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秋はキャリアの分かれ道! 自分らしいキャリアを選択しよう(1)


今年の夏は全国的に記録的な暑さが続き、9月になってもまだ厳しい残暑が続いています。とは言え、朝晩には、ほんの少し、秋の気配が感じられるようになってきました。秋は着実に近づいてきていますね。
そして、秋と言えば、昔から「読書の秋」「運動の秋」「食欲の秋」「芸術の秋」などと言われますが、実は、秋は「キャリア」を改めて考えるのにも適している季節でもあるんです。

秋は人事関係の動きが活発

日本企業の多くは、4月から翌年の3月を事業年度としているため、年度初めの4月には様々な人事的な行事が起こります。
新入社員の入社が4月であることはもとより、昇格・昇級や、給与の改訂、定期異動が行われることが多いのも4月ですし、期初に合わせて年間目標の設定も4月に行われます。
このように、4月は様々な場面で「キャリア」について考えたり、意識することが多い季節ですが、実は秋も4月同様、様々なキャリアにまつわる動きが起こります。

社内異動もその一例…

事業年度が4月~3月の場合、下期がスタートする10月に合わせて異動を行う会社は珍しくありません。目的は様々ですが、年間の売り上げ目標や事業計画を残りの半年間で確実に達成するために必要な人材を配置したり、次年度に向け先行して新たなプロジェクトを立ちあげたりするための場合が多いようです。
そのため、多くの場合は会社都合で異動者が決定されることから、異動を明示された従業員のモチベーションが下がったり、未経験の業務への異動に大きな不安を抱えたりするケースも少なくありません。

実際、弊社のキャリアカウンセリングサービス「マイ・カウンセラー」では、秋は、異動の内示が出た、或いは異動を内々に打診されたという方からのご相談が増える傾向にあります。
「異動の打診を断りたいが、波風立てたくないので悩んでいる」
「断ったことで今後の評価に影響がでないか不安だ」
というものから、
「これまでずっと頑張ってきたのに、もう必要ないと言われたようで悔しい」
「ずっと同じ部署で仕事をしていたので、今更別の仕事が出来るのか自信がない」
といったものまで、ご相談内容は様々ですが、一番多く聞かれるのは、
「異動ばかりで、このままでは広く浅い経験しかない、ただの何でも屋になってしまう」
「専門性も無くなり、ゼロからのスタートで市場価値がなくなってしまう」
という懸念や不安です。
そして、その不安な気持ちから、転職活動を始める方も多くいらっしゃいます。

キャリアは偶然の積み重ね

もちろん、転職も1つの選択肢であり、キャリア形成のための1つの方法ですが、「1つの事を深く究める」ことだけがキャリアではなく、「浅くても幅広い経験を積む」ことも重要ですし、「専門性がない」=「市場価値がない」わけではありません。
また、「これまでとは全く異なる仕事をすること」イコール、ゼロからのスタート、これまでの経験のフルリセットでもありません。(コラム:「キャリアの「専門性」って必要?~自分の職歴に悩んでいる方へ~」

キャリアを形成するためには、予め、目指す姿を思い描き、その実現の為に経験や知識、スキルを着実に積み上げていくことが大事だと思われがちです。が、実は、ゴールに向けて一直線に進むことが必ずしも有効ではなく、むしろ予定外の色々な「偶然」の積み重ねこそが 大事だという考え方(プランド・ハップンスタンス理論)があります。

「個人のキャリアの8割は予想しない偶然の出来事によって決定される」というこの理論は、変化のスピードが速く、数か月後にはどうなっているか、確実な事は何も分からない今の時代に、非常に的を射ている理論だと筆者は思います。

取り巻く環境は刻々と変わり、予定外のことや想定外のことが常に起こるなかで、その変化を拒絶したり、回避したりばかりしていては、結果的に様々な機会を逸してしまうことになりかねません。むしろ、偶然起きた事態に柔軟に対応する事で、新たなチャンスがうまれ、想像していなかった新たなキャリアの道が開ける可能性もあります。

異動でキャリアの可能性を広げる

異動もある意味、この偶然の出来事の1つです。未経験の業務に異動すれば、新たな知識やスキルを身につける必要がありますし、これまでとは異なる視点や立場で物事を見る事が求められたりもします。後輩社員から教えてもらわなくてはいけないこともあるかもしれず、悔しい思いや、居心地の悪さを感じる事も多々あるかもしれません。

が、異動して新たな業務につかなければ決して得る事はできなかった経験や知識・スキルが身につくことは間違いありません。むしろ、これまでの経験にプラスアルファで新たな経験が加わることで、キャリアの可能性は広がり、市場価値がる高くなる可能性もあります。

実際、マイ・カウンセラーに、異動の内示を受けてご相談に来られたAさんは、転職を前提で考えているものの、今一つ踏み切ることができずに迷われていました。

そこで、相談の結果、まずは異動先で半年挑戦してみてから、再度転職を検討してみることにしました。すると、半年後に2回目の相談にいらした際には、異動先で日々新たな学びや新しい出会いがあり、毎日が刺激的で充実しており、異動して良かったとイキイキとお話されました。

そして、今すぐの転職はせず当面は異動先で経験を積むことを決断されました。将来的な市場価値を高めていく事を視野に入れ、これから異動先でどんな経験を積み、どんなスキルを身につけることを意識すべきかについてカウンセラーと一緒に考え、カウンセリングが終了となりました。

まとめ

「偶然」による変化を頭から拒絶するのではなく、時にはそれを受け入れること、そして、それにしなやかに適応していくことは、キャリアを形成するうえで大切な事です。
更に大事なのは、その「偶然」による変化を、いかに自分にとって意味のあるものに自ら変えていくことができるか、ではないでしょうか。 


この記事を書いた人

上杉麻里 さん
キャリアカウンセラー
大学卒業後、不動産会社の人事としてキャリアをスタート。以降、日系・外資系のコンサルティングファームや消費財等、多様な業界に勤務。30代前半に留学によりキャリアを中断、その後派遣や契約社員等を経て、30代半ばで管理職となるなど、様々な働き方や立場を経験。現在は、働く女性を中心としたキャリアカウンセリングや人事制度コンサル、研修等を行う。
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