前回、「育休中の一大プロジェクト!パートナーとの強力タッグ形成でスムーズに仕事復帰しよう!【その1】」でもお伝えした通り、育休から仕事に復帰するにあたって、すべての家庭が直面する「パートナーとの家事育児の分担」について、今回も、エスキャリアに実際に寄せられたお悩みと、その解決方法をご紹介します。
先輩ママの事例③ ~パートナーとの目線合わせ~
先輩ママCさんは、家事育児で手いっぱいな上に、パートナーとの仲もギクシャクしており、今後の生活への不安を感じていました。 カウンセリングで詳しくお話を伺うと、産前に大人2人で気楽に生活していたころに比べると、子どもが生まれた後は、洗濯を1日2回、食事は子供の離乳食も含めて毎食手作り・・・など、大幅に家事の負担が増えたとのことでした。
しかし、パートナーは、Cさんが家事育児に追われピリピリしていると「家はリラックスの場なのに」と嫌な顔をされるそうです。それに対してCさんは「やらなければいけないことがたくさんあるのに、リラックスしている暇なんてありません」とおっしゃっていました。
Cさんだって家ではリラックスしていたい。それが叶わないのは、「やらなければいけない事」が多すぎるからです。そのため、カウンセリングでは、そもそも「何をやらなければいけないと考えているのか」を整理することから始めました。
朝の子どもの着替え、朝ごはんの支度…と順に列挙してもらうと、無数の家事育児があげられましたが、Cさんは、突き詰めて考えたところ「私が絶対にやらなければならないことは、子どもの授乳とオムツ替えだけ」ということに気づきました。
そして、毎朝のトイレ掃除、晴れた日は欠かさなかった布団干し、手作りの離乳食…など、今までピリピリしながら行っていたことの大半は、実は「できればやった方が良いこと」だと気づいたのです。
またCさんは、パートナーが「家はリラックスの場なのに」と言うのは、「必須ではないことにそこまで神経を尖らせる必要はないんじゃないの?と思っているからではないか」と考えました。そう考えると、パートナーの言動から「家族みんなで仲良く暮らしたい」という雰囲気を感じることにも気づいたそうです。
家事育児に追われてピリピリしている状態では、パートナーに「家はリラックスの場」「家族みんなで仲良く暮らしたい」と言われても、つい「こんなにやる事がたくさんあるのに、あなたは全然分かってない!」と思ってしまいがちです。 しかし、少し冷静になってみると、それはパートナーが「全然わかっていない」のではなく、パートナーとの間で、家族全員が幸せであるために、何がどうあるべきか、どのレベル・達成度を目指すのかの目線が合っていないということかもしれません。
Cさんのご家庭では、パートナーの意見も尊重し、まずは家族全員が仲良く暮らすことを大事にしようと話し合いをしました。そしてその結果、今までCさんが行ってきたタスクのいくつかを「やめる」という決断をしました。 今までし続けてきたことをやめるというのは勇気のいる決断です。また、Cさんが頑張ってきたからこそ快適な生活が出来ていたという点を見過ごすことはできません。
ただし、突き詰めて考えた時に真に大切なことは、親と子が健康で安全で幸せであること。だから、生活のクオリティを今より少し下げることで家族全体の幸せが増すのであれば、「やめる」というのも選択肢の一つなのではないでしょうか。
先輩ママの事例④~家事育児タスクの「見える化」~
先輩ママDさんは、仕事復帰を目前に控え、パートナーの家事育児に対する姿勢にいら立ちを覚えていました。
Dさんに話を伺ったところ、「とにかく、私が言わないと何もしないんです。私は、あれもやって!これもやって!と思っているわけではなく、大変なところを助けてくれたら嬉しいという程度なのですが…」とおっしゃっていました。
実際に日常の様子を伺うと、子どもの世話や家事でバタバタするDさんの横で、夫は自分のペースでシャワーを浴びたりスマホを見たりしているそうです。Dさんが「手伝って!」と強く言うと手伝うものの、忙しいDさんに「何すればいい?」「どうすればいい?」と一つ一つ聞いてくるので、何もかも自分でやってしまった方が精神衛生上良いのではないかとも感じているようでした。
そこでDさんは、自分が行っている家事育児のタスクを、事細かに付箋に書き出すことにしました。例えば、
・子どもの登園準備
というまとめた書き方ではなく、
・手拭きタオルと着替えの準備
・オムツの名前書き
・体温測定
・保育ノート記入
・日焼け止めクリーム塗り
・虫よけシール張り・・・
と具体的な部分にも踏み込んだ書き方をしました。その上で、書き出した付箋を、
・自分/パートナー
・朝/夜
でマトリックスにして、誰が・いつ・何をしているか「見える化」しました。 それを見せて家事育児の分担について話し合ったところ、パートナーからの第一声は「こんなにやる事があるなんて知らなかった」だったそうです。
パートナーにはそもそもどんな家事育児のタスクがあるか全体の量を認識していなかったのです。Dさんは「今まで何を見ていたの?」と脱力したようですが、自分が今まできちんと説明していなかったことにも気づきました。
そして、Dさんサイドだけ付箋でいっぱいになったマトリックスを見たパートナーも反省し、今後は皿洗いと保育園の準備全般を担当すると言ってくれたそうです。
さいごに ~苦労の『種類』を選ぼう~
育休中の女性は、逃げようもなく降ってくる問題への対処に日々追われながら、親として成長していきますが、男性は相対的に家にいる時間が短いために、親としての成長速度は非常にゆっくりです。
家族としての今後を考えた時に、夫に期待せずに自分が120%頑張ればなんとかなる!という形の苦労を続けるのか、それとも、夫とのパートナーシップを築いていくための苦労を選ぶのか。
いずれにしても楽な道ではありません。 ただし、対話を通じてパートナーシップを強化し、家事育児を分担していくと、その変化はまず子どもに現れます。
子どもは、誰が自分を気にかけて手をかけてくれるのか、ちゃんと見ているからです。それまで「ママじゃなきゃヤダ!!」だった子どもが、パパと寝る、パパのお膝に乗る…と言い出した時、パパも「家族」としての自信に満ちた温かい気持ちになるはずです。
パートナーに対して諦めてしまう前に、ご自身のため、お子さんのためにも、もう一度対話にチャレンジしていただければと思います!
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