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男性が育休を取るってどうなの?パパのリアルインタビュー④


男性で育児休業を取得する人の割合は、5.14%。(2018年5月30日時点 厚生労働省 雇用均等基本調査より)パパが育休を取るパターンは、まだまだ少数派です。実際に男性で育休を取得した方へのインタビューをお届けする本シリーズ。今回は第4弾です。

シリーズコラム
男性が育休を取るってどうなの?パパのリアルインタビュー①
男性が育休を取るってどうなの?パパのリアルインタビュー②
男性が育休を取るってどうなの?パパのリアルインタビュー③
男性が育休を取るってどうなの?パパのリアルインタビュー⑤

 

<Cさんのプロフィール>

35歳、会社員。フリーランスで働く妻・6歳・4歳・1歳のお子さんの5人家族。第二子誕生時に3週間、第三子誕生時に2か月、育児休業を取得。

なぜ、育児休業を取得しようと思われたのでしょうか?

産褥期の妻の体を休め、家庭生活を回すためです。家族が増えて、いろんなことが変わっていくのに順応する期間に充てました。
また、社内で先駆けとなるべく行動しよう、という意図もありました。会社全体を見渡せば他にもいたのかもしれませんが、近場では私が男性の育休取得者第一号となりました。

東日本大震災以降、会社で男性の育児休業制度が広くアナウンスされるようになったんです。男性でも取得できると法律で定められていることは知っていましたが、あまり意識はしていませんでした。ですが、会社が積極的に「男性も取っていいんですよ」とアナウンスしてくれたり、福利厚生についてのQ&Aに掲載されたりすることで、「あ、本当に取っていいんだ」と思えるようになりました。

第二子の時、妻は産後1か月実家にいたので、自宅に戻って来てから3週間、育休を取りました。
第三子の時には里帰りはしなかったため、出産から2か月間取得しました。1回目の時より長い期間にしたのは、会社内で育休を取得する男性が増え、さらに取りやすい雰囲気だったことが大きいですね。また、上の子が幼稚園に通っていたので、そのペースを守ってあげたいという気持ちもありました。

育児休業を取得したことで、ご家族の反応はいかがでしたか?

妻は感謝してくれました。子どもとずっと一緒に過ごすことができたので、性格がじっくり見え、理解が深まりました。「パパがおうちに長くいてくれてうれしい!」と喜んでくれ、通じ合えるようになったと思います。家族の一体感が高まりましたね。
両家の実家も、「会社が推進してくれるなんて、とてもいいことだね」と前向きに受け止めて応援してくれました。妻の実家が近いのですが、義母が空いている日に来てごはんを作ってくれたり、サポートしてもらって助かりました。

社内での反応はいかがでしたか?

上司は、戸惑いながらも温かく受け入れてくれました。理解がある上司だったので、言い出しやすかったですね。その後、若手も臆することなく育休を取り始めました。きっかけとなれたことは、とても良かったと思います。

また、前々から会社全体で働き方改革が進められ、「18時に終業しよう、残業を減らそう」をいう動きが出ていたことも後押しになったと思います。昔ながらの働き方をする人が多い業界の中で、本当に18時退社を実現していましたから。

育休中は、ご夫婦間でどのような役割分担をして過ごしてらっしゃいましたか?

基本的に私は、家事全般を担当し、上の子の面倒を見ていました。赤ちゃんのお世話は妻がメインでした。幼稚園の送り迎えをし、公園に遊びに連れていったり、ママコミュニティに交じっておしゃべりしたり、子育て情報を交換したりもしていましたよ。幼稚園のお弁当は、義母が作ってくれたものを詰めることで対応していました。

1回目に私が育休を取得した時は、妻も会社員でした。ですが、2回目の時は会社員を辞め、専業主婦でした。第一子、第二子に食べ物の強いアレルギーがあり、保育園に預けることが難しかったこともあり、仕事復帰を見送ったんです。妻は、生き方そのものを見直す機会になり、「会社員、仕事にこだわる必要はない」と思うようになったようです。私自身も、傍で見ていて「幸せの在り方っていろいろあるんだな」と感じました。現在の妻は、コーチングの資格を活かし、行政とタイアップしたり、フリーランスとして個人で活動したりしています。

子育てを通じて、大きな価値観の変化があったんですね。育休を取得したことで、他にどのような変化がありましたか?

子育てや家事にかかる時間や体力を身をもって感じることで、妻や子育て中の女性が置かれた状況への理解が、段違いに変わりました。それまでも、周囲にそうした環境の女性がいれば、「無理せず、家庭を優先に」などの声がけはしていました。でも、そこまでの現実味は持てていなかったし、大変さを想像しきれていなかったと思います。

また、人生と仕事の捉え方も、大きく変わりました。それまでは、基本、仕事を中心に考えていました。しかし、仕事以外のことにどっぷり時間を割くことによって、仕事が全てではなく、人生の一部として、プライベートとのバランスを冷静に俯瞰して捉えるようになりました。

さらに、社会への見方も変わりました。育休取得以前は、テレビで幼児虐待のニュースを見たりすると、「ダメな親がやることだ」と決めつけていました。でも自分が体感してみて、「誰しも可能性があり得ることだ」と思うようになりました。子育てには、環境が大事。子どもを育てる親が追い込まれないよう、周りがサポートするべきだ、と強く感じるようになりました。

あらゆる面で、前向きな変化を感じられたんですね!それでは、逆にデメリットはありましたか?

特にはないですね。育休取得後転職したのですが、レジュメにその旨記載しても、良くも悪くも無反応でした。
育休取得当時は、大手企業に入社して11年目でしたが、現在はベンチャー企業勤務です。今、あの時と同じように育休を取れるかというと、正直難しいなと思います。業務の状況を考えると、長期間抜けるのは厳しい。制度も整えている最中で、まだこれからです。10年以上務めてきた会社だったからこそ、「育休を取りたいです」というのも発信しやすかったのかな、と思います。

育休が明けて仕事復帰した時は、どのように感じられましたか?また、現在はどのような働き方をされていましたか?

2か月というまとまった期間を休んだ後も、特に違和感なく、すんなり戻ることができました。仕事への価値観が変化したことも、影響していたのかもしれません。
現在は、朝8時半くらいに家を出て、22時過ぎに帰宅する、という生活リズムです。帰宅後は、洗濯したり、皿洗いなどの家事をしています。

これから育児休業を取得しようとしている人へ、あるいは取得しようか迷っている人へ、メッセージはありますか?

職場における自分の立ち位置や仕事の責任度合いによっては、躊躇することもあるかと思います。でも、「仕事=人生の全てではない」と割り切って俯瞰的に見てみると、育休の価値や素晴らしさが改めてわかるのではないかと思います。思い切る価値はあると思いますよ。

さいごに

個人差があると思いますが、女性に比べて男性は「一家の大黒柱として、家計を支えるべき」「仕事から長期間離れると、その後のキャリアに差し支えるのではないか」「物理的に休まざるを得ない女性とは異なり、必ずしも休む必要がない男性が育休を取得するのは、なんとなく気が引ける」といった懸念を持つ人が多いのではないか、と感じます。
そうした懸念の根底には、「仕事=人生の全て」という価値観があるのかもしれません。
その価値観が悪いとは思いませんが、「本当は家族を優先したい気持ちがあるのに、縛られて身動きがとれない」という状況なのであれば、Cさんがおっしゃるように、思い切って育休を取得してみることで、大きく人生観が変わることもあるかもしれない、と感じました。

また、仕事の状況や職場の理解、会社のスタンスが、育休取得に大きく関わっていることを改めて感じました。国や自治体による整備も不可欠ですが、会社として子育てを支援するスタンスを明確に示し、上に立つ役職者の意識を変えていくことが大切なのだと思います。


この記事を書いた人

天田有美 さん
大手人材会社において、法人営業、人事教育、プロモーションを経験。現在はフリーランスとして、キャリアカウンセラー、ライター、チアダンスインストラクターとして活動中。3歳の娘を抱えるワーキングママ。
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