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「頼んだらやってくれる」…で満足?仕事復帰前に「雰囲気イクメン」を改善しよう!


エスキャリアのキャリアカウンセリングサービス「マイ・カウンセラー」には、仕事復帰や育休終了後の仕事と家庭(家事・育児)との両立に悩む育休中の女性からたくさんの相談が寄せられています。

「育休後の働き方が想像できません」
「育休中ですら家事・育児で疲れているのに、この状態で更に仕事復帰できるのか不安です」

そして多くの方が、自分のやりがいや「こういう仕事がしたい」という思いを諦め、負担の少ない職場への転換、勤務形態の変更、退職などを検討していらっしゃいます。

しかし、お話を伺うと、実はパートナーとの家事育児の分担が十分ではなく、1人ですべてを担う負担感から、そのような発言をしているというケースが多いのです。

そこで今回のコラムでは、仕事復帰の際に大切な、パートナーの家事育児での活躍について考えていきたいと思います。

1.パートナーの意識を変革しよう

家事育児の両立に悩む方のカウンセリングの中で、パートナーの家事育児分担について尋ねた時に返ってくる答えとして多いものは以下の通りです。

・家事も育児も頼んだら手伝ってくれるが、積極的に動くという感じではない
・夫は家事ができないので、私が家事をする間、子どもと遊んでもらっている
お願いしたことはやってくれるけれど、分からないことがあるとすぐ私に頼る

つまり、家事育児については妻が主導権を握り、夫は妻からの依頼を受けてスポット的に対応するか、「できることをする」という状態のご家庭が多いことが分かります。

家事育児は経験を重ねることで一定は上達するものですので、育休期間に子どもと接する時間が長かった女性の方が上手であるのは当然のことです。しかし、育休中に家事育児を妻に任せきりにしていた男性の多くが、妻が仕事に復帰したら、「自分が家事育児を今以上に責任もって担う必要がある」という事をしっかり認識せずに、いつまでも「頼まれたらやる」という意識で生活しています。

育休期間が終了し仕事復帰するという事は、家事育児にかける時間が絶対的に短くなるということを意味します。朝起きてから出勤時間まで、または帰宅してから子どもを寝かしつけるまでの1、2時間で、今までやっていた事をすべて行おうと思ったら、1人ではできないことは明らかです。

まずは、「絶対的に時間がない」ということをパートナーに認識してもらった上で、家事育児を「頼まれたらやる」という意識ではなく「自ら進んで家事育児に取り組む」必要があることをパートナーと話し合っておきましょう。

2.雰囲気イクメンではなくイクメン(=父)になってもらおう

現在の子育て世代は、専業主婦の母親に育てられている場合が多いため、専業主婦だった母にとっては我が息子が自分の夫と比べて「イクメン」であるという思いを持ちやすいようです。

また、手軽な誉め言葉として「イクメンだね」という言葉は広く使われているため、パートナーがそもそも自分を「イクメン」と自己認識しているというケースもあるようです。

パートナーが仕事復帰後の生活において、もっと家事育児で活躍してもらえるように、以下のチェックリストを確認してみましょう。

■Check point1:自分のことは自分でできるか
カウンセリングの中でかなり多くの方が実は「子どもの世話だけで大変なのに、夫の世話までできません」「子どものことを手伝う前に、まずは自分のことを自分でやってほしい」とおっしゃっています。

脱いだ服を洗濯かごに入れる、使った食器は自分で洗う、シャツのアイロンがけを自分でする・・・など、まずはパートナーが自分の身の回りのことを自分でできるようになってもらいましょう。

■Check point2:自分が担当する家事を「完遂」できるか
仕事復帰前に仕事と家庭の両立に悩んでいる方の多くに共通していることがあります。
それは、家事育児を「本来は自分がやるべきこと」と背負い込んでいることです。

本来自分がやるべきことをパートナーに「お願い」しているという意識なので、いつまでたってもパートナーへの依頼・結果の確認を自分で担い続けています。それは、頭の中は常に「やらなければいけないことリスト」でいっぱいで、「いつ何を依頼するか考えなければならない」「パートナーが行ったかどうか、また、やり残しがないか確認しなければならない」という状態が続くことを意味しています。そして、仕事復帰後は、これが精神的に大きな負担となります。

そこで、パートナーには1人で完遂できる家事育児を何か1つでも担ってもらいましょう。また、何をもって「完遂」というのかという部分についても意識の統一を図っておきましょう。

(例)子どもの朝の着替え
①パジャマから、妻が用意した子供の服に着替えさせる
②その日の気候や体調に合った服を選んで全体のコーディネートをし、着替えをさえ、脱いだ後のパジャマを畳む(または洗濯かごに入れる)。そして、取り換えたオムツをゴミ箱に捨てる

「完遂」が①と②のどちらを意味するのかで、パートナーの大きく行動は変わってきます。必ず夫婦で意識を統一しておきましょう。

■Check point3:判断業務ができるか
家事については日々のルーティン業務ですが、育児は細かな判断業務の連続です。「朝晩は涼しいけれど昼間暑くなる時期に何を着せるか」「離乳食をどのくらいの量与えるか」「小児科と耳鼻科どちらに連れていくか」「解熱剤をいつ与えるか」など、確実な答えのない問題について判断をし続ける日々が続きます。

仕事復帰をするにあたって、このような子育ての判断業務がすべて妻の役割になっていると、結果的に子どもの怪我や急な発熱などのハプニングが起きた時の対処全般を妻が担うことになり、精神的にも肉体的にも負担が大きくなるだけではなく、家庭運営におけるリスクが高くなってしまいます。

育児に関して困ったことがあると妻に頼る「指示待ち人間」の男性が多く存在していますが、判断業務はほとんどの社会人が仕事の中で行っていることであり、育児の時はできない、というのは理屈が通りません。

「どうすれば夫婦が共に判断業務ができるようになるか」を夫婦で考えていくと良いでしょう。

さいごに…

子どもの誕生とともに、男女ともに、自分のペースで時間を使い、自分がやりたいことに全力投球できる時代は終わりました。仕事復帰を目前に控え不安に駆られる方、また、仕事復帰後にパートナーとケンカが増えた方というのも実際にいらっしゃいます。

しかし、それと引き換えにかけがえのない可愛い子どもを得たことは、大きな喜びであり、子どもの成長とともに自分も成長する機会を得たということは、1つのチャンスでもあります。

一度きりの人生です。忙しさや辛さを正面から受け止めて、大きな達成感と喜び、またパートナーとの強い絆に変えていきませんか?


この記事を書いた人

山口 奈生 さん
大学卒業後、大手損害保険会社の総合職として勤務。夫の海外留学に帯同するために、子ども二人とともに渡米。帰国後、キャリアカウンセラーの資格を取得し、第三子を出産。人材サービス会社で勤務ののち、キャリアカウンセラーとして独立。現在、再度家族で渡米し、アメリカ⇔日本のリモート勤務中の、一男二女の母。
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