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男性が育休を取るってどうなの?パパのリアルインタビュー②


男性で育児休業を取得する人の割合は、5.14%。(2018年5月30日時点 厚生労働省 雇用均等基本調査より)パパが育休を取るパターンは、まだまだ少数派です。前回のコラムでは、実際に男性で育休を取得した方へのインタビューをお届けしました。今回は、その第2弾。しかも、約2年という長期間育休を取得した方に、お話を伺ってきました。

これまでのコラム:男性が育休を取るってどうなの?パパのリアルインタビュー①

<Bさんのプロフィール>

37歳、会社員。妻・3歳・0歳1か月のお子さんの4人家族。第一子が生後3か月から、2歳1か月になるまで、約2年間育児休業を取得。

-なぜ、育児休業を取得しようと思われたのでしょうか?

家族を大切にしていることを、行動で示そうと思ったからです。ちょうど長男の誕生と同じ時期に妻が米国・ニューヨークに留学することになりました。妻を支えながら共に子育てするために 、育児休業を取得しました。

妻は、以前から留学を希望していました。正式に留学が決まり、海外の大学院へ出願している途中で、妊娠が判明しました。妻の職場には、ご主人の海外留学に合わせて奥さんが育休を取得し、帯同するケースがよくありました。

同じような感覚で、妻から「育休を取得して一緒に来てくれないか」という提案を受けました。でもその時は断りました。仕事が充実していて楽しく、まだ子どもが生まれるという実感もわかず、育休を取ることへの漠然とした不安があったからです。

ですが、妊婦検診に一緒に行ってエコーを見たり、お腹の中で動いているのを感じたりするうちに、だんだんと実感がわき、子どもを「かわいい」と思うようになりました。また、漠然とした不安を、「キャリアに対する不安」「お金に対する不安」「周囲に対する申し訳なさ」といった形で言語化していきました。それらを考慮した上で、妻が子連れで渡米し私は日本に残る、あるいは子どもと私が日本に残って妻は単身渡米するなど、様々な選択肢を検討しました。

でも、長い人生の中で、家族のためだけに時間を使う期間があってもいいじゃないか、と思ったこと、妻の挑戦を応援したいと思ったこと、ニューヨークに住む機会なんてそうないと思ったことから、家族みんなで行くことを選びました。

-奥様の留学がなければ、育休を取っていなかったかもしれないですね。

そうですね。子どもがいなければ、妻は1人で海外留学に行き、私は日本に残って仕事をしていたと思います。たまたまタイミングが重なったことで、貴重な経験ができたと思っています。家族が増え、住む場所も使う言語も変わり、仕事を休んで主夫になり、目まぐるしく環境が変化した2年間でした。

この経験を経て、家族に対する価値観も大きく変わりました。長期的に見れば、会社はいつか卒業しますが、家族とはずっと一緒にいるもの。やはり、一番大事にしなければいけないな、と思うようになりました。

子どもはもちろん大切ですが、妻を幸せにしたい、という思いがあります。妻が楽しければ、家の中が明るく楽しい状態になると思います。妻はとても努力家で、私自身はあそこまでやりきれないな、と思うほど。妻が、一生懸命頑張ってその才能をいかんなく発揮している姿を、子どもたちに見せてあげたいな、と思っています。

-育児休業を取得することについて、周囲の反応はいかがでしたか?

おおむね良い反応でした。妻は、留学先でも家族みんな一緒にいられることを喜んでいました。私の両親は好意的に「自由にしたらいい」という感じでしたし、妻の両親は心配しながらも応援してくれました。

職場では、驚きの声と同時に、私のキャリアを心配してくれる声もありましたが、「自分で決めたことなら」と快く送り出してくれました。当時の職場の仲間には、感謝してもしきれません。

-1年間の予定だった育休を、2年に延長されたのはどうしてですか?

当初は、1年経ったら私は帰国して復職し、妻はニューヨークで子供を保育園に預け、留学生活を続ける予定でした。ですが、座った、立った、歩いた、喋ったなど、1年間子どもの成長を間近で見ていて、この貴重な機会を逃していいものか、と悩むようになりました。また、夜中に授乳してそのまま朝の4時、5時まで試験勉強をする妻の姿を見るにつけ、傍で支えたいとも思いました。

一方で、引き続き休職するのは、仕事に対して無責任ではないか、という思いもありました。「1年ならいいかな」と思って育休を取ることを決意した背景もあり、かなり悩みましたね。

最終的には、子どもと一緒にいられる期間は限られているので、今家族みんなで一緒にいる時間を大切にしたい、という思いに従いました。

当時の法律では、1歳半以降の育休は保障されていませんでしたが、職場の制度上申請すれば可能、という状況でした。申請する時はさすがにドキドキしましたが、この時も快く聞き届けてもらい、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

-2年間のブランクを経て、職場復帰した時はいかがでしたか?

10年近く同じ会社にいたので、仕事の感覚はすぐに戻りました。休職前と同じ部署、同じ仕事に戻ることができましたし、チームの雰囲気もとても良く、何も違和感はありませんでした。育休を取ったデメリットは、職場復帰においては特に感じませんでした。

-では、デメリットに感じたのは、どのようなことでしたか?

やはり経済的には厳しかったです。妻は留学中の身でしたが、職場から派遣されていたため、給与は支給されていました。そのため、何とか生活することはできました。もし住宅ローンの返済などの固定費があった場合、さらに厳しかったかもしれません。ニューヨークは、とても物価の高い街。赤字覚悟で、投資だと思って乗り切りました。
また、海外での子育てだったこともあって、社会との繋がりを失ったと感じていた時期もあり辛かったですね。

-その後転職なさったとのことですが、男性で育休を取得したことは、転職活動においてどのように見られましたか?

直接否定的なことを言われることはありませんでした。ですが、一部の企業においては、マイナス評価をされているのだろうな、と感じる場面はありました。同じ内容のレジュメを提出しても、反応が異なることもありましたので。

今勤めている会社は、非常に柔軟な働き方が許容されています。もちろん成果を挙げることが前提ですが。面接時に「夕食時は子どもと過ごしたいので、18時~21時の時間帯は家にいたい」と思い切って伝えました。

そもそも、転職する気は全くありませんでしたが、今後また妻が海外赴任する機会があった場合、どこに行ったとしても、私自身も働けるようにしておきたい、と考え、海外拠点の多い現在の勤務先に転職するに至りました。

-この5月に第二子がご誕生されたとのこと、おめでとうございます!今回も育休を取られるんですか?

今回は、取得しない予定です。妻いわく、「保育園さえ見つかれば、あなたが育休を取る必要はない」と。また、「まとまって休みを取ってそのあと家にいないよりは、毎日早く帰ってきて、子供達をお風呂に入れ、一緒に寝かしつけをしてくれた方が嬉しい」ようです。2人目が生まれてからの1か月間は妻も体調が万全では無かったので、私がほぼ毎日保育園へ長男を迎えに行っていました。現在は妻の体調も戻りつつあり、保育園への送りは私で迎えは妻という分担になっていますが、できるだけ早く帰宅し子どもたちが寝た後に必要に応じて仕事をするなどしています。

-アメリカで2年、日本で1年子育てをされてきて、どのような違いを感じられますか?

育休などの制度に関して言えば、圧倒的に日本の方が進んでいます。アメリカは、保険制度の関係で出産に伴う入院日数も短いし、休める日数も少ないし、保育料もとても高い。米国滞在期間中、最後の半年だけ現地の保育園に長男を預けましたが、週2回、半日通わせただけで月に15万円くらいしました。フルタイムで預けた場合、いくつか近隣の保育園を見学しましたがいずれも月25万円前後の保育料でした。

それでも、ハイハイしている赤ちゃんがいる中で、先生たちは土足、という環境。ナニーさんにお願いしても、同じくらいの金額がかかります。日本では、月々わずか数万円で、きれいな教室で見てもらうことができる。なんて素晴らしい環境なんだろう!と思いました。

ただ、アメリカの方が子育てに対しては寛容だなと感じます。電車の中で泣こうが騒ごうが、みんなあまり気にしません。タトゥーにスキンヘッド、ボディピアスをじゃらじゃらつけたお兄さんが、いないいないばあ!をしてくれたりもしました。

アメリカ、特にニューヨークは、子育てを第三者に任せることにためらいがない、ということも強く感じました。変わりつつありますが、「全部自分でやらなきゃいけない」という日本の価値観に比べ、アメリカは自分の時間を確保することが第一という印象があります。だから、第三者に子育てを任せることへの抵抗感も少ないのではと感じています。

昼間、子どもと近くの公園に出かけると、ナニーさんと子供、というペアをよく見かけます。そのため、子どもたちは小さいころからダイバーシティに富んだ環境にいます。ナニーさんも色々な国から来ているので、例えばスペイン語も話せるナニーさんであれば、子どもたちは自然と英語とスペイン語をしゃべるようになると聞きました。

せっかくダイバーシティに富んだ環境で子育てをしてきたので、日本に帰国してからも、英語を学べる環境作りや、日本に来ている外国人の友人を家にお招きするなど、できるだけ多様性に触れさせてあげたいと考えています。

-これから育児休業を取得しようかと考えている男性に向けて、何かメッセージはありますか?

大切なのは、「決めること」だと思います。少しでも「取得したい」と思うならば、取得すると決めて、そのために何をしたら良いか考えることが重要です。本人が自分で決めた人生の選択を尊重しない人はあまりいないと思いますので、自信を持って進んでほしいと思います。

また、より重要なのは、取得を迷っている人を迷わせない職場作りだと思います。そのためには、管理職の理解を積極的に発信する事こそが、育児休業を取得する男性の背中を押すことに繋がると感じています。

さいごに

パワフルで優秀な奥様へのリスペクトの気持ち、お子さんたちへの愛情をふんだんに感じるインタビューでした。Bさんご自身も大変優秀な方ですが、夫婦でお互いを尊重し合って、「今のフェーズでは、家族の中での役割はこのバランスが最適」と柔軟に対応していらっしゃる姿が印象的でした。

2年間育休を取られたと聞いた当初は、正直、フェミニスト思考の男性を想像していました。お話を聞いてみて、そうではなく、「家族を大切にする」という軸をぶらさずに、今できることを探っていった結果こうなった、という臨機応変さ、新しい環境に身を置き、新しい価値観を受け入れ、身に着けて発信する、というダイバーシティ思考の成せる業だと感じました。


この記事を書いた人

天田有美 さん
大手人材会社において、法人営業、人事教育、プロモーションを経験。現在はフリーランスとして、キャリアカウンセラー、ライター、チアダンスインストラクターとして活動中。3歳の娘を抱えるワーキングママ。
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