育休というとブランクの期間だと思われがちですが、実はそうではありません。育休中だからこそスキルアップできる能力があるのです。その一つは、コミュニケーション能力です。
育休中にコミュニケーション能力がスキルアップできるのはなぜ?
なぜ育休中はコミュニケーション能力をスキルアップできるのでしょうか?その理由は主に二つあると考えられます。
一つ目の理由は、理屈の通用しない子どもと24時間関わることで、自分の器が広がるからです。
子どもは職場にいる大人のように、効率性を考えて行動しません。赤ちゃんは欲求のままに感情を表現しますし、二人目以上の育休の場合は、上の子が赤ちゃん返りをすることもあります。そんな子どもたちに対して、ママたちは分単位で試行錯誤を繰り返すことになるのです。
職場復帰をすると、子どもとの時間はどうしても減ってしまいます。24時間向き合える育休中だからこそ、鍛えられるものがありますよね。
二つ目の理由として、子どもを通して初対面の人と接する機会が増えるからです。
街中を歩いていると、子連れのママというだけで知らない人から話しかけられる機会が圧倒的に増えます。また、子育て広場などに行けば、初対面のママと話す機会も多くなりますよね。
子育ては大変です。でも、これらの機会を、コミュニケーション能力をアップさせる「チャンス」と捉えることで、ご自身の成長につなげることができるのです。
育休中ならではのコミュニケーション能力アップ方法とは?
コミュニケーション能力といっても、さまざまな能力がありますよね。そのなかでも、育休中だからこそスキルアップできるコミュニケーション能力は「質問力」「話す力」「初対面の人と関係性を構築する力」「情報収集力」です。
では、どうすれば育休中に、これらの能力を鍛えることができるのでしょうか?
詳しくご紹介していきます。
■子育て広場に頻繁に足を運ぶ
子育て広場とは、子どもを遊ばせられる地域の屋内広場のことです。ママ友づくりや育児相談を目的に、地域の親子が集まってくる場所ですよね。ここでスキルアップできるコミュニケーション能力は「初対面の人と関係を構築する力」です。
子育てを分かち合える気の合うママ友に出会えるのはもちろん、年齢もキャリアも、さまざまな女性たちと会話できるのが子育て広場のメリット。仕事を円滑に進めるためには、さまざまな人と上手に関係を築いていく必要がありますが、子育て広場は、そのための練習になるのです。
ときどき「既にグループができていて、行くのを辞めちゃった」という話も聞きますが、それではもったいないなぁと私は思います。
グループになっているママたちは新しい人に興味がないわけではなく、初対面の人に話しかけるのが、ちょっぴり恥ずかしかったり、億劫だったりするだけです。
定期的に足を運んでいれば、子どもをきっかけに自然と会話するチャンスが生まれます。
ぜひめげずに、初対面の人と関係を構築するチャンスを生かしてみてください。
■街中で話しかけられたら話をつなげてみる
子どもがいると、街中で声をかけられる機会が増えます。電車でおばちゃんの隣に座ろうものなら「あら、かわいいわねぇ。何歳?」から会話が始まり、どちらかが降りるまでなんとなく会話が続く、なんてこともよくあります。
実はこれも、子どもがつなげてくれたチャンス。初対面の年配の方から聞かれたことに答える、かつ相手に対する情報量が少ない中で、会話をつなげていくというトレーニングになります。
時には「面倒くさいなぁ」と思うこともあるかもしれませんが、ここで鍛えられる「話す力」「初対面の人と関係を構築する力」は、仕事上での様々な年齢・立場の方とのコミュニケーションで必ず役に立ってきます。
■ご近所ですれ違う人に挨拶をする
この場面で鍛えられる能力は「質問力」「話す力」「情報収集力」です。
育休に入ると、仕事をしていたときとは違う生活時間で暮らすことになります。お散歩や、買い物、上の子の保育園の送り迎えなどで街に出てみると、ご近所さんに出会う機会が多いことに気づくでしょう。
顔は知っているものの話したことがないご近所さんにも、せっかくですから自分から元気に挨拶してみましょう。子どもが生まれるまでは持つこともなかったご近所さんとの接点が、子どもを介して広がるのが実感できるはずです。
自分から挨拶していると、そのうち会話をするような関係になり、地域の情報を教えてもらったり、子育ての相談に乗ってもらえるようになったり、子どもを共に見守る「地域の目」となってもらえたりと、良い影響が出てきます。
また、「人に会ったら、笑顔で挨拶をする」という親の姿は、子どもにとって良い影響を与えることも間違いありませんね。
■情報収集するつもりで人と会話をする
先輩にインタビューするような気持ちで周囲と接すると、意外なところで役立つ情報を手に入れられることがあります。実際に私は小児科の待合室で、初対面のママから、保育園の申請に関する重要な情報を手に入れられたことがあります。
たとえ聞き出した情報が今の自分にとっては有益な情報ではなかったとしても、後々役にたったり、他の誰かの役に立つ場合もあります。どんな話でも自分には関係のないことだと思わずに、情報収集しておきましょう。特に、子育てに関わるサービス(遊び場、病院など)や保育園・幼稚園情報は、口コミが重要なものも多いです。よりよい子育てのためにも、「情報収集力」を高めておきたいですね。
育休中にスキルアップしたコミュニケーション能力は、職場復帰後にどう活きる?
育休中だからこそスキルアップできたコミュニケーション能力は、職場復帰後、主に雑談や情報収集の場面で活かすことができます。
私が2回目の職場復帰をした際に、特に評価していただいたのは「雑談力」でした。雑談というと、仕事に関係ないように思われることもありますが、仕事を円滑に進める上でとても重要ですし、職場の雰囲気の改善にも貢献できます。
私が雑談で同僚のプライベートな話を引き出していると、周囲の人はそれをよく聞いていました。プライベートな話にこそ、その人の人となりが表れます。一見、とっつきにくい人でも、人となりを知ると親しみが沸き、仕事のやり取りもスムーズに行えるようになりますよね。
こういった質問力や会話の深堀力は、仕事を覚える際や、部間調整の際にも役立ちました。
また、育休中に知ることができたママたちの考え方や生活の情報が、仕事や事業のヒントになる場合もあります。
このように、育休中にスキルアップできたコミュニケーション能力は、実は仕事上のさまざまな場面で活かせるものなのです。毎日忙しくあっという間に過ぎてしまう育休ですが、せっかくなら「スキルアップの機会」と捉えて過ごしたいですよね。少し見方を変えるだけで、実はそのチャンスは日常に転がっています。
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