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自分らしいキャリアに踏み出した
女性100人の軌跡
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キャリアカウンセリングを切り口に、イキイキと働ける職場作りのサポートを。

新卒から人事のキャリアをスタートし、様々な会社で人事のエキスパートとしてキャリアを積み、管理職もご経験されてきた上杉さん。経験を生かしながら踏み出した新たな一歩とは。お話を伺いました。

就活で初めての挫折を経験

二人姉妹の次女として東京に生まれました。小さい頃はとてもおとなしく、いつもニコニコ笑っている子でした。

高校まである幼稚園に入園、そのまま進学したため、幼稚園からずっと一緒の友人もいる等、友人には恵まれていましたが、 校則が厳しかったので、高校卒業までは学校と家を往復する毎日で、とても真面目な学生生活を過ごしていました。

人の心理に興味があったので、大学では心理学を学びたいと考えました。しかし、心理学には理系の知識も必要と担任の先生に言われ、理系が不得意だった私は心理学科を諦め、もともと本を読む事が大好きだったため、日本文学科に進むことを決めました。そして、あまり規模が大きくなく、しっかりと専門を学べそうな大学に推薦で入学しました。

大学時代はすごく楽しかったです。高校までと違って厳しい校則がないので、帰りにちょっとお茶して帰るだけでもすごく新鮮でしたね。また、授業も殆ど休まずしっかり受けながら、アルバイトをしてお金を貯めては春休みを利用して海外旅行もしていました。

大学3年の春から就職活動を始めましたが、バブル崩壊直後だったためとても苦戦しました。それまで卒業後は当然就職するものとしか考えていなかったので、自分が何をしたいか、どんな風に働きたいかを考えたことがなかったんですよね。

姉が建設会社に勤めていたこともあり、不動産や建設業界を中心に、生保や商社などいろいろな業界を受けましたが、ことごとく落ちました。頑張ってもどうにもならないことがあるんだなと思い知らされ、人生で初めての挫折を味わいました。

心が折れかけ、一旦就活をやめようかなと思っていた矢先に、不動産会社から内定をいただきました。面接官がとても感じの良い方で、「この人の下で働けたら」と思っていたので、とても嬉しかったですね。自信をなくしていましたが、「私でも自分1人の力で成し遂げられた」と大きな自信になりました。

人事としてのキャリアをスタート、30歳で留学を決意

入社後は、希望をしていた総務課に配属になりました。総務はどの会社にもあるので、いずれ全く違う業界で働きたくなったとしても役立つと思い希望しました。また、営業など表に出るよりは、裏方として支える方が性格的に合っていると思いました。

入社して数か月で、退職する社長秘書の後任を打診されましたが、秘書業務に興味を持てなかった私は、生意気にも上司にやりたくないと率直に伝えました。すると、上司はそのわがままを受け入れてくれ、「人事の仕事が合っていると思うし、できると思うよ」と人事課との兼任を提案してくれ、人事制度企画のプロジェクトを担当することになりました。

知識ゼロからのスタートでしたが、マーケットデータを調べながら、人事制度について学び、現状分析をし、最善と思われる仕組みを作っていく業務はとても面白く、やり甲斐もありました。この仕事は自分に合っていると思い、仕事へのモチベーションもあがりました。

多岐にわたる制度改革は時間もパワーもかかり、あっという間に3年が経ちました。この間に結婚もしましたが、土日も仕事をするなど休みなく働いていたため、夫とすれ違うことが多くなり、生活を整えようと制度改革がひと段落した6年目で退職を決めました。

退職後、結局離婚に至りました。リフレッシュしたい気持ちもあり、留学もいいかなと考えましたが、9.11の直後で、決めきれずにいたところ、たまたま新聞で経営コンサルティングファームの人事のスタートアップメンバーの求人を見つけ、これまでの制度改革の経験を生かせると思い応募したところ、内定をいただけたので、留学を迷いながらも就職を決めました。

ゼロから人事制度を作っていく仕事は既存制度の改訂とはまた違った面白さがあり、とてもやりがいがありました。また、外資出身者や海外経験者など多様性のある職場の雰囲気もとても刺激的でした。

そんな中、上司に「これからは人事で英語ができると幅が広がるよ」と言われて、留学への思いが再燃し、人事制度がほぼ整ったところで退職、30歳で留学することを決めました。

留学を経て改めて人事への思いに気づく

留学は「日本人が少なく集中できる」とエージェントに勧められるがままカナダのモントリオールに行きました。しかし、モントリオールは公用語がフランス語のため、英語にどっぷりつかる感じではなく、予定の9ヶ月を目前にしても思っていたよりも英語が上達していないことに焦りを感じました。

そこで帰国をやめ、1年間インターンシップをすることにし、自分でインターン先を探し、ニューヨークの田舎のホテルで働くことが決まりました。初めてのホテル業界・接客業、周囲に日本人が1人もいない環境で、毎日必死の思いで生活し、人生で初めて孤独を感じました。また、周りには出稼ぎに来ている南米出身者が多かったため、英語よりもスペイン語が飛び交う環境で英語にも苦戦し、「帰国後どうしよう」という漠然とした不安もありました。しかし、南米の方と友達になり、彼らの生きるエネルギーや、力強さ、帰国後のビジョンをイキイキと語る姿に触発され、改めて「自分に何ができ、何がしたいか」を考えました。

そして、私にできて、やりたいことは人事だということに改めて気付き、再び人事職に戻りたい、と強く意識しました。インターンを始めて半年後、アメリカの大学の通信コースでグローバル人事について勉強しました。

30歳でキャリアを中断し、留学するという決断は、周囲の反対も大きく、勇気もいりました。しかし、この経験があったからこそ、これまでのキャリアを振り返り、進むべき方向性を明確にすることができたので、思い切って決断して本当によかったと思いました。

人事のエキスパートとして管理職に昇進

帰国後、仕事に慣れるために、数か月バイトや派遣で英文事務職の仕事を経験。その後、外資系の会社に人事として入社し、C&Bという報酬や福利厚生を担当する仕事に就きました。ちょうど日系企業との合併直後で、両社の給与体系等を合わせていくプロジェクトでした。

しかし、合併直後特有の両社の社員同士のいがみ合いなど、仕事のやりにくさもあり、1年弱でやめ、すぐに外資系の消費財企業に同じC&Bとして転職しました。居心地もよく、だんだん任される仕事も増え、あっという間に時間が過ぎていきました。

3年目から、社員のメンタルケアにも関わるようになりました。メンタルダウンした社員にどう接すれば良いのかわからず不安で、もともと心理学に興味があったこともあり、36歳の時に一念発起し、産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格を取りました。きちんと基礎を勉強したことで、自信をもって社員と接することができるようになり、いつかカウンセリングの仕事をしてみたいと思うようになりました。

その後管理職にもなりましたが、外資系企業ならではの厳しさの中で、常に高いパフォーマンスを求められるプレッシャーや、部下を厳しく指導しなければならないことへの気持ち的な負担があり、また非常に忙しく体力的にもハードでした。

40歳になった頃、いつまでこの仕事を続けられるのか迷いを感じ始め、「キャリアを変えるなら今かもしれない」とふと思い立ち、退職を決めました。

キャリアカウンセラーとして一歩を踏み出す

カウンセラーになりたい気持ちはありましたが、未経験でしたし、カウンセラーの仕事だけで生活できるとは思っていなかったので、安定的な収入を得るため、前職で関わりがあり、仕事内容に興味のあった労働局に入りました。  

企業へのヒアリングや雇用均等に関するアドバイスを担当し、これまでの人事の経験が生かされていることにやりがいも感じましたが、お役所特有のカルチャーやスピード感が合わず、契約は更新しませんでした。

また人事として働こうか・・・と思い、実際転職活動もし、内定をいただいた会社もありました。しかし、またあのハードな生活に戻るのかと思うと勇気が出ず悩んでいた時、労働局の仕事の傍ら週1回電話カウンセラーとして勤務していた会社から、企業の職場環境のコンサルティング業務に誘っていただきました。

ずっと企業で働いてきたこともあり、企業と接点を持てることに惹かれて、週1回のカウンセリングを続けながらコンサルティング業務をすることに決めました。様々な企業にヒアリングし、状況分析や提案を行う業務はとても面白かったです。

副業可で色々な働き方を認めてくれる会社だったので、もっと仕事の幅を広げようと参加した研修会社の勉強会で、エスキャリアのパートナーに出会いました。女性のキャリア支援に力を入れているエスキャリアの理念にとても興味を持ち、これまでの人事経験を活かしながら、キャリアカウンセリングの経験を積めたらと思い、エスキャリアにパートナー登録し、カウンセリングや研修講師の仕事を紹介していただくようになりました。

エスキャリアから色々な仕事を紹介していただくうちに、その仕事がとても楽しくなり、今までの経験を生かしながら、もっと自分の可能性を広げられる仕事をしたいと強く思うようになり、この冬、退職を決めました。

社員がイキイキと働くことができる職場づくりのサポートを

現在、フリーランスとして、IT企業で人事制度改革などのコンサルティングを行う傍ら、エスキャリアにて、個人や法人のキャリアカウンセリングや研修を担当しています。

個人カウンセリングでは、アルバイト、派遣社員、管理職など様々な立場を経験してきたことや、キャリアを中断し留学をしてきた私の経験が、より多くの女性の悩みに役立てたらと思っています。時には私の実体験も伝えながら、「自分らしい」キャリアを築けるよう「個」を尊重したカウンセリングを心掛けています。

私が人生で悩み、立ち止まった時に大切にしてきた「自分らしさ」や「一歩踏み出す勇気」を持ってもらえるようなカウンセングを続けていけたらいいなと思います。

法人カウンセリングでは、従業員のカウンセリングを通して組織の現状を分析、問題提起などの組織レポートの作成等を行っています。簡単ではありませんが、これまでの人事の経験で培った調査や分析のスキルが活かせていると思います。

個人のキャリアカウンセリングを切り口に、今までの人事経験を生かして組織の制度改革まで一貫して携わることが、まさに一番やりたいと思っていることです。それが、より多くの人がイキイキと働くことができ、企業にとっても生産性の上がる職場作りのサポートになると信じています。


上杉 麻里 さん
40代前半 / キャリアカウンセラー/人事コンサルタント/職場環境コンサルタント/研修講師

大学卒業後、不動産会社にて総務、人事を経験。以降、日系・外資系のコンサルティングファームや消費財業界等、多様な業界に勤務。30代初めに留学によりキャリアを中断、その後派遣や契約社員等を経て、30代半ばで管理職を経験。現在は、企業の職場環境等のコンサルティング、研修講師、働く女性を対象にしたキャリアカウンセリング等を行っている。

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