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自分らしいキャリアに踏み出した
女性100人の軌跡
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ケアワークが必要な人たちが働きやすい環境を、組織の中から整えていきたい。

大学院をご卒業後、大手メーカーに就職され、国際渉外部でキャリアを積まれたのち、社内カンパニーの戦略企画室に異動された松本さん。ママになって感じたことや、これからのキャリアについてお話を伺いました。

広い世界を見てみたい

長崎県の小さな町で生まれました。外で遊ぶよりも、家の中で本を読む方が好きでした。地元の小学校に進学してからも、周りに話の合う友人がいなくて、相変わらず本ばかり読んでいましたね。読書家の母はたくさん本を持っていたので、母の読む本もよく読んでいました。

習い事として、ピアノ、バレエ、そろばんをやっていました。都会への憧れが強く、海外にも興味があり、英語が話せるようになりたいとも思いました。小学校4年生の時に近所に英語教室ができ、自ら希望して通わせてもらいました。英語の勉強はとても楽しかったですね。通訳、外交官に憧れるようになりました。

高校に英語科のある中高一貫の女子校に進学しました。生徒会役員に推薦されて、書記として活動しました。リーダシップを取るのは得意な方だったので、とても楽しかったです。中学から英語教育に力を入れている学校だったので、英語の授業が多く、英語がより好きになりました。

高校は英語科に行き、留学したいと思っていました。留学は特待生として入学することが両親からの条件だったので、勉強を頑張り、特待生として英語科に進学することができました。

自分で道を切り開いていくことの大切さを学ぶ

高校入学後、留学するための準備をはじめました。自分で留学団体を探して、面接や試験を受けに行きました。とてもワクワクしていましたね。高校2年生で、イギリスの現地の高校へ留学し、同学年のクラスに配属されました。

英語はできる方だと思っていましたが、現地では全く通じなくて愕然としました。相手が何を言っているか全然わからず、宿題が出たかどうかもわからない。日本では苦手だった数学がいちばん得意になったくらいです。

また、滞在先のホストファミリーともコミュニケーションがうまく取れず、受験生を抱えるホストファミリーのストレスになってしまい、関係がギクシャク、辛い日々が続きました。

このままでは授業内容どころか、語学の勉強にもならないかもしれないと思い、下の学年の授業を受けさせてほしいとお願いして、中学3年生の授業を受けさせてもらうようにしてもらいました。また、留学団体にも相談に行き、ホストファミリーを変更してもらいました。

授業内容のレベルを下げたことで、英語の理解度がより深まったのを感じました。また、新しいホストファミリーとも良好な関係を築くことができました。自分から動いたら変わるんだ、と実感でき、自分で交渉することの大切さに気づきました。

留学して半年ほどで、英語で夢を見るようになっていましたね。貴重な海外生活を楽しみたくて1人でロンドンの美術館や博物館に頻繁に通いました。歴史や政治を現地で学んだことで、外交官やジャーナリストになりたい思いが強くなりました。

大学は国立大学の法学部に進学し、政治史、外交史を専攻するゼミに入りました。教官や仲間に恵まれ、毎日がとても楽しかったです。学内向けの情報誌のサークルにも入り、ライター、編集もしていました。

大学での専攻をもっと深めたくて大学院に進み、東西ドイツ統一過程をテーマに研究しました。ゼミの指導教官がとてもいい先生で、調査の仕方や論文の書き方などテクニカルなこともみっちり叩き込んでくれました。

サークル活動やゼミを通して、調べたり、書いたりすることがより好きになり、研究してきたことを社会のために役に立てたくて、ジャーナリストになりたいと思うようになりました。

やりがいのある仕事との出会い

ジャーナリストになるか、社会貢献活動ができるところで働きたいと思い、マスコミと独立行政法人を中心に就職活動をしました。さらに、社会貢献を理念に掲げているところに親和性を感じて、大手メーカーも受けました。

念願だったマスコミと大手メーカーの2社から内定をもらうことができました。マスコミはとても惹かれましたが、女性は危険な地域に行くことは難しく、政治部は難しいかもしれないという現実がありました。

一方大手メーカーでは、人事担当者から、「女性だからと業務に制限はないですし、長く働けますよ」と言われて。ずっと働き続けたいと思っていたので、その言葉に惹かれて就職することを決めました。

入社後は渉外本部に配属され、官公庁の窓口をしたり、本部全体の企画をしたりしていました。学生時代からの国際的な社会貢献ができるような仕事がしたいという気持ちは変わらず、異動希望を出し、半年後に国際渉外部に異動させてもらうことができました。

国際機関と協力して、無電化地域にソーラーランタンという製品を広めるためのプロジェクトを担当しました。初めての海外出張でガーナに行くことになり、かなり緊張しましたね。実際に行ってみると、日本とは全く違う生活を目の当たりにし、彼らの生活向上のために自社の製品を使って貢献したい、と心から思いました。

実際、国際NGOと協力し、あまり多くはないですが製品を導入することができました。さらに、ソーラーランタンを使用して、コミュニティで母子保健の教育セッションを開催することもできました。自分でフィールドサーベイを計画するなど、裁量をもって仕事をする楽しさを実感しました。やりがいも感じ、社会貢献に携わる仕事により関心を深めました。

プライベートでは、入社3年目で結婚しました。結婚後も仕事は楽しく充実していましたが、別の仕事にチャレンジしたい、と思い始めました。何かやりたいことがあったわけではないですが、新しい仕事で自分の可能性をもっと知りたいという思いが日に日に強くなっていきました。そんな時、妊娠が判明。異動できないまま産育休に入りました。

中長期的なキャリアプランをちゃんと考えたい

産後は、毎日家で赤ちゃんとだけ向き合う日々に孤独を感じていました。児童館に行くなど、他のママとの交流を試みましたが、なかなか話の合う人とは出会えず、悶々とした日々を過ごしていました。

夜中に赤ちゃんのお世話をしている時、ふとSNSを覗くと、同じように頑張っているママがいることがわかって、辛いのは私だけじゃないんだ、と勇気付けられることが何度もありました。SNSがきっかけで知り合ったワーキングママと仲良くなり、ランチ会などもするようになりました。彼女たちのおかげで育休を楽しむことができ、ママ友の枠を越えて普通の友人として仲良くなれたことがとても嬉しかったですね。

1年の育休が終わり、2016年の4月に産前と同じ部署にフルタイムで復帰しました。在宅勤務やフレックス制度を利用でき、とても恵まれた環境でした。それでも、お迎えに間に合うように定時帰社は絶対だったので、仕事に優先順位をつけたり、業務の効率化を以前より考え、毎日忙しい日々が続きました。

異動したい気持ちは変わらず、復帰して1年半ほど経った頃、BtoB事業を行う社内カンパニーの戦略企画室の部署で公募を見つけました。大阪本社にあった社内カンパニーが東京に移転、代表も代わり、働き方に関してとても先進的な取り組みをしているカンパニーだったので、ワーキングママであることが経験として活かせるのではと思い、応募。ご縁をいただき、異動が叶いました。

さらに、育休中に孤独を感じていた経験から、悩みや経験を共有することができたらと、社内で有志のワーキングペアレンツの会に入りました。ミーティングやランチ会など、ワーキングペアレンツ同士の情報交換の場を設けるなどの活動をしています。育児のこと、仕事のこと色々な学びを得ることができ、異動してからも充実した生活を送っていました。

異動してしばらくし、上司と、自分の中長期的なキャリアプランを話す面談が設けられることになりました。しかし、日々の仕事や家事育児に追われ、キャリアプランを考える時間も余裕もありませんでした。

そんな時、有志の会のメンバーがエスキャリアのキャリアカウンセリングのサービスを教えてくれました。以前からキャリアカウンセリングに興味があったので、この機会にプロと一緒にキャリアプランを考えてみたいと思い、申し込みました。

実際にカウンセリングを受けてみて、モヤモヤしていた気持ちを言語化してもらえ、クリアになりました。また、キャリアプランの考え方など新たな視点を教えてもらえたことも、とても勉強になりました。自分の認識していなかった強みも発見することができ、キャリアカウンセリングを受けて本当によかったと思いました。

ケアワークが必要な人たちがより働きやすい職場に

現在も、社内カンパニーの社外発信担当として決算、株主総会等のIR業務、社長の社外プレゼンサポート等の業務を担当しています。しばらくはこの仕事を続けていきたいと思っていますが、人事や広報の仕事にも興味が湧いてきています。

育児や介護など、誰かのケアをするタスクのある人は今後もっと増えてくると思うので、人事職ができるのなら、ワーキングママの経験を生かして、その人たちに向けて、もっと働きやすい環境をつくる手助けがしたいです。

もし広報の仕事ができるなら、会社の魅力的な制度、その制度を使いながら活躍している社員の存在を社会に発信することで、日本社会全体の働き方にいい影響を与えられたらいいなと思います。

キャリアカウンセリングを受けたことをきっかけに、キャリアカウンセラーの資格にとても興味が沸きました。いずれ自分が上司になった時に、部下に対してキャリアカウンセリングのようなことをしてあげられたらいいなと思ったんです。機会があれば、資格にチャレンジしてみたいですね。

今の会社では、産休復帰直後は研修などがありますが、復帰したらあとは特にありません。私自身の経験として、復帰した直後よりも、復帰して1年くらい経ってからの方が、このままでいいのかな、とモヤモヤしたり、今後のキャリアを考える余裕がなかったりしたので、そのタイミングでも研修や気軽にカウンセリングが受けられる制度があればいいのになと思います。

私自身も、今後キャリアに関してモヤモヤしたり、悩んだりすることがあれば、ぜひまたカウンセリングを受けたいと思います。私の周りを見ると、カウンセリングは若い人たちにとって身近になりつつあると感じているので、キャリアカウンセリングというものがもっと多くの人にとって身近なものになればいいなと思います。


松本 舞 さん
30代前半 / 会社員

大学院卒業後、大手メーカーに就職。国際渉外部門にて途上国の生活向上のために自社製品を導入するプロジェクトに約7年従事。第一子を出産、育休から復帰後、社内公募により社内カンパニーの戦略企画室に異動。決算、株主総会等のIR業務、社外発信等に携わる。

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