転職活動を始めると、気になるのが面接対策ですよね。初めての転職活動であれば、学生時代に就活した以来、という方も多いと思います。社会人経験を積んでも、面接となると緊張してしまうものではないでしょうか。
転職活動の一般的なフローとしては、書類選考のあと、1〜3回ほどの面接を経て内定となります。会社や職種によっては、適性検査や技術テストを挟む場合もあります。採用人数が多い場合は別ですが、新卒の頃と違い、会社説明会がないことがほとんどです。
複数回行われる面接において、それぞれどんな点をチェックされているのか?どんな風に応えればいいのか?転職の成功をサポートするキャリアアドバイザーとして、今回は一次面接のポイントを解説していきたいと思います。
1.一次面接の位置づけ
面接に臨む前に書類選考を経ていることが多いですから、「基本的な能力や経歴には違和感がない」と判断されたケース、と考えて良いと思います。
一次面接は、人事が担当することが多いです。人事が確認している主なポイントは、基本的な人物チェック、コミュニケーション能力です。そのため、良いところを見つけていく加点方式というより、気になる点があればチェックする減点方式が多いように感じます。人事から見て気になる点があると、能力が高くてもマイナスポイントとして申し送りされ、二次面接以降にも影響が出ますので、注意が必要です。
具体的なチェック項目としては、
・マナー違反や非常識な振る舞いがないか
・コミュニケーションがスムーズか
(面接官の質問の意味を的確に捉え、回答できているか)
・説明に過不足がないか
といったことが挙げられます。
面接に連絡なく遅刻する、挨拶や言葉遣いがなってない、清潔感に欠ける、といった社会人として最低限のマナーが守れていないと、その時点でお見送りとなる可能性が高いです。
ブランクを挟んで再就職を目指している方(専業主婦など)とお話している場合、たまに「その話し方は、ビジネスの現場ではどうだろう・・・」と感じることがあります。応募者の方は最初は気を張っているので、あまり気にならないのですが、少し時間が経って緊張がほぐれた頃に、ポロッと出てくるケースが多いです。実際に、「〇〇でぇ~」と語尾を伸ばす話し方だったり、相手がまだ話している途中なのに「そうなんです、それで」と遮って話し出してしまったり、という話し方が気になったことがあります。
ブランクがある場合は、ビジネスコミュニケーションの温度感を思い出しておくことをオススメします。
次に挙げた『コミュニケーションのスムーズさ』とは、面接官が言わんとすることを汲み取り、相手が知りたいと思っている情報を的確に出せるかどうか、です。ここがスムーズに進むと、お互いストレスなく会話できることから、「コミュニケーション能力が高い」といった評価に繋がります。
1言えば10まで察して返ってくる、論理性が高い、事象を捉えるにあたり抽象化も具体化もでき、周囲に伝えられる、というレベルになれば、「地頭が良い」という評価を受けることができます。ここで言う抽象化・具体化とは、問題となっている事象から課題を導き出し、仮説を立てて検証し、具体的な解決策を模索していくプロセス、と言えばわかりやすいでしょうか。
質問の意図がわからない場合、素直に聞き返せるかもポイントだと思います。面接官だって、慣れている人ばかりではありません。うまく質問できなかったり、思うように伝えられないこともあります。また面接官も応募者も、お互い初対面の相手であり、言葉の選び方や言い回しの癖を知りませんから、「その質問はどういう意味だろう?」と疑問を持つこともあるでしょう。何を問われているのか曖昧なままなんとなく答えるよりは、「ご質問の内容は、○○ということで合ってますか?」と確認した方が、コミュニケーションロスが少ないですし、「こちらの意図をきちんと汲み取ろうとしてくれているな」と感じてもらえることと思います。
「説明に過不足がないか」という点については、これまでの職務経歴について説明を求められた時に表出しやすいと思います。説明があまりにもダラダラと長いと、わかりづらい印象を与えてしまいます。逆に、あまりに短くあっさり終わってしまうと、「もう少しちゃんと説明してほしい」と思われてしまいます。社会人経験の長さにもよりますが、だいたい2〜3分で収まるように話せると良いかと思います。
その説明を聞いて、職務経歴書と照らし合わせながら、面接官は気になったポイントを質問していきます。そのため、最初から情報をフルに伝える必要はありません。その後の会話に繋がる要素をしっかり含んでいればOKです。
これまでの職務経歴の説明は、具体的には、
・入社、退社のタイミングと在籍期間
・転職経験の有無、ある場合はその理由
・異動歴
・経験した職種、ポジションと期間
・マネジメント経験の有無
といったことを押さえながら、時系列に沿って話せるようにしておきましょう。
エンジニアなどの専門性が高い職種の場合は、あまり専門的な話をしすぎても、人事相手では通じない可能性があります。専門知識のない人相手でもわかるように、わかりやすく噛み砕いて話せるようにしておきましょう。
2.人事を味方にしよう
二次面接以降は、配属予定部門の先輩や上長、役員などが担当することが多いです。面接の目的は、任せたい仕事内容へのマッチング度や、社風や既存社員との相性を確認することです。
一次面接を担当した人事は、合格・不合格を判断すると同時に、「特にいいな」という人がいれば、二次面接以降を担当する面接官に強く推薦します。面接官にしてみても、能力が同じくらいの人が2人いて、1人を選ぶだけとしたとしたら、人事からの推しが強い方を合格させるでしょう。
また、良い人材は他社からの引き合いも強いので、人事は「早めに内定まで持っていきたい」と思っており、スピーディーに選考ステップが進んでいきます。そうなれば、転職活動を短期で終わらせることもできますし、1社内定があることで、気持ちに余裕を持って他社に向き合える、という副次的なメリットもあります。
一方、人事の立場に立ってみると、「人物としては良いので、現場でも高い評価が得られるといいな」「最終面接まで持ち込んだからには、何とか入社まで決めたい」と思っています。これまでの選考過程を通じて、応募者に対する愛着も沸いていますし、忙しい現場の責任者や経営陣から「何でこんな人を連れて来たの?」と思われてしまっては、人事としての評価も下がってしまいます。
このように、人事を味方にできるかどうかは、転職活動成功の大きなカギになります。もし専門的なスキルや経験が多少足りなくても、「この先伸びしろがある」と思わせられたら勝ちです。
しっかりと的確なコミュニケーションが取れる、頭の回転が速い、素直で勉強熱心、仕事や会社に対して前向きな姿勢である、といったことが感じられれば、人事は味方につけやすいです。こうしたポイントに留意して、ご自身の良さをアピールしていってください。
3.自分の強みをクリアにし、応募先企業でどう生かせるかを話せるようになろう
一次面接の位置づけや人事の心理がわかったところで、「では自分のどこをどうアピールしていったらいいだろう」という段階に入ります。
まずは、具体的なスキルや経験、成果を整理しておくことが、とても大切です。例えば、「10年広報をやってきたので、対社内・社外ともに広報については一通りの経験があります。部下3人を持ち、マネジメント経験も3年あります。社名変更に伴うこれまでのイメージからの脱却を狙ったプロジェクトでは、一般消費者向けの意識調査において、80%を超える人に“イメージが変わった”という回答をもらうことができました」といった切り口です。
次に、忘れずに整理してもらいたいポイントが「仕事に向き合う姿勢」です。自分にとって、働くとはどういうことか。仕事をするに当たり、大事にしてきた哲学は何か。仲間や上司とどのように付き合い、協業してきたのか。上記のようないわゆるスキル・経験とは異なり、指向性や志望動機と近しい性質のものです。こうした要素も、あなたの強みになり得るのです。
「私はこれまで、〇〇ということを大切に仕事に励んで参りました。具体的には、~~の中で~~という関わりをしてまいりました。御社では、△△という理念が現場にも浸透していると伺っています。私自身が大切にしてきたことと重なる理念であり、とても共感しております。これまでの経験や大切にしてきた哲学を活かし、御社で□□という面で貢献できたらと考えております」というように、スタンスや指向性の面でもアピールできるようにしておきましょう。
いかがでしたでしょうか。
面接は、本来相互コミュニケーションの場です。企業側が質問し、応募者側が一方的に答える、という構図になりがちですが、応募者の皆さんが企業を見極める場でもあるのです。お互いにきちんと見極められるように、
・マイナスな印象を与えないよう、マナーを守る
・人事とスムーズに会話できるよう、自分自身をよく知り、説明できるようにしておく
・一人の人間として、真摯に、素直に面接官と向き合う
ことが必要だと言えそうです。
次回は、二次面接以降の面接について、解説していきたいと思います。