーでした。小学4年生から放送委員会に入部し、アナウンサーへの夢が膨らみました。

高校ではチアダンス部に入部しました。運動は苦手でしたが、チアダンスなら華やかで楽しく活動できると思ったことがきっかけでした。とても楽しくて仲間とともに熱中しました。

チアダンスの強い大学に行きたくて受験しましたが、志望した大学は不合格。別の大学への進学を決めました。しかし、クラスメイトや大学の活動に興味を持てず、学校生活に意義を見出せませんでした。

1年生の夏休みに、大学内の交換留学プログラムに応募し、カナダのブリティッシュコロンビア大学へ短期留学をしました。その大学で、様々な選択をした様々な年齢の人たちに出会いました。大学進学後は就職することが当たり前だと思っていたので、自分はなんて狭い世界で生きていたのだろうと目が覚める思いでした。同時に大学入試の失敗にこだわっていた自分の小ささにも気が付きました。

留学を経て、「やりたいことに精一杯チャレンジする」「いつになってもチャンスは巡ってくる。前を向いて歩き、チャンスを逃さないように常にアンテナを張っていよう」と気持ちを切り替えることができました。

帰国後はそれまで大学内にはなかったチアダンス部を、仲間を集め、自分で立ち上げました。それからは学業とチアダンス部、アルバイトなども精力的にこなし、充実した学生時代を過ごしました。

時代の流れに乗って、知識をどんどん吸収

幼い頃夢見たアナウンサーのように、女性として第一線で働き続けられるような仕事がしたい、と常に思っていましたが、具体的にどうすればいいのか迷ったまま、大手物流会社に就職が決まりました。

入社して2年目に情報システム部に異動。ちょうど「パソコンを1人1台に配付する」という時代で、社内でも「若い人にまず覚えてもらおう」という風潮だったので、いろいろな研修に行かせてもらいました。

そのうち、研修で学んできたことを、社内研修の講師として、社員や役員に教える仕事をするようになりました。さらに、大手IT企業の研究会に行かせいただきイベント準備のお手伝いをしたり、社内コミュニケーションツールの研究チームで研究発表をしたりしました。時代の流れに乗れて、周りにも恵まれて、最新の情報をどんどん吸収していきました。

結婚後も、社内システムを変更するためのプロジェクトリーダーなど、任されることがどんどん増え、充実している反面、現場だけの知識の限界を感じるようになりました。また、現場で得た知識を学識的に自分の中でまとめたくて、大学への編入を決めました。

今まで私が携わったシステム構築部分は、ITを使った業務分析を用いて経営に関わる情報を提供する事が多かったので、実際にすぐ業務に役立つのではと考え、経営情報学部を選びました。

授業を受けたり、レポートをまとめたりすることは、実際の業務に近く全く苦になりませんでしたが、土日も出勤することが多く忙しかったので、仕事との調整が大変でした。 それでも、大学では志が高い社会人学生に多く出会うことができ、とても刺激的でした。仕事と通学の両立を経験し、多少のことではめげないタフさも培われました。

大学で知識レベルを上げることができ、卒業してからはキャリアアップに向けていままで以上に仕事に熱中しました。できない事をできるようにしたときの達成感も心地よかったです。第一線で働き続けるということが実現できているという満足感もありました。

一度立ち止まって将来を考える

その後、第一子を妊娠、出産しました。産後も復帰してこの会社で働き続け、定年し嘱託になるまで、この会社でキャリアを積んでいきたいと思っていました。

約2年の産育休を経て復帰しましたが、子どもがよく病気になり、会社を休むことが多々ありました。さらにその後、子どもが入院、約1か月仕事を休むことになってしまいました。

病気がちな我が子を横に、私自身、そこまでして働きたいのかな、とふと思うことがありました。一度そう思ってしまったことで、今までのモチベーションで働き続けること、成果を出し続けることに自信がなくなってしまいました。

今まで仕事と育児にと、忙しさに流されて今後の人生について考える余裕もなかった。けれど、このままよく考えずに突き進んだら、仕事においても、育児においても後悔してしまうのではないか、と思いました。今は一度立ち止まり、子どもに寄り添いながら落ち着いて将来について考えるときなのかもしれないと思い、長年勤めた会社を辞めることを決心しました。

その後、第二子を妊娠、出産し、専業主婦として育児に忙しい日々を過ごしていました。ただ、「人のために役立つように」と社会活動を続けていた祖父母や、教師を続けてきた母を見て育ったので、私もどんなことでもいいから社会とつながることがしたいと思い続けていました。

子どもの小学校で、英語を教えたり、読み聞かせをしたりするボランティア活動があることを知り、育児の傍らボランティア活動に積極的に参加しました。また、今後仕事をしない人生は考えられず、いつか復職するときのために常にアンテナを高く張り、復帰に関する情報収集も行いました。

チャンスを逃さないように行動する

退職してから5年経ち、本格的な復職までの足慣らしができたら、と思い”育休中や離職中の子育て女性たちが、仕事復帰に向けたウォーミングアップと同時に社会貢献活動を行える場”を提供しているNPOの再就職支援セミナーに参加をしました。

そのセミナーで配られた資料の中に、エスキャリアのキャリアカウンセリング「マイ・カウンセラー」のパンフレットがありました。キャリアカウンセリングは今まで受けたことがなく、興味がありました。また、キャリアがストップしてしまっている状況からちゃんと復職できるのか、年齢やブランクを考えると仕事の幅がせまくなってしまうのではないか、という不安を解消できたらとも思い、キャリアカウンセリングを受けました。

担当してくださった岡本さんに「どもたちの成長に合わせて、徐々に仕事の時間を増やし、キャリアをステップアップしていきたい」というキャリアプランを伝えました。すると「しっかり自分の考えを整理されていて、キャリアカウンセリングをうけなくてもいいくらい、考えがまとまっていますね」と言ってもらえました。自分の考えていたことが間違ってなかったと確信が持てました。

「とりあえず今はキャリアブランクをあけないように、育児の時間もしっかり確保できるという条件さえ合えば働きたい」という思いも伝え、今後の具体的なアクションプランも一緒に考えていただきました。そして、この4月から働けるように、2月までには本格的に動き出したほうがいいとアドバイスをいただきました。

それを受け、すぐに活動を始めました。情報収集をしていくなかで、ITツールの講習会に興味を持ち今までやってきた知識が生かせるかもしれないと思い、参加することにしました。

その講習会から発展し、ITツールを使った仕事をできることになりました。柔軟な働き方もできるので、子どもとの時間もしっかり確保しながら、今までの知識や経験を生かし、やりたいと思える仕事に出会えて、働けるチャンスを逃さないように積極的に行動してきて本当によかったと思いました。

世の中の役に立てることを続けていく

現在も育児をしながら、子どもの小学校や地域でボランティア活動をしています。そしてこの4月から、勤務先が決まり、新生活に向けて少しずつ準備を進めています。

私自身が母になり、母親業がとても高度な能力を必要とすることを実感しました。他のママさんたちとの関係を円滑にするコミュニケーション力、子どもや自分のスケジュール管理能力、突発的なけがや病気に臨機応変に対応する力など、仕事においてもとても重要な能力をフルに発揮していると感じます。

「主婦しかやってないから」と謙遜し、社会復帰をあきらめてしまっているママさんが周りには多いなと感じています。いずれは、そんな人たちが家庭と仕事のどちらかを選ぶのではなく、どちらも選び充実した人生を送ることができるようなお手伝いをできたらいいなと思っています。

再就職が決まり、キャリアを積むことは働き続けることだけじゃないんだと実感しました。一度仕事を辞めて立ち止まることも、「家庭」と「仕事」どちらも大切にしていくこともできるし、いろいろな働き方があって、人生の選択肢は1つじゃなくていいんだと気づきました。

仕事や社会活動は自己表現の手段で、自分を表現できる場所や時間は生きていく上でとても大切なものだと思っています。働きながら、引き続きボランティア活動も続けていく予定です。仕事であってもボランティア活動であっても、何かをし続け、世の中に貢献していけたらいいなと思います。


大原 ななえ さん
40代前半 / 専業主婦/地域運営委員会所属

大学卒業後、大手物流会社に入社。情報システム部に所属し、IT講師としての勤務を中心に、社内SEとして多岐に渡る業務を経験。その過程で大学に編入し経営情報を学ぶ。第一子出産後、育休を経て同会社に復職するが、子どもの療養のため退職。現在、社会貢献活動として様々なボランティア活動を行う。この4月より復職予定。二児の母。

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