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転勤妻のキャリア~もやもやした気持ちを乗り越えるには~


株式会社エスキャリアの女性専用カウンセリングサービス「マイ・カウンセラー」には、年間を通じて、パートナーに転勤を伴う辞令が出た女性たちがたくさん相談に訪れます。

「夫の夢を応援したい気持ちもあるので」
「子どもと父親を離すわけにはいかないと思い…」

などと話す女性の方々の顔は、いつも暗いものです。

「私の仕事なんて大したものではないのですが…」と言いつつも、割り切れない思いを抱え、パートナーにすら暗い顔を見せないようにしている方も多いのです。

キャリアカウンセラーとしてそういった方々と対面する度に、心が苦しくなります。
今回のコラムでは、パートナーの転勤に帯同することを決めた女性たちが、どのように自分の人生を豊かにしていけるかを考えていきたいと思います。

1.諦めではない、勇気ある選択

自分が自分の力で手に入れたものを、誰かのために手放すのは辛いものです。
積み重ねてきた年月・努力の分だけ、手放すことに迷いが出ます。二度とこの状態を手に入れることはできないかもしれないという恐れ、不安、もったいなく思う気持ち、そして「なぜ『私が』我慢しなければいけないのか」という憤り…。

それがたとえ、パートナーや子どもなど自分にとってかけがえのない人たちのためであったとしても、我慢することは辛いものです。
モヤモヤする気持ちを抱えている方は、まずは自分自身が「傷ついている」ということを認めてあげましょう。

ただし一方で、自分の状況を肯定的に捉え直す努力もしてみましょう。

誰かのために自分のキャリアを「諦めた」という考え方から一歩進めて、自分自身が負担を一身に背負いつつも、それを乗り越えるという「勇気ある選択をした」と考えてみましょう。

「諦め」で自分の可能性に蓋をせず、「勇気ある選択をした」自分の強さを見つけることから、新たなキャリア形成が始まります。

2.パートナーとの前向きな対話

転勤を伴う人事異動を経験すると、夫婦の間に、一定の立場の違いや環境の違いが現れます。双方にとって新しい場所であっても、そこには大きな差が生まれます。パートナーには、新しい環境とはいえ、「与えられた」仕事、仲間、居場所…がありますが、自分には何一つ「与えられない」からです。そんな中、さらに子どもを育てていくとしたら、精神的な負担は大きいと思います。

こういう時は、ついパートナーにそのままストレスをぶつけてしまいがちです。しかし、このような場合は、「自分の辛さを理解してもらう」ことに加え、パートナーのキャリアを応援するために転勤先に帯同した自分のために「私も何かサポートがほしい」ということも伝えてみても良いでしょう。

転勤先での仕事探し、子どもの園や学校、遊び場所探しなどを「夫婦が一緒に解決すべき共通の課題」として話し合うことができたら、目の前のストレスに左右されず、新しい形で家族のあり方やあなた自身のキャリアを築いていけるのではないでしょうか。

3.「もう一度考えるチャンス」と向き合おう

最初にお伝えしてしまいますが、転勤に帯同する方にとって、転勤した先で仕事を探すことは困難な場合が多いです。地域が変われば、求人数も給与条件も労働時間も変わるからです。長年積み重ねてきた経験やスキルが評価してもらえないような暗い気持ちになるかもしれません。

ただし、そういったデメリットとともに、転勤したからこそ得られるメリットもあります。それは「私は何がしたい人間なのか」ということをもう一度考えるチャンスを得るということです。

今働いている30代、40代のほとんどの方が、学校を卒業する際の、いわば社会を知らない年齢の時に、定型化された「就活」の流れに乗って就職活動を行っています。その際に思い描いていた自分の未来像は、社会に出てしばらく経った現在に至っても自分に合っていたでしょうか?もしかしたら、かつて自分が出した解の方に、無理に自分を合わせていたかもしれません。

一度、自分が得たものを手放すということは確かに辛いことです。
しかし、手放したからこそ、次に何を手に入れたいかということを考えることができるのも事実です。こういう時こそ、もう一度新たな気持ちで「私は何がしたい人間なのか」を考えてみると良いでしょう。

久しぶりの働いていない時間を使って、勉強してみたかったことに打ち込んでみてもいいと思いますし、子どもとの時間を増やしてみてもいいかもしれません。転職サイトを見る、新卒採用の際に残念ながら落ちてしまった会社の中途採用情報を見る…など、もう一度働くことにチャレンジするのも良いかもしれません。近年では、従来の正社員、派遣社員、契約社員…という枠にとらわれない新たな働き方が出てきていますので、思ってもみなかったチャンスに出会えるかもしれません。

大事なことは、自分がイキイキと過ごせる方法をまた一から模索してみることです。

4.さいごに~知らないことを楽しむ~

転勤は人生の大きな転機となります。そこには当然、精神的な負担も迷いもあると思います。しかし、一方で「知らないこと」「初めてのこと」を楽しむことが、必ずあなたの財産となります。

子どもがいる場合、生まれ育った土地とは違う場所の文化や風土に触れるということ自体が、子どもたちにとっては大きな学びとなります。その地域の名産品・特産品を食べ、昔ながらの祭に参加する、言葉の違いや方言の温かみを知る、また、地域のスポーツチームを応援してみてもいいでしょう。こういった一つひとつの活動が、教科書以上の生きた学びとなることは間違いありません。

私たちキャリアカウンセラーは、パートナーの転勤に帯同するという「勇気ある選択」をした方々が、辛さを前向きに乗り越え、新たな気持ちで自分のキャリアを考えていけるように様々な形で支援しています。
自分のキャリアなんて…と悲観し、諦める前に、ぜひ一度「マイ・カウンセラー」にご相談ください。


この記事を書いた人

山口 奈生 さん
大学卒業後、大手損害保険会社の総合職として勤務。夫の海外留学に帯同するために、子ども二人とともに渡米。帰国後、キャリアカウンセラーの資格を取得し、第三子を出産。人材サービス会社で勤務ののち、キャリアカウンセラーとして独立。現在、再度家族で渡米し、アメリカ⇔日本のリモート勤務中の、一男二女の母。
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