皆さんは、お勤め先から給与をもらう際、社会保険料等が諸々差し引かれていることはご存知かと思います。では、育児休業中に受給できる「育児休業給付金」からも、同じように差し引かれるのでしょうか。
育児休業給付金は、休業前のお給料のおおよそ50%(最初の180日は67%)となりますので、そこから差し引かれるとなると、少々経済的にもインパクトが大きくなり心配になるところですが、実際は、社会保険料「免除」というありがたい制度があります。
今回は、この育児休業中の、社会保険料の免除についてお話ししたいと思います。
育児休業中に支払いが「免除」になるものとは?
国は、多くの方に安心して育児休業(介護休業)を取得してもらえるよう、経済的援助の意味合いで、育児休業中の社会保険料を免除する仕組みを設けています。
免除になる社会保険料は以下のとおりです。
◎健康保険料、厚生年金保険料:
産前産後休業中・育児休業中、支払いが免除されます(会社が申請)。
◎雇用保険料:
産前産後休業中、育児休業中、勤務先から給与が支給されない場合は、負担はありません
(給与が支払われていれば、雇用保険料の負担はあります)。
ちなみに、社会保険料ではありませんが、給与支払いの際に必ず差し引かれる所得税、復興特別所得税も、育児休業給付金からは差し引かれることはありません。給付金は、所得とはみなされない非課税扱いだからです。
もう一つ、必ず給与から差し引かれている税金の一つに住民税があります。この住民税は育児休業給付金を受給しているときも支払う必要があります。なぜなら、住民税は、前年の収入によって決定となった額を、翌年に支払うという仕組みになっているからです。その代わり、次年度の住民税の額の決定を行う際、育児休業給付金の額は収入としては扱われませんので、住民税の金額はかなり抑えることができるはずです。
免除される社会保険料の中には「健康保険料」も含まれていますが、免除を受けている期間でも、お手持ちの「健康保険証」は今まで通り使用することが可能ですのでご安心ください。休業期間中に病気になり通院が必要になった場合でも、健康保険を利用することが可能です。
また、「厚生年金保険料」も免除となりますが、払ったものとして、将来の年金額にはきちんと反映されます。また、上記の休業中にボーナスが支払われた場合でも、同様に社会保険料の控除は免除されます。
社会保険料や厚生年金保険料の控除はインパクトが大きいため、このような経済的な援助が受けられるのは非常にありがたいことですね。
免除される期間は?
先にも少しお伝えしましたが、社会保険料が免除になる期間は、育児休業期間中はもちろん、産前産後休業期間中も同様に免除になります。ただ、育児休業と称して何年も制限なしに免除になるわけではなく、お子様が3歳に達するまでという制限はあります。
◎産前産後休業期間(産前6 週間(多児妊娠の場合14 週間)~産後8 週間)
※妊娠又は出産を理由として休業した期間のみ(上記期間に働いていれば免除にはなりません)
◎育児休業期間(休業開始した日が含まれる月~終了した日の翌日が含まれる月の前月まで)
※育児休業期間中であっても、お子様が3 歳に達するまでという制限があります
手続きは誰がするの?
この社会保険料の免除は、育児休業を取得する私達だけが免除になるのではなく、会社側も負担が免除されるものになります。手続きはすべて、会社側が年金事務所や健康保険組合に申請して手続きを行いますので、私たち休業する者が行わなくてはならない手続きは特にありません。
このような制度は、育児休業中の私たちの経済的な負担を軽くし、少しでも安心して子育てに専念し、職場復帰を促す機会になってくれるのではないかと思います。このような免除の制度もご理解いただき、今後のご家族のライフイベント計画にもお役立ていただければ幸いです。
■関連記事:
「平成29年度版!最新「育児休業法」ともらえる手当を知ろう」
「育児休業手当は誰が、いくらもらえるの?」