こんにちは、岡本です。
7月末から、子ども2人を連れて帰省しています。ワーケーションにチャレンジしており、日中は子どもたちと遊んだり、親族に預けたりしながら、合間の時間や夜に仕事をしています。
普段から、PCひとつあればどこでも仕事ができるので、その点はどこにいても大差ないのですが、今はあくまでも子どもにとっては「休暇」なので、子どもの遊びの予定に合わせて仕事の時間を調整するところが、普段とは違うところでしょうか。
私は新卒入社時代から、毎日満員電車に揺られて同じ時間に同じ場所に通うという生活が辛く、「必要な時に必要な場所に行きたい、そうでなければ時間の使い方はなるべく自由にしたい」と(生意気にも)思っていました。深夜残業が嫌で、その分早めに来て早めに帰るという生活にもトライしたのですが、「早く帰ると周囲に悪影響なので…」と先輩に言われてしまい、断念しました。深夜まで働くことをむしろ美徳とする当時の職場の雰囲気に、心が折れてしまったのを覚えています。私のワークスタイルに対する価値観は、その頃からほぼ変わっていません。
つい先日読んだこの記事では、「新卒配属ガチャ問題」について書かれていました。皆さまご存知でしょうか。
(「最初の仕事はくじ引きである」新卒配属ガチャ問題をどう乗り越えるか?BUSINESS INSIDER JAPAN)
「就活ガチャ」「配属ガチャ」というキーワードは少し前から就活生の間で言われていますが、これは、ソーシャルゲームの「課金ガチャ」と就活が似ているという点からきています。
どちらも、お金や時間をつぎ込まないと「レアアイテム」が入手できないけれども、つぎ込んだところで「ハズレ」を引いてしまう可能性(就職の場合、合わない上司など)が大いにある。という意味のようです。
学生の立場からすると理解できる部分もありますが、採用支援をしている身としては、悔しいやら悲しいやら…。コストもパワーもかけてやっと採用したにも関わらず、「ガチャ」のハズレを引いたかのごとく早々に去られてしまう。これは企業と学生の双方にとって大きな損失・痛手ですよね。そうならないために、何ができるのでしょうか。
このテーマについて、様々な方が、異なる反応をされていました。
「ガチャ配属でハズレ部署や上司に当たって潰れ、早期退職を余儀なくされる人はいる。最近の若い人には『石の上にも三年』という価値観は無い。自分で選んだ会社だからどんな仕事でも我慢せよ、という価値観は、時代の流れに即していないのでは」
「想定もしていなかった部署と仕事に配属され、そこで手探りで身に着けた経験や知識が、後々、自分の糧になることがある。ので、それらを得られる限りは、すぐに辞めることなく居た方がいい」
「合わないと思う仕事でも、とにかく断らずやってみるべきだ。やっていくうちに好きになることもある。自分に合う仕事なんて、10年くらいかけないと分からない」
どのご意見も、実際にご自身が経験されてきたからこその、重みのある言葉です。
ここで大事なのは、上記の意見を発信される側(上司や人事)と、受け止める側(新卒入社者)との価値観に、「ギャップがあるものだ」という前提に立って、両者がコミュニケーションを取れているかどうか、むしろ力関係では上にあたる上司から、新卒入社者に歩み寄れているか、ではないかと思います。
上司になる人は、これまでに色々な経験を積んできています。自分の失敗経験を部下には繰り返させたくない、自分にとってためになったと思う経験は教えたい、という思いでアドバイスしたくなるのが心情というもの。
ただそこで危険なのが、新卒入社者の「価値観」を無視して接することです。「価値観」は、新卒だからといって「ゼロ」なわけではなく、20数年の人生の中で築き上げてきているわけで、それは一人ひとり違って当然。あなたとも違って当然だからです。
もちろん、採用時に、会社の価値観とのマッチングはある程度できている人材が入社しているわけですが、それでも一人ひとりの価値観を完全に把握し、配属予定先の上司との相性まで見極めた上で採用しているわけではありません。
「新卒配属ガチャ問題」で見られるのは、上司の価値観を「押しつけられている」と感じる新入社員が、「ハズレを引いた」と捉えてすぐに辞めていく、という構図です。それを、「最近の若者は堪え性が無い」と単純化して終わらせるのではなく、「相手を固有の価値観を持つ人間として尊重しながら、同時に、同じ組織の人間として仕事で成果を出せるように接していけるか」というスタンスで臨む。そこに、部下の成長のカギがあるような気がしています。
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