駐在員の妻として海を渡った女性たちは、大きな変化の中での生活を余儀なくされます。
中には仕事を辞め帯同せざるを得ず、これまでの生活とは違う毎日に戸惑われる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
マイ・カウンセラーにも、パートナーの仕事の関係で将来海外駐在、もしくは国内の転勤が予想されるなかで、自分自身のキャリアをどう築いていくべきか、悩んで相談にいらっしゃる方がいらっしゃいます。
価値の変化ではなく、役割とその舞台の変化
米国の経営学者であり、キャリア研究者でもあるドナルド・E・スーパー氏によれば、人生には・子供 ・学生 ・余暇人 ・市民 ・職業人 ・配偶者・家庭人) の7つの役割があると定義しています。この考えに基づくと、駐在員の妻として帯同することは、あなたの価値が変わったのではなく、変わったのはその役割と全うする舞台が変わったことだと言えます。
●役割:◆子供=親との関係上の自分、◆学生=学生全般、◆余暇人=趣味、スポーツなど自分が楽しむ為の時間、◆市民=社会を構成する一員、ボランティア活動、◆職業人=収入をえる全て、◆配偶者=パートナー、◆家庭人=家事全般を行う
●舞台:家庭、学校、地域社会、職場、施設
駐在員の妻としての役割について、該当するいくつかを一緒に見ていきましょう。
◆配偶者
筆者も、パートナーの海外勤務に帯同した一人ですが、異文化の中での生活は、お互いにストレスを感じることが多くなります。筆者が意識したことは、海外にいる環境を受け入れて、妻として「何を辞め、何をするかをはっきりさせる」ということです。
筆者の場合、異文化環境で仕事に励むパートナーのための健康管理をすると決め、食べ慣れた日本の食材を探し回ったり、栄養の行き届いた食事を作ったりしました。最初のうちは、自分が抱える寂しさなどの感情を伝えるなんて疲れている夫には申し訳ないと思い、伝えられずにいましたが、この自分の「こう有るべき」という独りよがりな考えを辞めました。
配偶者として、無理なく気持ちよく過ごせる範囲の中で自分ができることをはっきり伝え、パートナーが感じていることも聞き、話し合うということを常に心がけました。
日本にいたときは違う環境でパートナーと向き合う貴重な機会にもなり得るかもしれません。
◆余暇人
趣味、スポーツなど自分を楽しませるための時間を持つという役割が余暇人です。
元々東京で朝から晩まで働いていた筆者は、帯同に際し専業主婦となると思うと余暇の時間をどのように使うか不安がありました。海外で一人孤独を感じながら夫の帰りを今か今かと待つばかりで、少しでも帰りが遅かったり週末にゴルフなどに出かけてしまったりすると寂しさがイライラに変わるようになりました。
このままではよくないと、自分を満足させてあげられるように、無いものを求め嘆くのではなく有るものに目を向けるよう思考を転換しました。日本に居た時は忙しく、やりたくてもできずにいた英会話学習に存分に時間を費やせる絶好の機会と捉え、語学の勉強に励みました。
語学はもちろん、場所や時間を問わずオンラインで学べる事もたくさんありますので、余暇人として、やってみたいと思っていたことに思い切ってチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。
その他、パートナーの知人の奥様を紹介してもらったりSNSなどを利用したりして現地のネットワークを使って、同じように駐在員のパートナーに帯同された方と接点を持つのもおすすめです。海外にいる大変さなど共感し合えることが多いので、関係を築きやすく、交流を通して新たな気付きを得られるかもしれません。
さいごに
人生にはあなただけの虹がかかり続けます。今ご自身がどんな役割でどんな舞台にいるのかを把握することで、今そしてこれからの歩み方を考えていくことができます。
職業生活にブランクができてしまうことで、今後の社会復帰に支障が出るのではという不安や、ビジネス感覚が薄れてしまうのではという怖さなどを抱える方もいるのではないでしょうか。
もしも、自分がこれからのキャリア(広義で=生き方そのもの 狭義で=経歴)について不安を感じているようでしたら、まずは自分の現状を知ることも一つの方法です。
例えば、自分自身で生き方・働き方のプランを考え、設計することである「キャリア・プランニング」を進めることができるワークシートが厚生労働省のサイトにあります。こういったものを活用して、書き出してみるのも良いでしょう。
自分一人だと考え方が滞ってしまったり、そもそもやり方がよくわからない、今はまず自分のモヤモヤを第三者に聞いてもらいたい、などを対話を通して自己理解を深めていきたい場合は、ぜひキャリアカウンセリングを受けてみるのもおすすめです。
マイ・カウンセラーでは、国家資格を持ったキャリアカウンセラーが、一対一で貴方の悩みを解きほぐし、これからの自分の人生の歩み方についてあなたらしい歩き方をサポートしてまいります。ぜひお気軽にご相談ください!