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自分らしいキャリアに踏み出した
女性100人の軌跡
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「キャリア」×「子育て」をテーマに、お母さんの「働く」「生きる」を支援し続けたい。

大学卒業後、教育・保育サービスの会社で営業としてキャリアを積まれた後、人材紹介会社を経てキャリアコンサルタントとして独立された二本柳さん。働く上で大切にしているテーマとは。お話を伺いました。

語学を学ぶことが楽しかった学生時代

二人姉妹の長女として東京都で生まれました。活発で明るく、友達の輪の中心になってリーダーシップをとることが多く、いわゆる「ガキ大将」みたいな感じでしたね。

勉強はほどほどに、よく遊んで、のびのびとすごしていました。動物が好きで、種類を覚えてはテレビで出てくる動物の名前を言い当てていました。両親が褒めてくれるのが嬉しかったですね。将来は獣医になりたいと思っていました。

中学3年生からは本格的に受験勉強を始めました。塾での勉強がとても楽しく、成績が順調に伸びていきました。学区で1番の進学校にも手が届くまでになり、その高校に進学することを目標に一層勉強をがんばりました。特に英語が得意で、構文などの仕組みを理解すること、辞書を引いて英文読解をすることが面白く、通訳に憧れるようになりました。

念願の志望校へ進学。高校生活はとても楽しかったです。生徒の意思を尊重してくれる自由な校風で、行事もさかんでした。文化祭の実行委員会に入り、演劇コンクールを取り仕切りました。地域で行われている英語の同時通訳トレーニングサークルにも最年少で入れてもらい、活動しました。

大学は外国語学部に行きたいと考えていました。英語も好きでしたが、言語の仕組みや構造を調べることも好きでした。アジア圏の言語を勉強したくて、授業で第二外国語として選択していた中国語学科を第一志望に勉強に励みました。しかし学力が及ばず、浪人する選択肢もありませんでした。自分の実力で入れそうな範囲内で、インド哲学にも興味があったため、ヒンディー語学科を受験、無事合格することができました。

進学後は勉強がとても忙しかったです。1、2年生のときはヒンディー語で書かれたインドの昔話をひたすら訳す授業でした。予習しないと授業についていけないので、大学までの片道2時間の電車通学中、辞書を片手に予復習をしました。内容は難しかったですが、単語一つひとつの意味を理解することで、文章を解読していくのがとても楽しかったです。

働くお母さんのために、保育園をつくりたい

一般教養の授業ではジェンダー論や女性学に興味を持ちました。ちょうど「女性が働く」ということがクローズアップされていたことが大きかったですね。授業を通して、まだまだ女性差別が根強くあることや、女性が社会に出て働き続けることの大変さを知りました。女性学の授業では、子育てを母親が一手に引き受ける現状があることも学びました。

子育てしながら仕事を続ける母を見て育った影響もあって、私も母のようになりたいと思っていました。「私にできることはなんだろう?」と考えた時に、女性が好きな仕事に思う存分没頭できるように、子どもを預かる仕事をしたい!と思い立ちました。いずれは自分で会社を立ち上げて保育園をつくりたいと思い、そのためにまずノウハウを学ぼうと、保育サービスや託児サービスを展開している会社を中心に就職活動を行いました。

内定先の2社のうち、教育サービスの会社に個人営業として就職することを決めました。資格取得に向けて勉強するママ受講生のために託児サービスを社内で始めると聞き、携わりたいと思ったことがきっかけでした。

入社後は、保育者になりたい人たちのための養成講座の担当になりました。お客様の将来やりたいことやキャリアに関する悩みを聞いて、資格取得を勧めたり、資格取得に向けて一緒に学習スケジュールを組んだり、夢に向かって一生懸命な人を支援できることにとてもやりがいを感じていました。一方で、1番やりたかったことは託児所の立ち上げに携わることだったので、早くその部署にいきたいとも思っていました。

入社2年半くらいで希望部署に異動することができました。しかしゼロからの立ち上げで、法律や託児所の設置基準などもわからず、何が正解かわからないまま進んでいることに歯がゆさを感じました。さらに、大阪本社でも同じプロジェクトが進行していたようで、そちらがメインでやることになり、1年も経たずにチームが解散になってしまいました。

その後、新規事業の1つだった介護の部署に異動になり、介護施設の営業をすることになりました。保育園をつくりたいという思いは変わらず、保育サービス専門の会社で知識やスキルを身につけたいと思い、異動して3か月ほどで転職を決めました。

育休中に感じた孤独と不安

その後、保育サービスの会社に転職し、念願だった保育園の企画・立ち上げに携われることになりました。自治体に行って入札情報を確認し、企画書をまとめて提案したり、許可が下りたら企画書に沿って保育園を設立したりと、ゼロからつくりあげていくことにやりがいを感じて、とても楽しかったです。

入社4年目で結婚、妊娠しました。仕事が面白くなってきた頃で、キャリアが途絶えることにも不安を感じ、正直戸惑いましたね。しかし、出産や子育て経験もキャリアの1つになると自分に言い聞かせて、約半年間の産育休に入りました。

出産後は、慣れない育児と仕事から離れたことへの不安感で鬱々とした日々を過ごしていました。社会から断絶された孤独感もありました。

子どもを連れて児童館に行ったり、保健センターの育児サークルに参加したりしましたが、話題は常に子どものことが中心でした。もっと仕事の話がしたい、自分のキャリアについて考えたい、早く仕事に戻りたい、そんなことばかりを考えていました。

私は、仕事も子育ても両方がんばって、やっとバランスが取れるんだと痛感しました。育児中であっても、自分自身のことについて話ができる相手が必要なママが他にもいるんじゃないか、そういう職業はないだろうかと調べ、キャリアコンサルタントという仕事に興味を持つようになりました。

育休後は、フルタイムで復帰しました。時短勤務制度もありましたが、子どもを産んだから戦力外と思われるのは悔しかったんです。残業はできなくても、限られた時間で成果を出そうと必死で仕事をしました。しかし、定時後の会議が多い職場で、会議に出られないことが申し訳なく、また「出なくてもいいよ」と言われて疎外感を感じることもありました。

フルタイム勤務をしながら、育休中から興味のあったキャリアコンサルタントの資格取得に向けて勉強し、2人目を妊娠中に資格を取得しました。

第二子出産後も半年間の育休を経て復帰しました。復帰後も新しいプロジェクトを任せてもらえるなど、やりがいはありました。しかし、働くお母さんたちのために保育園をつくりたいと思っていても、私が向き合っているのは保育園を開設するための不動産物件や、遊具・インテリアなどの「もの」。間接的には「お母さんたちのはたらくを応援する」ことができていましたが、キャリアコンサルタントの資格を取得したことで、「人」に向き合える仕事がしたいという思いがより強くなりました。

35歳を目前に、転職するなら最後のチャンスかもしれないと思い、退職を決めました。

人に寄り添うカウンセリングがしたい

人材紹介会社にキャリアアドバイザーとして転職しました。ママのキャリアアドバイザーを増やすという会社の方針で、周りにはワーキングママがたくさんいました。しかし彼女たちは新卒で入社し、ママになって復帰、バリバリ仕事もできて、社内のこともわかっている人たち。一方、初めて人材業界へ転職して、会社のこともわからない私は、なかなかなじむことができませんでした。

仕事面でも、メンタル不調など様々な事情を抱えている求職者が相談に来る中で、優秀で輝かしい経歴を持っている方が優先される現状にもやもやしていました。仕事として成果を出さなければいけない反面、困っている人を支援したいという思いが強く、それが叶えられないことに疑問を感じ、入社して9か月で辞めました。

その後、前々職の先輩の紹介で、新卒応援ハローワークに転職しました。面談、求人紹介、面接対策など学生の就職支援をしたり、大学に出向いて就職相談をしたりしていました。今までずっと営業をやってきて、人前で話すことが好きだったので、念願だったセミナー講師も挑戦させてもらえて、カウンセリングと講師、両方の仕事にやりがいを感じました。

大学でのカウンセリングではOBの方とご一緒する機会があり、その方に「ただ聞くだけでなにも解決していない」と指摘されたこともありました。しかし、たくさんの学生さんが私に相談したいと来てくれていました。学生さんが求めていることや状況を見極め、心に寄り添って共感することで、自信のない学生さんが自信を持って帰れるようになる。とても大事なことだな、と自分のカウンセリングスタイルに自信を持てるようになりました。

大学に勤務して1年ほど経った頃、キャリアコンサルタントの師匠として尊敬する方から「一緒にやらないか」と誘われて、独立を決めました。もともとずっと会社員で働き続けることは考えていませんでしたし、自分の力でどこまでいけるかやってみたいと思いました。

独立後は大学のキャリアセンターと契約して学生のキャリア支援をしたり、研修会社に登録してセミナー講師をしたりしました。さらに、新卒で入社した会社の先輩から声をかけていただいて、その会社のキャリアコンサルタント養成講座の講師をすることになりました。

同じく集まった講師の中にいたキャリアカウンセラーの河野さんから、女性のキャリアに興味があるならどう?とエスキャリアでの勉強会に誘っていただき、参加しました。

そこで、エスキャリアの「女性のキャリア支援」「自分らしいキャリア」という理念に共感してパートナー登録をさせていただき、企業での研修講師のお仕事をご紹介いただきました。

お母さんの「働く」を応援したい

現在も大学での学生の就職相談や、自治体開催の女性の復職支援、企業での研修講師、大学や企業などでキャリアコンサルタントや保育士、教育者を目指す方への指導などを行っています。

今後は企業研修の仕事を少しずつ増やしていきたいと思っています。今は新人向けのビジネスマナー研修の講師が多いですが、いずれは企業でキャリア開発研修などもできたらいいと思います。

キャリアコンサルタントや保育士、教師を志す人への支援では、皆さんがとても真剣に課題に取り組む姿をみて、刺激をもらっています。人を支援したい、という価値観が近いこともあり、とてもやりがいがあり、これからも続けていきたいですね。

最近はコラムの執筆も始めました。書くよりも話す方が得意で好きですが、自分の仕事を文字として残しておきたいと思い、挑戦してみることにしました。

今後も、私の仕事のテーマは「キャリア」×「子育て」です。最近は虐待などの悲しい事件も多く、胸が痛みます。キャリアコンサルタントとしてできることは限られているかもしれないですが、お母さんたちの「働く」や「生きる」を応援することで、お母さんたちが元気になり、その子どもたちが心身ともに健康に育つことにつながると信じて、この仕事を続けていきたいと思っています。


二本柳 聡美 さん
40代前半 / キャリアコンサルタント

大学卒業後、営業として教育・保育サービス会社に約13年勤務。在職中にキャリアコンサルタントの資格を取得。退職後は大手人材紹介会社やハローワークでの就転職支援を経て、2014年に独立。キャリアコンサルタントとして、首都圏の自治体や大学などで、キャリアカウンセリング及び応募書類作成や面接の指導、入社後のフォロー等、主に女性のキャリア支援及び大学生の就職支援に携わる。

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