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自分らしいキャリアに踏み出した
女性100人の軌跡
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自分らしい生き方・働き方・子育てスタイルを、より選択できる社会へ

昨年10月に会社を設立し、子どものお手伝い力を育む「食育×共育」をサポートするエスキッチンを立ち上げた城さん。自分が心地良い環境をつくる中で見つけた次のチャレンジ。立ち上げの背景を伺いました。

活発で好奇心旺盛。常に楽しいことを探していた10代

共働きの両親、祖父母家族と、三世代の家庭で育ちました。

幼少期の私は、ストレートに言うと「多動」。とにかく、よく動き回っている子でした。じっと家にいることが好きではなく、緑が多い環境で育ったこともあり、遊び場もたくさんあったので、友だちと秘密基地を作ったり、探検したり、学校から自宅にランドセルを置きに帰るとすぐに外に出ていました。

クラスの9割が中学受験をする地区でしたが、受験のため遊ぶ友達が少なくなる中でも、ひたすら遊ぶ人や場所を求めて、常に外に出ていましたね。

地元の公立中学へ進み、3年間テニス部に打ち込みました。夏はいつも真っ黒になり、ボールを追いかけました。上下関係が厳しく、公立中学という環境だったので、初めて多種多様な人と関わりました。

高校は、自由な校風の都立高校に進学しました。私服で校則もなく、とにかく「自由」であることを重んじる学校だったので、ここでも伸び伸び、好きなバンドのコピーをしていたり、繁華街に放課後遊びに行ったりしていました。勉強した思い出より、友だちと楽しく過ごした記憶の方が多くあります。

所謂勉強を厳しく管理されるような環境でもなかったため、日々の過ごし方も、進学も「自分の意思を持つ」というスタイルが定着してきました。

進路を考える時期になり、自然ともっと広い世界を見たくなり、大学生の自由な生活にも憧れ、大学に進学しました。

やりたいことはすべてやりつくした20代

大学では高校時代より、さらに自由を手に入れられると思っていました。しかし、入った女子大が、高校よりも授業出席に関して厳しく、最初は戸惑いました。

選んだ学部は「日本文学科」。滑り止めで受けた大学だったので、一番倍率が低そうな学部を安易に選んだのですが、そこがまさかの進学先になりました(笑)。当然、授業には全く興味が持てず、出席も厳しいし、これは4年間かなりキツイと思うようになりました。

そこで、大学の授業以外に楽しみを見つけようと気持ちを切り替えて、塾講師のアルバイトや、海外旅行に勤しむようになりました。

特に海外旅行は、大学時代に14ヶ国行きました。見たいと思った世界を、自分で貯めたアルバイトのお金で、自由自在に見に行ける楽しさは本当に貴重でした。とにかく好奇心旺盛な性格が益々加速していきました。

あっという間に就職活動の時期になりました。金融業界の一般事務職に就職する学生が圧倒的に多い女子大でしたが、私には一般事務職は合わないと途中で気づきました。女性でも男性と同じように活躍できる仕事を探し、色々な企業を見ていく中で、人材業界に出会い、入社をしました。

常に外に出て、色々な人に会い、色々な世界が見られる、人材業界の営業はとても合っていました。頑張ったら頑張った分成果が出る「営業」という仕事も、学ぶことが多くありました。

入社3年後に結婚。仕事を辞め、夫の海外赴任に伴いオーストラリアへ行くことになりました。新たな世界への興味の方が強く、あまり先のことも考えず、新卒で育てていただいた会社を辞めてついていきました。

葛藤を経て、理想の生き方に出会ったオーストラリア生活

人生初めての海外生活は、葛藤がたくさんありましたね。

最初、現地の語学学校に行ったのですが、そこにいるのは、大学に進学するために語学学校を経由する、10代の子が中心でした。色々な国籍の方とも触れ合う機会にはなりましたが、勉強のモチベーションも、会話もなかなか合わず、自分の居場所を見つけられず、自分に苦しさを感じ、葛藤する日々が続きました。

同じ立場の人と知り合いになれず、ご飯を作って夫を待つしかない。仕事を辞めた自分は、ここでは何者でもなく、「〇〇さんの奥さん」でしかない。そんな自分がすごく苦しい。SNSを見ると同期が活躍していて、20代で働き盛りで成長できるチャンスがあるのに、私は何をしているんだろうと。頑張っているものがない自分に苦しくなり、日本にいる人がすごく羨ましく思えて、日本に帰りたいと泣いた日もありました。そこで、私は自分の世界、自分の仕事を持っていないと苦しくなる人間なんだということに気づいたんです。

一方で、オーストラリア人の生き方、家族を大切にするワークライフスタイルには、とても刺激を受けました。

オーストラリアは日本と違って、週5日フルタイムで働くというのが普通ではありません。パートタイマーも多く、普通に重要な会議に出席しており、上手くワークシェアをしながら仕事をしています。家族が第一優先で、夕方5時には誰もオフィスからいなくなる。週末は緑の中でバーベキューをする。男性が育児をするのも当たり前。そんな、家族を大事にする姿を見て、日本での働き方のいびつさを感じ、本当に豊かで幸せに生きることの意味など、私自身、働き方・生き方にとても大きな価値観の変化が起こりました。

そんな経験から、「やっぱり、仕事を持って、自分が大切にしたいものを大切にして、生きていきたい」という強い想いを再確認し、日本に帰国しました。

フリーランスから、出産を経て次のチャレンジへ

日本帰国後に直面したのが、働き方に0か100の選択肢しかない、という現実でした。

元々、フリーランスとして独立しようと考えていたわけではありません。何か仕事をしようと就職活動をしてみると、給与をきちんともらうためには長時間で成果を出していく仕事、長時間労働をしないためには時給制の仕事、この2択しかないという現実がありました。

そこでまた、葛藤が始まりました。この頃、仕事を辞めて1年過ぎていたので、貯金も相当底をついてきていましたし、うまく社会に出られない自分の状況に、悩む日々でもありました。

そうやって何もなくなってみると、「自分ができること」「やってみたいこと」「大切にしたいこと」は何か、という問いに行きつきました。

自分にできること、これからやっていきたいこと、理想的な生き方、働き方を整理していった結果、やっぱり人のキャリアに関わる支援が自分の原点であると思い至りました。人材会社で働いていた際、色々な理由で会社を辞めていく転職者を見てきた経験から、フリーランスのキャリアカウンセラーとして、学生支援から仕事を始めました。

これは色々な人との出会いや、きっかけがあってできたことで、決して自分一人でできたわけではありません。どんな小さな仕事でも、声をかけていただいたら、どんな人にでも会いにいってやらせていただきました。そうやって、仕事とご縁が少しずつ増えていき、お客様に恵まれ、エスキャリアという組織・仲間に恵まれ、様々な経験を積むことができました。

そして、フリーランスとして仕事を始めて3年目。30歳で妊娠、出産を経験しました。

初めての子育てで180度生活が変わりました。自分で、働き方や時間、報酬を選べるフリーランスは、子育て中にはとても柔軟でいいと思える反面、以前のように現場に出て働くことが難しいという現実に、消化不良感を覚えるようになりました。同時に、自分のフリーランスとしての限界も感じていました。

子育ても3年経ち、フリーランスとしても6年目が終わる節目を迎えた頃、また「自分ができること」「やってみたいこと」「大切にしたいこと」という原点に立ち返ることになりました。これはオーストラリア生活に続く転機でしたね。

忙しいワーキングママの負担を少しでも減らしたい。私自身が子育てしていて一番課題に感じた、毎日の料理、子どもの食育について、子育て世代の人が楽になれるサービスを作りたい。そんな想いで、自身の仕事と子育ての両立の経験から、株式会社エスキャリア・ライフエージェンシーを設立し、「食育×共育」サービスES(エス)キッチンを立ち上げました。

ライフ支援事業を次世代に繋ぐ

エスキャリア・ライフエージェンシーは、まだまだスタートしたばかりです。フリーランスと会社を経営するということは、ここまで違うのかというほど、日々色々な壁があり、自分の未熟さと向き合う日々です(笑)。

キャリアに関わる仕事をしてきて、一貫して私がやってきたことは、目の前の方の、自分らしい生き方、働き方を応援することです。そこに、自身の出産経験を経て、「自分らしい子育て」も加わりました。

これからも、一人一人の自分らしさを応援することは、エスキャリアの理念と同じく変わることはないと思います。目の前の人はもちろんですが、もっと社会全体に対して「社会に必要とされること」「次世代に繋ぐ」ことで貢献していきたいという想いが強くあります。

自分の子どもも含め、次世代を担う子どもたちが社会に出る時に、自分らしく働くことや、子どもを産み育てることが安心してできる社会になっていく。そんな支援をこれからも、エスキャリアと共に描いていきたいと思っています。


城 梨沙 さん
30代前半 / 株式会社エスキャリア・ライフエージェンシー 代表取締役

大学卒業後、大手人材紹介会社に入社。 法人営業として、求人開拓営業を経験。。2010年よりフリーのキャリアカウンセラー・講師として独立。2011年、株式会社エスキャリア設立時に執行役員に就任。2016年10月、女性がイキイキ生きるためのライフ支援を行う、株式会社エスキャリア・ライフエージェンシーを設立。

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