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自分らしいキャリアに踏み出した
女性100人の軌跡
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子どもがいてもチャレンジを諦めない。これまでの経験を次の10年に活かす。

フリーランスとして様々な仕事で活躍する袴田さん。約10年間人事としてキャリアを積んだ後、フリーランスになって複数の仕事を始めた背景とは。お話を伺いました。

 

祖母の影響と高校受験失敗からの学び

富山県で2人姉妹の妹として生まれました。幼い頃はマイペースで、お絵描きやパズルを黙々とやっていたかと思えば、好奇心のままに動き、よく迷子にもなっていました。

両親は共働きで、明るくて朗らかな祖母に、戦前の女学校や看護師職員の仕事の話を聞かされながら、自由にのびのびと育ちました。物心つく頃には自然と祖母のようになりたいと思っていました。
小学校では優等生タイプで、よく学級委員に選ばれました。勉強が好きで、正義感が強く、友達も多かったです。中学校でも最初のテストでなぜか1番をとってしまい、プレッシャーを感じつつも、周囲からの期待に応えたいと頑張って勉強しました。

高校は、県内のトップ校の受験に失敗して私立高校に進学しました。それまで何でも要領よくやってきて、上手くいくはずと思っていたので非常に落ち込みましたね。初めての挫折でした。入学前は嫌で嫌でしょうがなかったです。

入学して、新しい友達ができて学校に順応できた頃、失敗しても立ち直れるということを学びました。受験失敗で自分の殻が破け、優等生でなくてもいい、楽しんでもいい、と思えるようになりました。価値観・考え方が似ている友人もでき、すごく楽しかったです。

地元や近隣の国立大学への進学を考えていましたが、友達が東京に行くと聞き、ちょっと東京や関西も考えてみようかなと思いました。周囲からは反対されましたが、チャレンジをすれば失敗しても世界が広がるとわかっていたので躊躇はありませんでした。

英語が得意で、ドラマの影響もあり、語学を活かせる仕事に漠然とした憧れがありました。いくつか受験し、東京の私立大学の観光学部に入学しました。

東京では、一人暮らしをはじめ、新しいことの連続でした。地元では少し移動してもすぐに知り合いに会うので周りの目を常に気にしていましたが、東京だと誰も気にしないので、自由を得られた感覚がありました。

サークルも居心地が良く、百貨店でのアルバイトもし、環境心理学のゼミでは海外でのエコツーリズムに参加し、卒業論文を頑張りました。興味の赴くままに好きなことをやっていました。

そのため就職活動は周囲から出遅れ、4年生になってやっと動き出しました。アルバイトでの接客経験から、人に合わせて最適なサービスを提供できるような対人の仕事を探しました。就職氷河期で就活は厳しく、一番初めに内定が出た教育サービス企業に入社しました。

基本的なビジネススキルを身に着けたい

資格の予備校で、DMやセミナーによる講座の販売、学生さんのケアなどを担当しました。職場の雰囲気が良く、仕事もやったらやっただけ売上に繋がるので、楽しかったですね。目標を達成する楽しみもありました。でも、楽しく結果も出せて、シフト勤務だったので、アルバイトの延長のような感覚でした。それで2年目に、ビジネスパーソンとして基本的なスキルが身についていないんじゃないか?と怖くなったんです。

景気が良くなり、第二新卒で転職する人も出てきた時期だったので、マナーや知識、コミュニケーションなどの基本的なビジネススキルが身につきそうな会社に転職することを決めました。

転職活動中、ある企業の採用面接中に、総務・人事の仕事をしてみないかと言われました。未経験で総務・人事にチャレンジできること、同世代の女性比率が高く、女性管理職もいて女性が活躍しているイメージがあったことから、転職を決めました。

しかし、入社後すぐに失敗したかなと思いました。社員管理や採用の仕事でしたが、引き継ぎがなく、重要な人事情報がわからず大変でした。関係部署から訳も分からず怒られることも多く、戸惑いながら過ごしました。離職も多い環境でしたが、自分で決めたことだから1年は続けようと期限を決めて頑張りました。

だんだん体制が整い、混沌とした雰囲気も変わり、少しずつ居心地が良くなってきました。しかし、この会社で働き続けたいか、管理職になりたいかと考えると、なんだか違う。また、新しく任された新卒採用をもっと自由に、主導して進めたいと思いました。

2年半勤めた後、男女関係なく活躍でき、もっと採用の仕事を主体的にできる企業を探し、IT企業に人事として転職しました。

人事としてのキャリアを積む

IT企業では、直属の上司からビジネススキルや考え方などを叩き込まれました。急成長中の会社で仕事量も多かったので入社後すぐにいろいろ任されて、ドキドキしながら仕事をしました。毎日覚えることがあり、夢中で楽しかったですね。

2年目になるとチームリーダーを任され責任も重くなりました。新卒採用のため、全国を駆けずり回ったのに採用数が目標に届かなかった時は、体力・気力的にしんどかったです。3年目にある程度目標をクリアできた時は自信を持つことができました。

4年目に部内異動で教育研修の仕事を始めました。教育研修は結果が目に見えず、どこで評価されるかもわからない。最初は、合わない、向いていないと暗い気持ちで取り組んでいました。正解のない仕事で、怒られることも多く、つらかったです。辞めたほうが良いのかな、とまで考えました。

異動3年目、やっと安定を取り戻しました。「研修担当」ではなく会社の「人材開発」を担う姿勢が求められていたのだと思いました。同時に、仕事に活かせるかと思い、産業カウンセラーの資格も取得しました。

その後、同時進行で中途採用の仕事をするようになると、新たなモヤモヤが始まりました。自分自身の成長が止まっている感覚があったんです。そのため、7年目に妊娠が判明しましたが、産後戻ってこれるのか、もしかしたら辞めなければいけないかもしれない…と気持ちが不安定なまま、産育休に入りました。

仕事外での刺激の一方で、マミートラックに

気持ちは不安定でも、ずっとフルタイムで働いていたので、育休は楽しみでした。産業カウンセラーの資格取得の際、仕事とプライベートの二択ではなく、世の中のキャリアにはもっと選択肢があると学んでいたので、仕事以外の役割として、育休中のまとまった時間で何かしようと思いました。

それで、仕事復帰に向けたウォーミングアップと同時に社会貢献活動を子連れでできるプロボノに参加しました。他企業の、同世代で子どものいる女性と交流するのが刺激的で、「産休に入る前にモヤモヤしていたのは刺激不足だったんだ!」と気づきました。仕事に対してポジティブな気持ちを取り戻し、約1年の産育休を終えた後、意欲に満ち溢れた状態で時短で復帰しました。

しかし、復帰してみると、時短勤務で任された仕事は産前の仕事量の半分ほど。意欲があった分、拍子抜けでしたね。でも、子どもが熱を出した時など迷惑をかけることもあり、物足りないと思いつつも配慮してもらえる環境に甘えてしまっていました。

ただ、これを機に、9年ほど在籍してきて、そろそろモヤモヤに立ち向かうべきなのではと思い始めました。後輩も成長して私が休んでもあまり影響なく、試しに転職活動をして、気持ちが変わらなければ転職しようと決めました。

復帰した年に新しく始めたボランティアで、同じ世代の女性が語り合う場を作っていたのですが、子どもがいても転職した人の話を聞くなど、チャレンジする女性は意外と多いと知り、勇気をもらったこともあり、決断できました。

フリーランスとして踏み出す

10年間ずっと人事をしてきたので、正社員での転職だと人事の求人ばかりになります。それだとまた同じ悩みやモヤモヤにぶつかりそうだと思いました。また、ずっと間接部門にいたので、直接部門でビジネスを経験してみたいと思っていました。それで、正社員での転職も考えつつ、様々な案件に携わり、経験値が広がりそうなフリーランスでの仕事を探してみるのも良いかもしれないと思いました。

複数のエージェントに登録してみると、正社員として働くなら、在籍中の会社が恵まれていることがわかりました。子どもが小さくても働きやすく、休みもとりやすい。給与もそれなりにあり、環境的にはベストなんだと気づきました。

エスキャリアも、転職活動中にフリーランスのパートナー募集をしていることを知りました。人事系に特化した内容が、まさに私じゃない?と思い、ひとまず登録してみました。フリーランスになるという強い意志はありませんでしたが、他にも業務委託の仕事を紹介している企業に登録しました。

転職するかフリーランスで仕事を探すか迷っていたので、面談の際に相談してみました。すると、担当してくださった岡本さんに「大丈夫じゃないですか?」と背中を押してもらいました。それで、フリーランスをやってみよう、と決めて独立しました。

最初の1年は、評価系人事システムを企業に導入するチームの仕事を行いました。お客様の都合で終了しましたが、お互いを尊重し合ういい空気のチームで、評価業務の経験もつめ、フリーランス第1弾の仕事としてはすごく良い環境でした。また機会があればお声がけいただける関係を築けました。その後は、複数の会社と契約をして仕事を始めました。

パラレルキャリアで様々なチャレンジを

現在、エスキャリアのチャットカウンセリング、大学1・2年生向けのキャリアデザインの非常勤講師、家事シェアサービスのスタートアップ企業でのバックオフィス業務の3つを並行してやっています。

非常勤講師は、ボランティアで知り合った友人に声をかけてもらいました。これまで社員研修をやってきて、就職活動より早期から伝えられることがあればやりがいがあるなと思っていたので引き受けました。しかし、企業研修とは違いチームではなく全て一人で準備しなければならないので大変ですね。責任も大きいと感じています。

家事シェアサービスの企業も友人の紹介で、「共働き家庭でも、一人ひとり自分らしく生きる時間を増やせる世界をめざす」というビジョンに共感し、またスタートアップでの経験をしてみたかったので、始めました。

今は、エスキャリアのチャットカウンセリングにやりがいと手応えを感じています。女性のキャリアに関する悩みは私自身も共感することが多く、ご相談者と一緒に悩みながら当事者となって考えます。私との会話を通して少しでもポジティブに、その人にとってより良い人生を歩めるようにサポートしていくことに心の充実を感じており、長く続けていきたいなと思っています。

今後は、やってみたいと思ったことにはどんどんチャレンジし、経験を積んでいきたいです。長期的には「多様性」「チームワーク」というキーワードに興味があります。

これまで正社員、ボランティア、フリーランスで様々なチームに所属してきました。そんな中でチームワークが業績に与える影響はすごく大きいと実感しています。人生100年時代、AI技術も発展する中、多様なメンバーがお互いを尊重しあって、長所・得意な分野を持ち寄り、良い空気の中業績を上げるにはどうしたら良いか。ぼんやりとですが、そんなことをテーマとして次の10年を考えていけたらと思っています。


袴田 里美 さん
30代後半 / キャリアカウンセラー/HRコンサルタント/講師

大学卒業後、教育関連会社、サービス業を経て、IT企業で約10年間人事を担当。主に採用と人材開発に携わる。第1子出産後に参加したボランティア活動を契機に、女性や子どもを持ちながら働く親の働き方、多様性のあり方に興味関心を持つ。現在は、フリーランスで講師・HRコンサルタント・キャリアカウンセリングなどに携わっている。

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